第310話


海渡は、頑張ったご褒美と午後の訓練での効能の為に、タンカー・ホエールのステーキを焼き始める。

付け合わせには、マギマッシュやシイタケを贅沢に使ったラピスの泉の水で作った茸スープ、マツタケご飯、等等。


分厚いタンカー・ホエールのステーキが焼き終わる頃、頭にレイアを乗せたフェリンシアと、何か、ボロボロになったラルク少年、アン、サニーが戻って来たw


「流石フェリンシアw 昼食は逃さないねww」

と海渡が笑うと、


「5km先まで肉の焼ける堪らない匂いが届いてましたからねw」

と笑顔のフェリンシア。


頭の上で器用に寝ていたレイアもゴソゴソと起き、ジタバタと動きだして、海渡が用意したテーブルに着地した。


全員の食事を盛り付けて、頂きます!


タンカー・ホエールのステーキを切って一口食べた全員が、


「「「「「!!!!!」」」」」


と言葉を失っている。


うむ。海渡自身が食べても、今日のは明らかに美味いと感じる。

ああ、そうか! 神の実の恩恵で俺の調理スキルってコンプしてたな・・・アレだ!!


なるほど、調理スキルのコンプってこんなにも違うのか。


それから、みんなは黙々と食べてお替わりを要求するw


タンカーホエールのステーキをバンバン焼いて行く海渡。


「「「「「「幸せですぅ~♪」」」」」」

と6人の弟子達が声を揃えて、蕩けた顔をしている。


「そうか、満足してくれて何よりだw これで、午後の地獄の特訓を乗り越えられるな?」

と黒く笑う海渡。


「「「「「「・・・・」」」」」」


現実に引き戻された6人が青い顔をしている。





「さて、ウジ虫共!午後の訓練を開始だ!! 何時までもふやけてるんじゃねーぞ!」

と鬼軍曹モード。


まず、ケモ耳3人に全ての属性の魔法を生やす。


1時間で、全員に属性が生え、魔力が少ないながらも、飛行魔法まで会得した。

「お前ら、寝る前に必ず、魔力を空にして使い切ってから寝る様にしろ! お前らの様なゴミクズの魔力でも、使い切る事で少しずつ魔力が増えて行く。良いか!!」


「「「イエス・サー」」」


次は、魔法による攻撃の訓練をさせる。


「良いか、お前ら! 魔法はイメージだ。頭の中で、どれだけ結果のイメージを作れるか?が魔法の極意だ! 呪文や詠唱なんてクソだ!その空の頭の中にイメージを作りあげろ!」


「「「イエス・サー」」」


と鬼軍曹は、檄を飛ばす。


魔力を使い切っては、骨粉入りハチミツ水で強制的に訓練再開~~(ry


1時間この繰り返しで、それぞれの魔法Lvが2まで上がった。


まあ、魔力量が少ないから、取りあえずはこんな所かな。



「よし、今度はお待ちかね、実際の討伐訓練に向かうぞ!」


『フェリンシア、そろそろ、絶界の森での討伐訓練に入ろうと思うんだけど、こっちに戻って来れる?』

と伝心を入れると、


『ええ、ゲートで戻ります!』

と返事とほぼ同時に黒い空間が出来てフェリンシアと少年少女が戻って来た。


「ここら辺の魔物はほぼ狩り取ってしまいましたw」

と微笑むフェリンシアの後ろでは、若干青い顔でゼイゼイと息をする3人。


全員に、おやつのユグドラシルの実を食べさせ、一気に完全復活させる。


蕩けた顔をしている顔した6名を余所に、海渡はタブレットを出して、絶界の森の魔物の状況を確認する。

丁度良さそうな集落っぽい箇所を見つけ、その近所にゲートを繋ぎ、全員で移動する。


場所は比較的外縁部に近い所。


集落の様な群れから1km離れた森の中に移動した海渡達は、マップで集落の赤い点を確認する。


「うん、ゴブリンの集落だ。全部で300匹ぐらいかな?」


と言うと、6名が青い顔をしていた。


「中央部分には、ゴブリン・アーチャーが6匹、ゴブリン・ソルジャーが8匹、ゴブリン・ウィザードが3匹、ゴブリン・ジェネラルが3匹、そしてゴブリン・キングが1匹だな。あとは雑魚だけだ。」

と説明すると、益々顔色が悪くなる弟子達。


「良いか、今のお前らはハッキリ言って、先週のお前らが雑魚に見える程に強くなっている。自惚れて油断するのは厳禁だが、ゴブリンごときにビビる程ではない。

油断なく対処すれば、ゴブリン・ソルジャーぐらいなら、軽く圧勝出来る筈だ。初っ端から、身体強化、身体加速、クロックアップ全開で、雑魚を一掃して行くぞ! あと、防具に頼るなよ? 怪我をする事は一切認めない。良いな!?」


「「「「「「イエス・サー」」」」」」


気合いの入った顔で、6名が声を揃える。


横でフェリンシアも敬礼しているwww


端から見ると、子供のゴッコ遊びの様な微笑ましい雰囲気なのだが、やっている内容は、国軍もドン引きな内容。


まずは弟子を3名ずつをA班とB班に別け、そこに海渡とフェリンシアがそれぞれ受け持つ事にした。

海渡は、少年少女3名を担当、フェリンシアはケモ耳娘3名を担当。


左右両側から挟み撃ちにする事にして、2班がそれぞれゲートでスタートラインに着く。

『始めるぞ!』

と伝心で伝え、

「開始だ!」と少年少女に号令を掛ける。


少年少女は囲まれない様に4m間隔ぐらいで殲滅を開始する。

初っ端は、魔法による一撃を3名が揃って放つ。


「「「チュッドーーン」」」


轟音が響き渡る。

グギギー、グギャー と断末魔の叫び声が聞こえ、辺りが騒然となる。


慌てたゴブリンが混紡や錆びた短剣を片手に防戦を始めるが、素早い動きで攪乱しつつ、殲滅を始める3名を捕らえる事が出来ず、ドンドンと数を減らすゴブリン。

フェリンシアが仕込んだのであろう、完全に絶命してから次の獲物に標的を移している。

油断の無い、スムーズな動きは、さながら熟練の冒険者そのものだ。


海渡は後ろで時々、漏れたゴブリンをチョイチョイと殲滅しながら、その手際に感心していた。

開始10分で、70匹程の雑魚を始末し、木々や草を集めて作られた家は焼かれ、所々で燃えている。


ゴブリン集落の中心から200mぐらいの所で、

雑魚10匹、ゴブリン・ソルジャー3匹、ゴブリン・アーチャー3匹、ゴブリン・ウィザード1匹を従えた、ゴブリン・ジェネラルが1匹目の前に現れた。


第二幕の幕開けである。

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