第298話


「さて、これからどうするかな? 一度宿舎に戻って、兵器を作ってみるか・・・。午後は講習会を軽くやって、その後は兵器の作成とテストするかな?」

とキャンプの横の路地裏からゲートで地下工房へと戻って来た。

フェリンシアは昼食まで託児ルームに居るそうだ。


さて、兵器か。


何作る? ミサイル? それともバルカン砲や大砲? 魔法兵器? 爆弾? と考えたが、限定的な被害となると、爆発系の爆弾や大砲もミサイルもねぇ?


バルカン砲が一番良いが、破壊力の面と、火薬を作るのも面倒だな。

レーザーやソーラー○イ的な物だとインパクトが弱かったり、太陽出て無いと使えなかったりだし、主な目的は、相手をビビらせ、「あ、こいつらヤベー!」って思わせる事がメインだよね。

と色々考えた結果、魔動コスト的にも優れているであろう、SF定番のレールガンを作る事にした。

何より構造的に簡単で、元の世界の様に必要電力チャージに時間が掛からない事、驚異的な威力が出る事が選択した理由である。

ローレンツ力を使うレールガンは、一瞬で流す電力を上げれば上げる程、威力が増すらしいし、魔法の世界にはもってこいのチート武器だろう。

弾は重めのタングステンとかにするか。

単発だと寂しいので、連射可能なガトリング式にする事にした。


電極と銃身を兼ねる素材だが、伝導率だと確か銀が効率が良かったと思うが、酸化や強度や摩耗の問題もあるし、やはり銅を使うべきか?

しかし、骨粉混ぜれば銀を使えるんじゃないか?と考え、智恵子さんに確認すると、電極に電力と魔力を同時に伝える事で、強度も耐摩耗も上がると言う事が判明した。

なので、銀のインゴットに1%のタンカー・ホエール骨粉を混ぜて合金を作り、1mの銃身を6個作成した。

また銃身の周りは電気的には絶縁した空冷エンジンの様なアルミのフィンを取り付け、放熱する様にした。

銃身を6個集めた中心に照準様の魔動カメラと、魔動モーターそこに連結した角度検出用の魔動ロータリーエンコーダーを設置し、頂点を0°として、0°で電極と魔極が銃身の電極に設置され瞬間的に4万ジュールの電気が流れる様にした。

魔力は銃身に対し、強度と耐摩耗と冷却の為に流す事にする。

銃身の剛性を高め、各銃身が0°に達した際に一瞬止まる用にする。

台座には2軸の魔動サーボを取り付け、台座に掛かる発射時の反動エネルギーは時空間魔法で反重力を発生させて吸収する事にする。

これらを全て独立した魔動CPUで制御する。

弾は弾薬用の共有型時空間倉庫から無限に供給される様にした。


コクピットのナビ&レーダー用のガラスディスプレイに照準が表示され、タッチでも操作出来る様にして、トリガーは操縦桿にも取り付けた。

また、タブレット等からの遠隔操作でも照準と発射が出来る様にした。


海渡のアイテムボックスに入っているヒラメ君0号機の下部にハッチを取り付け、スタンバイでレールガン本体が機体の外に出る様にする事にした。

(通常時は格納されているので、空気抵抗は発生しない仕様)


が、ここで重大な問題が発覚。

強化TFG製のボディが頑強過ぎて、カット出来ないwwww


「えーーー! そんなにもぉ~?」

と思わず声を上げてしまう程に堅い。


「うーん、意外な所に伏兵がw まあ頑強ってのは嬉しい話だけど、二次加工出来ないってのは痛いなぁ。何か方法ないかな?」

と考え込む海渡。


取りあえず、テスト用の強化TFG製の板を1枚作り、レーザーを試したり、超高速回転アイスカッターを試したり、色々やってみるが、多少傷が付いたり、小さく穴が空いたりはしたが、実用性が無い方法だった。

そこで、ふと思いついたのが、時空間魔法による、空間切り取り。


文字通り、空間を異次元にしてしまうので、その場合、物体の接続自体が切れるんじゃないかと考える。

テスト結果は、予想通りで、ほぼ手段無しと思えていた『空間斬』(と名付けた)は有効な手段だった。


結果、空間斬を使った完成機の改造ラインを作成し、下部のハッチを忍者屋敷のからくり扉の様に180°回転させるるとハッチの裏側に付いたガトリング式レールガンが出て来る様にした。


海渡の0号機で試し、スタンバイまで問題無い事を確認した。


あとは、タングステンに銅を融着させた30mm弾丸を作るラインを作成し、取りあえず10万発を作成した。

ラインで作成した弾丸は弾丸用の時空間共有倉庫に保管される様にした。


あとは、小型のミサイルを作成してみる事にした。

先ほど強化TFGが頑強過ぎる事が判明したので、ボディはチタン製にする事にした。


で、問題は弾頭部分の効能?成分?だが、見た目が派手で、周囲に被害が拡散しない事を考えて、着弾点から指定された半径内に高さ20mの光シールドを発生する仕様にする。

内部は、気化爆弾の様に超高温になる火魔法と風魔法の酸素を付加した物にした。

所謂、魔動気化弾頭。


この魔動ミサイルは、巡航ミサイルの様な若干サメっぽい形状にして、発射直後に主翼と尾翼を展開するタイプにし、超小型の強化TFG製魔動ジェットエンジンを装備する事とした。

自動追尾も欲しいので、魔動カメラと魔動CPUによるターゲット認識を行い、自動追尾するようにした。

また、着弾して爆発時には、同時にこの強化TFG製パーツが全て粉々になるように、空間斬が発動する様にしている。

プログラムには、発射後の自爆機能も付けてある。


そしてミサイル製造ラインを作成し、ミサイル用の時空間共有倉庫に完成品を排出するようにした。

テストなので、10発だけ作成する。


胴体下部格納庫内に時空間共有倉庫から装填されるようにして、胴体の底のガラスディスプレイ用ハッチに4発取り付け可能なランチャーを付け、これも完成機の改造ラインに追加した。


これで、一応の兵器は完成。

テストは何処でやろうかな?

影響の無い場所だと、洋上だが、でも実際の破壊力も確認しないと、威力足りなければ、脅しにもならないし、もっと他に効能を付加するとかしないといけないからなぁ。


タブレットでワンスロット王国の都市集落を表示して、確認すると、結局別荘付近がベストである事が判明した。


「じゃあ、午後の講習会の後は、別荘付近でテストだなwww」

とほくそ笑み、少し早いが、大食堂へと向かうのだった。


大食堂では、ヨーコさんが避難民キャンプからやってきた新人45名に説明会を行っていた。

午後から、希望者に料理スキル講習会をやると、ヨーコさんには伝えてある。

ヨーコさん曰く、年明けに合流する孤児院の卒業生7名や、孤児支援組や既存のスキル保有者にも、声を掛けているとの事だった。


「料理スキルは有って困る事ないですし、胃袋を掴むのは重要ですから~w」

とニコニコしていた。



思い起こせば、過去に行った料理スキル講習で、何度も講習を受けてスキルLvを上げていたのは、オスカーさんの胃袋を掴む為か!!

とハッとする海渡だった。

そうか、あの頃からか・・・。


くそーー! こうなったら、ヤケで盛大に祝ってやろうじゃないかwww

(人はそれを嫌がらせと言う)



と心の中で悶々としていたら、フェリンシアとレイア、そしてステファニーさんも合流。


みんなでノンビリ昼食を取るのだった。

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