第255話


トリスターの空港には、連絡を受けた、アルマーさんと馬車が到着しており、出迎えられた。

ヨーコさんと秘書改め、総務部隊の方々も来ていて、それぞれにバトンタッチ。


アルマーさんには、ついでに、絶界の森の監視用端末を2つ渡し、軽く使い方を教えた。


「まあ、必要になる事は少ないと想いますけどね。」

と言いつつ。

あと、避難勧告は海渡の居ない間にやっと解除されたらしい。




ステファニーさんは、海渡の横を離れなかった。

どうやら、自国を出るのは初めてらしく、一応人見知りモードが発動しているっぽい。



そんなステファニーさんを、ヨーコさんに紹介すると、

「え!? あなたが、あの有名な魔道具の天才と言われたステファニー・ヨハンソンさんですか!」

と滅茶苦茶驚いていた。



ヨーコさんは、一足先に、新しいスタッフを引き連れ、店へと戻っていった。

海渡は、サンドラさんに連絡し、コーデリア王国から戻って来た事を伝えると、可及的速やかに行く!と切られてしまった。


ふふふ・・・驚きの『ご対面』が楽しみであるw


南門から場内に入り、3人で屋台を巡りつつ、本店へと向かう。

キョロキョロと辺りを見回すステファニーさん。


そんな様子を見た海渡が、

「なんとなく、借りてきた猫が、落ち着き無く、辺りをキョロキョロと伺っている感じに似てるよねw」

と笑うと、フェリンシアもクスクスと笑っていた。


本人はそこまでの余裕が無かったのか、スルーだった。



しかし、それも店舗に辿り着くまでの話。

海渡の作った店舗を見たステファニーさんのテンション凄かった。


「何や、この店舗!!!!何やこれ?何この長蛇の列?」

とデカい窓ガラスや鏡、エスカレーター、2階の魔道具等等、周りのお客さんがドン引きする程、興奮しっぱなし。



辺りの目がヤバいので、直ぐに店舗から裏の屋敷の方へ、引き摺るように移動する。


今度は屋敷の大きさを見て驚愕し、ゲートのセキュリティシステムや、建物の中の広さや設備、そしてエレベーターに大興奮。


5階へ上がり、展望風呂を見せると更に興奮。


海渡達の部屋の隣の部屋へ案内し、ここを自室にするように伝えると、


「えーーー!?何で、うちだけ別の部屋なん?」

と大ブーイング。


「うちも、同じ部屋が良い!!!」

と駄々をこねるステファニーに、


「まあ、隣の部屋ですから、安心でしょ?」

と何とか宥めたのであった。




やっと、部屋割りが落ち着き、少々疲れモードで1階の応接間へと降りて、ダスティンさんを呼んだ。


直ぐにダスティンさんがやって来て、


「お帰りになったそうで・・・・って、うぉーーーー!!!!ステファニー?」

と叫んでいたwwww



予想通りの反応、ありがとーww とニヤリと笑う海渡。



「え?何で?ステファニーがここに? 奥地に引っ込んだって聞いてたけど?」

とダスティンさん軽くパニックっている。


ステファニーさんが、

「うち、カイト君の作った魔道具にメロメロになってん。ほんでな、サチーの所でカイト君におうてな、カイト君のところに嫁いで来たんねん。洋服もプレゼントしてもろたし❤」

と言った。



すると、ダスティンさんが頭を抱えながら苦笑し、

「そうか、良かったなステファニーw」

と言った。


「いやいや、だから何度も言うけど、そんなマイナーな風習知らないからね?」

と反論する海渡だった。


ダスティンさんは、サプライズの仕返しとばかりに、

「あー、まあやっちまった事はしょうがないですな。まあ悪い子ではないので、末永く仲良くしてやって下さいw」

と肩を揺らしながらクックックと笑っていた。


「・・・」

と絶句する海渡。


フェリンシアはニコニコして居る。


これ、何処までが本気で、何処までが冗談なんだろうか?

まあ、冗談だよね???

と内心冷や汗をダダ垂れ流し中の海渡だった。



そこへ、サンドラさん登場。

「カイト君、コーデリア王国から帰って来たって? 今回の戦利品♪ って・・・あーーー!ステファニーだーー!!!」

とサンドラさんが絶叫!


そしてステファニーさんに飛びついた。


「元気にしてたの?」

とサンドラさん。


「うん、奥地に引っ込んでたんやけど、カイト君の所に嫁ぐ為に出て来たんよw」

とかなり端折った雑な説明となった。



「そうか、良かったな!ステファニー!!」

とこっちもスルーっぽい反応ww


もう、そのネタお腹いっぱいですから!!!





「そうそう、そろそろ、また登録するんじゃないかと思って申請書を持って来たんだけど、どうする?」

とサンドラさん。


「おお、ナイスタイミングです!溜まって来たので、行かなきゃと思ってた所でした。」

と海渡。


「足りるかなぁ?」

とサンドラさんが50枚くらいの束を出して来た。


海渡は、受け取り、メモ帳を出して、書き写しては、チェックを入れを繰り返す。

48枚使い、取りあえず、偵察ドローンと端末までを完了した。

そして、登録料金を払い終える。



不思議そうに眺めていたステファニーさんが、

「なあ、サンドラ、うち、250年程引っ込んでたさかい、もしかして魔方陣とか魔道具の登録のシステムって変わったん? 前は色々登録前にチェックあたやん?」

と聞いて来た。


「ああ、その事か、いや変わってないよ? たださぁ、ビックリする事に、カイト君の申請って、100%登録出来るんだよねぇ~。

全く被りが無いんだよ。だからこそこうやっても問題出ないんだよね。」

とサンドラさんが説明すると、


ステファニーさんが驚いていた。


「だから、仮に真似しようと思っても、誰も真似出来ないんだよねww 仮に魔方陣見ても、何の事か判らないし。」

とサンドラさん。


「やっぱ、うちのダーリンは凄いなぁ~♪」

と嬉し気なステファニーさん。


海渡は『ダーリン』の部分に複雑な心境。

フェリンシアとダスティンさんは、クスクス笑ってる。


「あ、カイト様、ご安心下さい。ワンスロット王国もコーデリア王国も一夫多妻制ですからw」

とダスティンさんが追い打ちを掛ける。


「・・・」

既に反論する元気が無い。



気分を変える為、

「そうだ、忘れ無い内に・・・今回の戦利品を分けましょう。」

とダスティンさんとサンドラさんに酒樽や刺身や海鮮丼や寿司、ラーメン等色々と出して行く。


もう2人のテンションがMax状態。


「良いんですか?こんなに沢山貰って?」

とダスティンさん。


「大丈夫だよ、ちゃんと余分に買ってあるからね。あと、稲作を今度テリラス領で始める予定だし。」

と言うと大いに驚いていたのだった。

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