第293話
さて、壁だが・・・まだ1/3程度しか終わってない。
「フェリンシア、これじゃあ、夜になっても終わらなさそうだし、反対側から手伝ってやってくれる?」
と言うと、
「了解であります!」
と敬礼して来た。
「よし、フェリンシア軍曹、掛かれ!!」
と言うと、
「アイ・アイ・サー」
と壁へ飛んで行き、キッチリ2倍の強度で壁を製造し出した。
「うん、フェリンシアはやっぱり速いね。」
海渡は最後の仕上げで、滑走路を迷彩色に着色した。
そして、上空70mぐらいで、新しい秘密基地を確認する。
「うむ・・・、まあ判ると言えば判るが、判りづらいかな?」
地上に降りて、壁を見ると、フェリンシアとレイアの壁が融合する所だった。
ザックリと見て、フェリンシアの壁は合格。レイアの壁は、最初が全然ダメで、後半はかなり良くなっていた。
サクッとダメな部分を含み、均一になる様に海渡が魔力を込めて造形すると、壁一周が、薄く光り、光沢のある綺麗な壁になった。
更に海渡は壁全体を迷彩色に着色した。
全員が、
「「「「うぉーー!」」」」
と響めいた。
「おもろいガラやなぁ。これはあれかいな? 偽装??」
と鋭いステファニーさん。
「そうです。迷彩色とか、カモフラージュカラーって言うんですが、遠目に建物とかが判らなければ良い程度ですね。他にもやりようはあるんですが、面倒なのでw」
と説明した。
「ちなみに、他にもデザインあるんですよ? これは新しいドローンで、コードネームは『ヒラメ君(仮)』って言うんですが、これは、スカイカラーのデジタルモザイクですね。」
とヒラメ君0号機を取り出した。
「おおお!デカい!!」
と全員が驚く。
フェリンシアもレイアを抱いて戻って来て、
「ああ、これがあの超速い機体ですね?」
と言って来た。
「あ、全員、これも内緒だからね? ここの施設は、この機体の為の秘密基地なんだよ。この機体、凄すぎて、まだまだ世に出せない感じだからね。」
と口止めした。
ステファニーさんにせがまれて、内部を見せた。
「わぁ、これ、滅茶苦茶広いやん! でも、窓ないねんな。」
とステファニーさん。
「だって、これ元々はドローンですもん。デカいのでついでにコクピットを作っただけですからね。」
と言うと、
「うーん、なんや、勿体ないなぁ。」
と言うので、
「でも時期が来たら、これに主力機体を変更する事も出来ますし、その際には窓はないけど、ガラスディスプレイを装着して、外の風景を映し出す事も可能です。
まあ、穴開けて窓を作っても良いんですが、あまり窓を付けると、機体の強度が落ちますからねぇ。」
と説明した。
時刻は午後3時半を過ぎたので、トリスターへと戻る事にし、ヒラメ君を収納し、2号機でトリスターの空港に向かった。
さて、折角だからと討伐部位を持って、冒険者ギルドに行く訳だが、どうせなら、ついでに冒険者登録をしておけば?と言う話になった。
となると、アンとサニーは良いとしても、ラルク少年には保護者が居る!?
なので、空港に着く前にラルク少年から番号を聞いて、ジュリアさんに、連絡してみた。
まずはラルク少年から、ジュリアさんに話をして貰い、途中から海渡が換わって、本日のお出かけの成果を話し、決して無茶はさせないので、せっかくだから、冒険者ギルドに登録しておいたらどうだろうか?
と打診してみた。
「判りました。どうせ貴方から救って頂いた命ですし、本人の希望もありますので、カイト様にお任せ致します。何卒宜しくお願い致します。」
と言われ、
「了解しました。ちゃんと鍛えて、無茶はさせないようにします。」
と約束して、通信を切ったのだった。
「そうか・・・よく考えたら、4歳児だったよな・・・お前。5歳の時に冒険者登録出来たけど、4歳って大丈夫なんだっけ?」
と一抹の不安が。
ステファニーさんに聞いたけど、
「うーん、うちがギルドの仕事してたんは、250年前やし。 うち、魔道具作っとっただけやから、よう判らんわ。
ただ、うちの作ったランク判定の魔道具が反応すれば、ええんちゃうかな?」
と首を傾げていた。
「そっか。ところで、あの3人って、どれ位のランク判定でるかな?」
とステファニーさんに聞いてみると、
「そやな、案外Dランクぐらいまで光るんちゃうか? 魔力の総量はまだまだやけど、結構な実力やで?」
と言っていた。
ふむ・・・つまり、全く光らないって事は無い感じかな。
6人と1匹は南門を潜り、冒険者ギルドへと足を向ける。
勿論、途中の買い食いは必須だ。
「「「えーー!? まだ食べるんですか!?」」」
と驚く少年少女をスルーして、3人と1匹は、あっちへフラフラ、こっちでフラフラ、まるで屋台や露店の重力に逆らえない様な動きで進んで行く。
やっと、冒険者ギルドに辿り着き、扉を開けると、まだ混む時間帯では無かったので、ソコソコの冒険者が居る程度だった。
ドアを開けると、一斉に
「あ!カイトさん、フェリンシアさん、ちーーっす!!」
と冒険者が挨拶をして来た。
その声で、アニーさんがやって来て、
「あ、カイト君、フェリンシアちゃん、先日は良い依頼をどうも。今日はどんなご用件ですか? 解体ですが、ワイバーンはほぼ完了してますが、他がまだまだ時間掛かりそうなんですよ。」
と申し訳なさそうな感じで言って来た。
「ああ、いえいえ、それは大丈夫です。今日は別の用事で来ました。 この3人の冒険者登録をお願いしたくて。あと、該当する依頼があれば、その依頼の完了手続きと買い取りですね。」
と説明した。
「なるほど、了解しました。じゃあ、こちらの方に来て下さい。」
と別室へ案内された。
「うーん、そう言えば、うちも昔に登録したんやったなぁ・・・、まだ持ってた筈やけど・・・」
とマジック・ウエストポーチをゴソゴソしているステファニーさん。
「お!あったでwww」
と笑顔のステファニーさん。
ちらりと見ると、Bランクのギルドカードだった。
「へー!ステファニーさん、Bランクだったんだ?」
とカイトが言うと、
「うん、ランク判定の魔道具作った時に、ついでに作ったんよ。でもそれから何も使ってへんかったから、まだ有効かわからへんねん。」
と言っていた。
「じゃあ、ついでに聞いて、更新して貰えば良いじゃない?」
と気軽に提案した。
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