第294話
暫くすると、ランク判定の魔道具と、申し込み用紙を持って、アニーさんがやって来た。
そこで、アニーさんに、古いギルドカードの話をして、更新出来るかを聞いてみた。
「はい、基本的には大丈夫ですが、1年以上何の依頼も受けず、放置されている場合、ギルドカードの更新料金が2年単位で掛かります。
5年でしたら、2回分の更新料金を払って頂ければ、大丈夫ですよ。まあ普通は1年に最低1回は依頼なりやって頂けると無料なんですがね。」
と言われ、少し冷や汗を掻く海渡。
「あの~、ちなみにBランク1回の更新料金って幾らですかね?」
と聞くと、
「ああ、Bランクなら、銀貨1枚ですね。」
とアニーさん。
「ふぅ~、良かったね。高くなくてww」
とステファニーさんに振ると、
暫し考えて・・・
「えーー!? じゃあ、金貨1枚に銀貨25枚か!!!」
とorz状態になっていらした。
3人は渡された登録申請用紙に記入してアニーさんへ返す。
アニーさんは、記入された事項を確認し、ラルクの年齢欄あたりで、一瞬目が止まったが、そのままスルーして、
「じゃあ、1人づつ、この魔道具の丸い部分に手を置いて、魔力を流してみてくれるかな? これはランクを測る魔道具で、魔力からステータスを読み取って、
該当するランクの石が光る物なの。 じゃあカイト君からね。」
と昔聞いた台詞が繰り返された。
「お!!懐かしいなぁww まだ動いてるんかww」
とステファニーさんが呟く。
まずは、ラルク少年から始めるらしい。
「ラルク、行きます!!」
とラルクが魔力を込める。
魔道具のCランクが光った。
「え? Cランク? ああ、カイト君の関係者ならアリか・・・」
と失礼な事をボソリと呟くアニーさん。
続いて、アン・・・Cランク。
サニー・・・Cランク。
「・・・・やはり、カイト君の関係者だけあって、初っぱなから飛ばしますねぇ~。ハハハハ」
と乾いた笑い声のアニーさん。
ここで、アニーさんが持ち直し、ステファニーさんに向かって、
「では、冒険者カードを出して頂き、一応こちらのランク判定を行って下さい。」
と作者本人の前に、ランク判定の魔道具を差し出した。
「懐かしいなぁ~」
と言いながら、ステファニーさんが魔力を流すと・・・
Sランクが光った。
「うおー!! Sランクキターーー!」
とアニーさんが叫ぶ。
「お、久しぶりやったけど、カイト君のお陰で、ランク上がったようやなww まあ体力は無いねんけどなw」
と喜ぶステファニーさん。
アニーさんが、3人の申請用紙と、ステファニーさんのBランクカードを受け取って、
「では、新しいカードを持って来ますので、暫くお待ち下さいね。」
と言って足早に去っていった。
「ねえ、ステファニーさん、あの魔道具って、どう言う基準でランク判定してるの?」
と聞いてみた。
すると、
「古い話やさかい、細かい数値やなんかは忘れてもうたけど、魔力、筋力、俊敏、武術のスキルの数とLv、魔法の属性の数とLv、戦闘系のスキルの数とLvをな、係数を掛けて足した値で判定してたと思うわ。
当時最強と言われていた、SSランクの冒険者がおってん。その人の数値と、各ランクの冒険者の数値をサンプリングしてなぁ~、それで各ランクの大体の数値を割り出したんよ。」
と遠い目で説明してくれた。
暫くすると、ドアの向こう側が騒がしくなり、それから暫くすると、ギルドマスターのアルベルトさんとアニーさんが、ギルドカードを持ってやって来た。
「あ、アルベルトさん、お久しぶりです。」
と挨拶をする海渡。
「カイト君、フェリンシアちゃん、どうも。 あと・・・あのぉ~失礼ですが、ステファニー・ヨハンソン様でお間違いないでしょうか?」
とアルベルトさんが、ステファニーさんに聞いて来た。
「ああ、うちがステファニー・ヨハンソンやで?」
「おお!あの魔道具の天才と言われたステファニー・ヨハンソン様ですよね!? ランク判定魔道具と現在の冒険者ギルドのシステムを構築された、あのステファニー・ヨハンソン様ですよね?」
と念を押すアルベルトさん。
「まあ、冒険者ギルドのランク判定魔道具を作ったんは、うちやけど、魔道具の天才は、ここに居るカイト君やで? うちは、カイト君の魔道具に惚れ込んで、カイト君のお嫁さんにして貰う為に来たんや。
この子、もうほんま強いし、ご飯は美味しいし、作る物はゴッツイし、うちメロメロやぁ~❤」
と聞き捨てならない台詞。
「いやいや、まあ縁あって、うちの商会に入って頂いただけですからね? それに俺、まだ6歳ですし。 そこら辺、誤解無きように!!」
と慌てる海渡。
横で腹を抱えるフェリンシア。
「うぉーー!本物だーー!!!」
とアルベルトさんが咆哮。
一頻り騒いだ後、通常モードに何とか戻り、取り残されていた少年少女にギルドカードが渡され、ついでにステファニーさんにも新しいSランクのカードが渡され、4人は血を1滴垂らして初期化した。
ステファニーさんのカードは一度古いカードから情報を移すと、持って行かれた。
ちなみに、ステファニーさんの更新料金だが、貢献度から言っても当然と、更新料が無料となった。
大丈夫かな? 無理してないかな? と少し心配したが、ステファニーさんはホッとした表情になっていたので、スルーした。
カードが戻って来て、受け取り、カード内の残額を聞いたステファニーさんが、狂喜乱舞していた。
何か、給料とか退職金とか魔道具のロイヤリティーとか諸々が入ってたらしく、
「これで、暫く食い放題やwww」
と言っていたが、
「あれ?コーデリアを出る時に、金貨5枚渡してますよね?」
と不思議に思って聞くと、
「ああ、あれな? 食べたで? あとチョコチョコした物こうたら、無くなったw」
と豪快な散在っぷりを語っていた。
何をどんだけ食べればこの短い間に500万円分食べ尽くすのか、一度シッカリ聞いてみたい物だな。
その割には全く実ってないようだが・・・とチラッと目をある部分に向けると、一瞬にして殺気を感じ、スルーしたのだった。
さて、色々と脱線したが、少年少女の本日の成果を買い取って貰い、更に該当する依頼があったらしく、それも任務達成に加算してくれた様だ。
最後は、依頼の報酬と買い取りのお金を3人で割って、手元に貰って喜んでいた。
「「「ありがとうございます。これも兄貴(カイト様)のお陰っす(です)」」」
「おう! まあ、それは良いが、あの約束だけは忘れるなよな?」
と再度念を押す海渡だった。
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