第236話


「久々だけど、またアレやるんですか?」

とフェリンシア。


「だなww」

と海渡。


「ん??? アレ?」

とサチーさん。


「サチーさん、ちなみに、この家の築年数は何年ぐらいですか? あと倉庫も。」

と聞く海渡。


「おいおい、今更な質問だよねw えーっと・・・確か築310年以上だったと思う。倉庫はそれより50年新しいな。」

との事。


「うーん、鑑定してみるか・・・」

鑑定

*****************************

古民家

 説明:築312年。かつて中規模の商人が建て、210年前にロデム商会の先代が

    買い取った家。

    2階建で、屋根裏部屋と地下にも貯蔵庫がある。

    リフォームは一切行われていない。

*****************************


*****************************

倉庫

 説明:築258年。かつて中規模の商人が建て、210年前にロデム商会の先代が

    買い取った倉庫。

    リフォームは一切行われていない。

*****************************


「なるほど、家は築312年で、倉庫は築258年か。と言う事は・・・家は311年、倉庫は257年ぐらいにするか。」

と呟きながら、時空間魔法で建物の時間を312年分巻き戻すイメージを作る・・・魔力を集め建物全体を範囲にして発動!『リワインド』


建物全体が光に包まれ、家の外壁の亀裂は再生するように消えて行き、壁は真っ白に。

一部ヒビや割れたが入った窓ガラスは逆回しの用に新品になり、屋根までピカピカに変わって行く。

塀も門柱も錆が無くなり、新品の輝きを放つ。


続けて、倉庫にも257年分巻き戻すイメージを作る・・・魔力を集め建物全体を範囲にして発動!『リワインド』


倉庫も全体が光に包まれ、外壁の亀裂は再生するように消えて行き、壁は真っ白に、屋根は黒光りしている。


続けて家と倉庫全体に泡で包み込んで洗う様なイメージで『クリーン』


2つの建物が淡く光り、一瞬で消えた。


「ふぅ~、終わったww」

と振り返ると、


サチーさんが、アングリと口を開けていた。


海渡はそれとなく、

「じゃあ、中に入ってみましょうかw」

と声を掛ける。


サチーさん再起動。

「なんだ!今の魔法は!?」

と、唾を飛ばしなら、食い入るように詰めて来る。


「ああ。時間の巻き戻しをしたんですよ。建物的には、今築1年と言う所にしました。」

と海渡が事も無げに説明する。


「なんと非常識な魔法www よくそれだけの魔法を放つ魔力があるよなぁ。普通じゃないな。あ、元々が普通じゃないかwww これなら白金貨20枚で売れるぞ!w」

と大笑いするサチーさん。


中に入ると、真新しい木の香りが漂う様な新築同然になっていた。


ピカピカで、8畳程の玄関ホールに続くドアを開けると、キッチンとダイニング。手前にはリビング。


廊下の反対側には、応接室が2つと広いトイレが2つ、奥には、なかなか広い風呂。


階段を上がって2階へ上がると部屋が6個とトイレが2つ、洗面所が2つあった。


地下室は、ちょっとした広さの倉庫になっていた。


勿論時間の巻き戻しと共に、魔道具の魔石もチャージされており、全部使える。

「え?魔道具の魔石は切れてた筈だったんだけど・・・ これも元に戻るのか!!」

と驚くサチーさん。


「ああ、それなんですが、前にご招待したあの屋敷あったじゃないですか、あれを巻き戻した際、かなり危なかったですよw 魔石をリチャージする分の魔力もゴッソリ盗られちゃって、結構フラフラになりました。あそこ、魔道具が多くてwww」

と海渡が言うと、


「え?君の魔力でリチャージされたの? 大概化け物だとは思ってたけど、本当に魔力お化けだなww」

と呆れた様に笑うサチーさん。


「化け物は酷いなぁ~」

と笑う、海渡とフェリンシア。


「ところで、今夜はどうするね? まだベッドも何もないから、うちに泊まれば?」

とサチーさんが勧めてくれたが、


「ああ、ベッドも持って来てるから、大丈夫です。ご心配ありがとうございます。今日からここに泊まって、色々やってみますよ。あ、あと質問ですが、隣の倉庫を例えば店舗とかカフェとか大衆浴場とかに変えたりすると、拙い事とかありますかね?」

と聞くと、法律上は何も問題無いので、商業ギルドに一報報告を入れるだけで良いらしい。


「なるほど。ありがとうございます。」


最後に、再度鍵の渡し忘れが無いかをチェックして、サチーさんは帰って行った。

「いやぁ~、安い買い物だったんじゃないかなぁ?」

とニヤける海渡。


応接室とリビングにソファーやローテーブルをアイテムボックスから出して配置し、ダイニングには長いテーブルと椅子を10脚出して、2階の角部屋に海渡とフェリンシア用のベッドとソファーとローテーブルを配置した。


カーテンを適当に付けて、一応は部屋らしくなった。


「取りあえずは、こんな感じで良いかな。」

と海渡が聞くと


「あ、お布団も出して下さい!!」

とフェリンシア。


慌ててシーツと布団と枕を出して、セット完了。


「ふぅ~。後は風呂か・・・どうしようか? ラピスにお願いしちゃう?」

と海渡がフェリンシアに尋ねると、


「呼んだ?」

とラピスが登場!

「あら、ラピスさん、お久しぶり!! 美味しいお饅頭あるんだけど食べる?」

とフェリンシア。


「あら、フェリンシアじゃない、久しぶりに気がするわね? で、そのお饅頭って何?」

と涎を垂らす、水の精霊王ラピスww


「餡子っていう甘いのが入ってるの。美味しいわよ!」

とフェリンシアが、2種類の饅頭を皿に出して、テーブルに置く。


海渡は、ササッとフルーツジュースを出す。


饅頭に取り付いて、ガツガツ食べる水の精霊王w ホッペは黒い餡子まみれwww

最後に体のサイズの2倍のサイズのコップに入ったフルーツジュースをゴクゴクと飲み干した。


「ぷはぁ~♪ 美味しかったわ! で、何処を温泉にすれば良いのよ?」

とラピス。


海渡は、風呂場に案内し、湯船のお湯の供給口を指さして、

「ここをお願いします!」

とお願いする。


「判ったわ! ホイッと。」

と温泉にしてくれた。排水もついでに処理してくれた。


「ラピスさん、ありがとう!!」

とフェリンシアが饅頭の入った箱を献上すると、


「ふふふ、流石フェリンシア、判ってるじゃない!! また呼びなさいよ?」

と帰って行かれました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る