第256話


その後、30分程話し、海渡は地下工房へとステファニーさんを案内した。


ズラリと並ぶ製造ラインの凄さに、その内容に・・・ステファニーさんは圧倒されっぱなしだったようだ。


「うち、こんなん初めてや!」

と熱っぽい表情で見ていた。



海渡は、1つ1つのラインの動作や動き、作りを説明していく。

それを聞く度に、「ほーー!」とか「ホンマ?」とか言いながら、必死でメモを取っていた。

中でも、魔動CPUの説明を一番熱心に聞いていた。


「なるほど、そう言う考え方なんや! おもろいわぁ~。」

と感心していた。


現在、極秘であるサーバルームへと案内した。


「一応、ここは私とフェリンシア以外は知らない特別な部屋です。」

と秘密を守る事をお願いしつつ、サーバルームの仕組みを説明した。


「いやぁ~ これは本当に想像以上と言うより異常やでw 凄い発想やなぁ。なんや、うちが作った冒険者ギルドのランク判定やシステムが、霞んでしまうわw」

と笑うステファニーさん。




そこで、

『フェリンシア、ステファニーさんに俺達の秘密の一部を教えようかと思うのだけど、良いかな?』

と伝心で聞いてみた。


『はい、私は大丈夫だと思ってますよ。沢山食べる人に悪い人はいませんからw』

と突っ込み所満載の返事が来たがwww


『まあ、大食い=いい人と言う点においては、疑義があるけど、ステファニーさんは大丈夫と言う見解には同意するよw』

と言う事で、海渡はステファニーさんに付与魔法の秘密?極意?を教える事にした。



「ステファニーさん、俺の知る付与魔法は、多分ステファニーさんや他の方が使っている付与魔法と、根本が違うと思うのです。知りたいですか?

ステファニーさんに出会うまでは、全く人に教える気がなかったのですが、ステファニーさんなら教えても良いかな? と思ってます。

知った秘密は俺達が死ぬまで、他言無用となります。あと場合によっては、俺達と近しくしている事で、悪党や貴族や国と対峙する事になる可能性もあります。

どうですか?その覚悟はおありですか? 別に無理強いはしません。」

と投げかけてみた。


すると即答で、

「ああ、そんなん、当たり前やw うちはとうに覚悟してるで? 秘密は死んでも守るよってに、安心してや!」

と笑顔で答えた。



「判りました。じゃあ、場所を移しましょう。」

とサーバルームから、ゲートを発動し、部屋へと繋ぐ。


突然の黒い空間の出現とその先に見える部屋の風景に驚くステファニーさん。

「さあ、部屋でゆっくり話しましょう。」

と手を取り、ゲートを抜ける。


「これ、お伽噺に出て来る、転移魔法?」

と部屋に辿り着いたステファニーさんが呟く。


「転移というか、空間と空間を繋げた『ゲート』と言う魔法ですね。なので、飛行機が無くても、1度行った場所なら即座に繋ぐ事が可能です。

それを応用したのが、サチーさんの商会にもあった時空間倉庫ですよ。」


ソファーに座り、付与魔法の話を始める。


「ステファニーさん、魔道具の付与魔方陣書くときって、どう言う文字で書いてます?」

と聞くと、やはり魔法言語文字と呼ばれる古の文字との事。


「ふむ。それだとかなり魔方陣の文字数制限とかに引っかかるし、表現力の問題とかで、作るの大変じゃないですか?」

と聞くと、


「ほんま、それよ!」

と激しく同意された。



で、本題。

「まず、魔方陣ですが、魔法言語文字でなければならないと言うのは嘘です。如何なる文字であっても、ちゃんと構文が合って、それに見合った魔力供給源と

その魔法規模に耐えうる素材だったら、どんな言語を使っても、見合った魔力を込めて魔法陣を書けば、発動出来るんですよ。」

と暴露すると、


「えーー!?」

と『ガーーン』と言う表情で絶叫。



「俺の作る魔道具の文字ですが、魔法言語文字でも、世界共通文字でもありません。

別の日本語と言う文字を使って作っているのです。

その日本語には、詳しく言うと、ひらがな、かたかな、漢字と呼ばれる物がありまして、その漢字を使うと、凄く効率よく魔方陣が掛けて、文字数も少なく色々な効果を付ける事が可能なんですよ。

なので、ステファニーさんには、その漢字を含めた日本語の文字を覚えて貰おうかと思ってます。多分直ぐに使いこなせる様になりますよ?」

と言うと、滅茶滅茶食いつき、大喜びしていた。


「なるほどなぁ・・・、そやからカイト君の魔方陣は、全く既存の魔方陣とバッティングせんかったんか。納得やわぁ~。」

と『考える人』の様な格好で頷いていた。


「とはいえ、世界共通文字は67音分ですが、日本語は55文字+漢字を多数覚える必要があるので、辞書を作ろうと思ってます。なので、少し時間掛かるので、もうちょっと先になります。」

と言うと、


「うん、判ったわ・・・ でも早めにな!」

と大乗り気のステファニーさん。


「ええ、俺としても、早くステファニーさんに、戦力になって貰いたいですしww 頑張りますw」

と言いつつも、辞書を作るのが面倒だなぁ・・・と元の世界の辞書の分厚さを思い出し、心の中でうんざりする海渡だった。

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