第269話


「えっと、他に怪我人は居ませんかね? あ、申し遅れました、通りすがりの冒険者のカイトです。」

とお辞儀をすると、


護衛の1人(さっきのおじさん)が復活し、

「この度はご助力ありがとう。俺はBランク冒険者のクリス。うちのパーティの者を助けてくれて本当にありがとう。」

と顔をクシャクシャにしながら頭を下げて来た。


すると、馬車の中から商人風の30代の男性と、20代後半に入ったぐらいの女性、10歳くらいの女の子と7歳ぐらいの男の子が出て来た。


「はじめまして、ダンケル商会をやっております、ガルンダと申します。この度は我々の窮地を助けて頂き、誠にありがとうございました。」

と家族全員で頭を下げて来た。


「いえいえ、丁度この先のドージャス村?でしたっけ? その途中でこちらの戦闘を見かけましたので。間に合って良かったです。」

と言うと、


「ん? ドージャス村ですか、丁度今から行く途中だったのですが、良ければご一緒に如何でしょうか? お礼もありますし。」

とのお誘いを受けた。


うーーーん、どうしようかな。結構予定も詰まってるし・・・しかし、ここでまた他に盗賊出ると、せっかく助けたのが意味ないし・・・。



「ところで、この街道?って盗賊が結構出るんでしょうか?」

と聞いてみると、


「最近、ちらほらとそう言う噂を聞いてまして、今回はいつもより護衛を強化したつもりだったんですが、如何せん多勢に無勢でした。」

とガルンダさん。


「今までは、盗賊が出ると言う話は聞かなかったな。どちらかというと、魔物・・・多くはゴブリンやボア系やホーンラビットの襲撃があるぐらいだったんだがなぁ。」

とクリスさんが補足。


「つまり、この盗賊は最近ここらを根城にしたって事かな。もしかすると、アジトにまだ仲間とか居る可能性ありますよね?」

と海渡が言うと、


「うむ。確かにその可能性は高いな。見たところ持ち物も無いし、どこかに盗品とか拉致された人を隠しているアジトがあると考えた方が正しいだろうな。」

とクリスさんも肯定。



少し離れた場所で、黒く簀巻きにされてる盗賊の頭に水魔法で大量の水をぶっ掛けて目を覚まさせると、

「おい、他の仲間は? アジトは何処だ? 素直に言えば命だけは取らない。言う気はあるか?」

と聞くと、


「はっ、誰が言うかよ。舐めるなよ小僧!」

と粋がっております。


「そうか、じゃあ良いや、他の奴に聞くから。」

と全員を闇魔法の触手で集め、水をぶっ掛けて叩き起こす。


「同じ質問を全員にする。他の仲間の人数とアジトを教えろ! 先に言って置くが、自白しなかった奴は持ち運ぶの面倒だから、魔物の餌にする予定だ。

ちなみに、俺はSSSランク冒険者の海渡。ガキだからって舐めると、身をもって後悔する事になるぞ?」

と言うと、クリスさんが、


「え!あんたがあの史上初のSSSランクのカイトさんか!」

と驚いていた。


「え? 先日あのワイバーンの群れを倒したと言うカイトさん? と言う事は、『さえじま商会』の会長!?」

とガルンダさん。



ワイバーンの一件を聞き、見る見る顔色の悪くなる盗賊達。


「へんっ!何がワイバーンだよ。そんな凄い冒険者が単独でこんな所に居る筈がねぇ!」

と青い顔をしながら強がる盗賊の頭。


「まあ、良いよ。端から順にお仕置きしていくとするか・・・言いたくなければ無理に言わなくて良いぞ? どうせ探す気になれば、すぐに探せるから。」

と言って、これ見よがしにドローンを50機空中に取り出す。


「これで人が居る場所を半径100kmで探せば良いだけだし。」

とタブレットを見せて、絶界の森の魔物が出ている画面を見せつける。


ドローンは待機モードで空中でホバリングしている。


海渡は空中に35本のアイスアローを全員の股間辺りを狙い、高さ3mに出す。


そして、左端の者の前まで行き、

「どう?喋る気になった?」

と聞くと、ブルブルと震えながらも、


「誰が言うかよ!」

と言うので、ザックリとアイスアローを股間に落とす。


ザクっと鈍い音と、「ギャーー!」と言う悲鳴が辺りに木霊する。


次は右端まで行き、

「お前はどうする?」

と聞くと、ブルブル震えるだけで喋らない。


「判った。」

とアイスアローを股間に落とす。


同じくザクッと刺さる音と共に悲鳴が木霊する。


両端は痛みでうめき声を上げながら芋虫の様にのたうち回っている。


今度は中央にいる頭の両隣に、

「おい、お前とお前、どうする?」

と聞くと、頭が、


「おい、お前ら、言うんじゃねーぞ!?」

と青い顔で脅しをかけている。


「あぁー、お前うるさいよ?」

と頭を睨み、


ホイッっとアイスアローを頭の股間に落とす。

ザクッと音がしてギャーーと悲鳴を上げる頭。


股間を潰した3名が余りにうるさいので、闇魔法の昏睡のを掛けて黙らせる。


「さてうるさいのは、始末したし、残りも面倒だから潰しておくかww」

と両端から順に潰して行くと、残り10名ぐらいになった段階で、


「助けてくれ!! 俺らが悪かった・・・何でも言うから、仲間は残り20名だ!」

と1人が叫ぶ。


「あ、お前! ズルイぞ!!自分だけ助かろうとするなんて!! アジトはここから東に10km進んだ林の中にある洞窟だ!!

攫った女が居る!お宝もあるから!!!」

と隣の奴が言う。


「本当か?でも遅いよなぁ・・・既に」

と全員分のアイスアローをぶっ刺した。



「「「「ギャー」」」」

と10人の悲鳴が木霊し、のたうち回っている。


チラリと馬車の方を見ると、男性陣は青い顔で、自分の股間を手で押さえ、内股になっていた。


「あ、ちょっとマズったかな?」

と頭を傾けて考えるも、


「いやまぁ、どうせ碌でもない奴らだし、股間残して生きていても、下手な遺伝子と犠牲者を残すだけだからなぁ?」

とスルーする事にした。


土魔法で小屋というか、牢獄を作り、『盗賊の檻』と言う看板を掲げ、「食べ物を与えないで下さい」と言う注意書きの立て看板も付けた。


その牢獄に闇魔法で昏睡状態にし、身ぐるみを剥いだ35名をぶっ込んだ。

待機中のドローン2機を東の森へと飛ばし、後のドローンは収納した。



そして、何事も無かったように、スタスタと帰って来る海渡。


「ここから、近いところにアジトがあるので、俺はそっちをやっつけて来ます。ドージャス村までは約35kmぐらいで、今の所、安全だと思うので、そちらに向かって下さい。

攫われている女性が居るらしいので、後でドージャス村へ連れて行く予定です。」

と伝え、唖然としている彼らを残し、10km東へ走って移動した。



瞬間的に消えた海渡を見て、現実に戻った彼らは、

「夢?」

と呟きながら、ホッペを抓り、離れた場所に檻が出来ているのを見て、現実だと確認したのだった。

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