第311話


初っ端にゴブリン・ウィザードのファイヤーボールが飛んで来た。

少年少女に怯えはなく、既にゴブリン・ウィザードが狙った場所には既に居ない。


雑魚を瞬殺しつ、やっかいな飛び道具を使う相手、アチャー、ウィザードへ魔法による攻撃を仕掛け、半殺しにしていた。

ラルク少年らは、1対1でソルジャーと対峙し、4合も斬り合わずに、首や胴体を切断していた。


「ほう、ソルジャーも瞬殺に近いか。 凄いじゃないかw」


それを見たジェネラルが、何とか動けるアーチャーに指示して、弓矢による攻撃をさせて居たが、全く狙いが追いついておらず、明後日の方向へ矢が飛んで行く。

怒るジェネラルは、大剣を構えて、身体強化を掛け、一番小さいラルク少年を狙い、突っ込んで行く。


ラルクは大剣による斬撃を刀でいなしつつ、懐に潜り込み、ほぼ0距離からの、ファイヤーアローを発動し、ジェネラルの腹部に穴を開ける。

その瞬間に左右から少女が右腕を二刀流で切り刻み、左肩を槍で貫いていた。


ゴギャーーーー とジェネラルの悲痛な叫びが響き渡る。


更にラルクの横薙ぎの一刀で両股から切断されて、崩れ落ちるジェネラル。


3mを超えるジェネラルの首が、丁度良い位置に降りた所でラルク少年がサクッと一振り、首を刎ねた。

既に瀕死のアーチャーやウィザードも少女らによって、トドメを刺し終わっている。




残るは、ゴブリン・キング1匹、ジェネラル1匹、ウィザード1匹、雑魚30匹程度。


中心部分で合流した弟子6名とフェリンシアと海渡。


さあ、第三幕の幕開けだ。


ジェネラルの指揮の下、約30匹の雑魚が動き出し、ウィザードからは、ファイヤーアローが途切れず飛んで来る。


スキル全開のまま瞬時に移動しつつ両側から雑魚を殲滅する。


アンがアイスアロー5発でウィザードを瞬殺し、サニーは、ウィンドカッター5発で、ジェネラルの腕や胸に、パックリと深い傷を付けていた。


「ゴギャーー」「ギュガー」と悲鳴が五月蠅いw


いち早く雑魚を殲滅したケモ耳隊がジェネラルの腹部を切り裂き、崩れ落ちた所を首を刎ねていた。


残るは大剣を構え、咆哮で威嚇するキングのみ。

しかし、キングが大剣を使って攻撃する間を与えず、6名で取り囲んで、それはもうタコ殴りのサンドバッグ状態。

あまりにも一方的過ぎる・・・。


悲惨なキングを見て、思わず手を合わせ、「ナムー」と呟く海渡。

弟子達を頼もしげに見守るフェリンシア。



ザクザクの状態で、キングは30秒保たずに撃沈した。



撃ち漏らしもなく、完全に周囲の赤い点は消えた。完全制圧完了である。



「「「「「「やったーーー!!!」」」」」」

と声を揃えて小躍りする6名。


海渡はボソリと

「完全なオーバーキルだったな・・・」

と呟く。




せっかくなので、手分けして魔石と討伐証明部位を採取する。

ケモ耳隊はまだアイテムボックスのスキルを取って居なかったので、ケモ耳と少年少女隊の各1名でペアを組んで、外周部から漏れなく集める。


最後に中心にある、キングの根城の倉庫から、武器や魔石、鉱石等と、食料庫から、果物や食料(何やら不明な肉類は破棄)を収穫したww


レイアが、ゴブリンの残骸を美味しく頂いていた。

残った残骸は、レイアに頼まれて、フェリンシアが収納していた。

おやつにするらしい。



ゲートで秘密基地に戻り、管制タワー横の小屋へと戻った。


夕食の時間まで、脳筋なケモ耳3名にアイテムボックスのスキルを取らせようと、頑張って説明する海渡。

何が大変かって、脳筋な彼女らに、リストやメニューを説明するのがこんなにも大変だとは・・・orz

最後の手段で、少し多めの骨粉入りハチミツを飲ませ、強引にスキルを生やす事に成功したのだった。




夕食は、タンカー・ホエールのすき焼きにしてみた。


初めて食べるすき焼きに、大喜びの6名+1匹。


8名+1匹で、まさか10kgの肉を食うとは驚きであった。

まあ、主に、フェリンシア、ケモ耳3名、レイアによるものだったが・・・。




部屋割りを適当に済ませた後、小屋のお風呂は狭いので、2名ずつ入る事にした。


「兄貴! 今日のゴブリンの集落っすけど、あれであの森では雑魚クラスなんすよね?」

と湯船に浸かりながら、ラルク少年が質問する。


「そうだな、まあ所詮ゴブリンだからなぁ。中心方向へ行けば行く程、生息する魔物は強くなるな。

中心近くのキラー・アンツの巣とか、ヤバいからなぁ・・・オークの集落よりきつかったぞ。まあ、当時の俺は、Lv10前後だったからなぁ・・・」

と遠い目で答える海渡。


それをキラキラした目で見つめるラルク少年。


「強さは、Lvだけでなくて、ステータス全体の数値や、戦術によって変わると思う。

Lvが80でも、ステータスの筋力や魔力や俊敏の値が小さいと、Lv10でそれらが大幅に上回っていれば、戦術次第で何とか出来たりもする。

まずは、戦いが始まるまでに、どれだけ相手を知り、どれだけ多くの戦術を用意出来るか?が重要だと思う。特に格上の相手の場合はね。」

と説明すると、


「なるほど、戦いが始まる前に万全の対策を練る事が重要なんですね。」

とラルク少年が納得していた。


風呂から上がって、冷たいミルクを飲んで、マッタリとした時間を過ごす。

部屋に別れて、海渡は地下工房へと飛んだ。


海渡は、2台の魔動自動車を取り出し、改造を施す事にした。

サンルーフを取り付け、後部のトランクを潰した、3列シートへ改造し、所謂ワゴン車の様なSUVにする。


1台を海渡用、もう1台はフェリンシア用とした。

また、不慮の事態に備え、屋根に小型の20mmガトリング式レールガンを装着する事にし、生産ラインを作った。

弾丸用の生産ラインも作り、時空間共有倉庫に完成した弾丸が排出されるようにした。

ヒラメ君同様にスイッチ1つで、屋根のハッチが開き、時空間魔法で拡張された空間からレールガン付きのハッチが出て来る仕組みにした。


20mmガトリング式レールガンだが、思った以上に小型になったので、肩に担いで撃てる様に改造してみた。

最初は簡単に済むと思ったのだが、30mmの方で試射した際の爆音を思い出し、あれを耳元でやられたら、完全に鼓膜がヤバい事に気付き、急遽爆音を遮断する遮音シールドを

銃身の周囲に展開するように改造したり、照準用のモニタを付けたりして、予想以上に時間を食ってしまった。


試作は4個で、これもテストしてみて、良さそうだったら、生産ラインを作る事にした。


秘密基地の部屋に戻って就寝したのだった。

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