第235話


宴会が終わり、応接室で商談のお茶を飲みながら続きを再開する。


「と言う訳で、自動炊飯器、売れると思いませんか?」

と海渡が尋ねると、


「ああ、間違い無く売れるな! これ幾らなの?」

とサチーさん。


「ああ、これですが、幾らにするかサチーさんと話し合って決めようと思ってたんですよ。ほら、この国だとお米は主食ですが、ワンスロットだと、まだ全く普及してないですからね。」

と説明する。


「なるほどな。一般の売価は5合炊きが金貨2枚~金貨2枚と銀貨50枚、1升炊きは金貨4枚~5枚かな・・・。」

とサチーさん。


「じゃあ、それの6掛けで卸しますよ。」

と答えた。


「今回何個持って来てる?」

と聞くので、


「そう、それも相談しようと思って来ました。サチーさんの所、卸価格は今と同じで、特約店の契約しませんか? そうすれば、仕入れが簡単に出来る様に、トリスターの本店とこちらを時空間倉庫で繋ぎますが?」

と言うと、滅茶滅茶食いついてきた。


「なんだい、その時空間倉庫って?」

と。


そこで、海渡が時空間で共有出来る倉庫の説明をして行く。


「代金の引き渡しはどうするの?」

と言うので、レジスターの特約店用特別版を1つ取り出し、レジスターの使い方を説明する。


「つまり、通信機で注文し、その代金をここで入力して、合計金額をここに入れると、その時空間倉庫から注文の品が取り出せると言う事で、認識あってる?」

とサチーさんが確認してくるので、


「はい、その通りです。」

と答えると、


「是非特約店契約をしよう!!」

と即決したのだった。


なので、時空間倉庫を置く部屋を決めて貰い、その部屋に時空間倉庫の扉とそれにリンクしたレジスターを設置した。


「じゃあ、実験しましょう。5合炊きは何個必要ですか?」

と聞くと、


「取りあえず100台欲しい。」

との事で、トリスターに電話して、5合炊き100台をロデム商会に繋がっている時空間倉庫に入れて貰った。


「じゃあ、このレジスターで、1台の値段が、金貨2枚に銀貨50枚、この業販のボタンを押して、すると、1台の単価が金貨1枚と銀貨50枚となり、更に×ボタンを押して100と入れる。

精算を押すと合計金額が表示されるので、白金貨1枚と金貨50枚と出ます。そこで、このコイン投入口に投入すると、時空間倉庫の扉が開き、必要な数だけ取り出せる様になります。」

と次々と炊飯器を取り出した。


サチーさん、これは便利と大喜び。


「しかし、カイト君、君は凄いなぁ~。どうやったら、こんな便利な発想が出来るんだい? 君と会ってから、驚きの連続だよwwww」

と笑っていた。



次に、航路の航空運賃の話を開始した。

「基本的に、トリスター⇔コーデリア王国王都の航空運賃の30%をそちらの経費として支払うので、作って貰ったロビーの管理や、航空チケットの販売と管理をお願いしたい。」

と言うと、すぐに即決で了承された。


トリスター⇔コーデリア王国王都の航空運賃は金貨1枚と決まった。


運行開始時期なのだが、ロビーは既に完成したとの事だったが、

「ドロスに聞いたんだが、来年1月にヤルんだって? そうなると、正式な運行は来年の2月中旬ぐらいの方が良いよな?」

とサチーさんから言って来た。


「ああ、聞いているなら話は早いですね。私から言うのは拙いと思ったので、どう切り出そうかと考えてました。そうなんですよ。

こちらの戦力を大々的に知らせるよりも、隠密にしていた方が効果がありますからねぇ。なので、申し訳無いですが、来年の2月中旬くらいからスタートとさせて下さい。」

とお願いした。


「うむ。お互いの国防に関する事だから、勿論異議はないから安心してくれ。しかし勝たないと意味ないけどなw」

とサチーさん。


「任せて下さい。何が何でも、完全勝利にしますから。今回のワイバーンだって、奴らが差し向けた物みたいなので、容赦はしません。まあ、私とフェリンシアにとっては、嬉しいボーナスでしたけどねw」

と海渡が笑うと、


「災害級がボーナスかw はっはっは!こりゃイイww」

と笑っていた。


「あ、幾つか聞きたい事があったんですが、この王都で適度なサイズの家って買えますかね?ボロボロでも問題ないので。 あと、これはまだ微妙なんですが、商会の商品は、ロデム商会さんに任せるとして、土地があれば、カフェや温泉を作る事も考えてますが、そんな敷地って有りますかね?」

と聞いたら、


「王都に住んでるのは、基本エルフとドワーフばかりだから、商売用の土地は殆ど動きが無いんだよね。だからここ100年、そう言う商売の向きの土地が動いた話は聞かないね。家は結構、動きあるよ? どれくらいの家が欲しいの?」

と。


「そうですね。時々気軽に来て、何か出来る拠点になる所が欲しい程度なので、便利の良い場所で4,5部屋あれば、十分過ぎるぐらいなんですがね。」

と言うと、


「なんだ、それぐらいの家で良ければ、うちが持ってるのを譲る事も可能だが? 何だったら、今から幾つか見に行くかい?」

すぐ近くに何軒かあるとの事で、見に行く事となった。



1軒目、ロデム商会から徒歩5分、平屋10LDKキッチン、バス、トイレ、庭付き。

「え?なんか偉く豪華ですねw」

と言うと、サチーさんが、


「何言ってるんだいw 救国の英雄様達の屋敷じゃないか。これでも質素過ぎるぐらいだよ。本当ならドロスが率先して、家の1つや2つは献上するのが筋ってもんさね。」

と鼻息の荒いサチーさん。


「あ、いえいえ、褒美として、稲作のインストラクターや、醤油や味噌のインストラクターを派遣して貰ったりする事になりましたので、十分に頂いてますよ。

冒険者ギルドの方からも、討伐依頼の報酬貰ってますし、貰い過ぎなぐらいですよw」

と海渡がフォローを入れる。


2軒目、ロデム商会から徒歩7分、2階建て7LDKキッチン、バス、トイレ、(狭い)庭付き。


3軒目、ロデム商会から徒歩10分、2階建て5LDKキッチン、トイレ付き。


4軒目、ロデム商会から徒歩12分、北門から10分、2階建て8LDKキッチン、バス、トイレ、庭付き 但しボロボロ。


「おお!!ここは!!!!」

と思わず声を上げる。マップで距離をを確認していたのだが、距離的に一番海渡が動く範囲に近い事が判明したからだ。


「うむ・・・。まあメインストリートには近いんだが、ここはボロボロだからなぁ・・・。ここは無いだろうけど。ここが最後だ。あと、この隣の倉庫は今はもう今は使ってないけど、一応あるぞ!」

え?この隣の倉庫まであるの?


「サチーさん、ここ!!! ここを売って下さい!!!!倉庫と一緒に!!!」

とガッツリ食いつく海渡。


「え?こんなにボロボロで良いのかい?私的には一番無いだろうと思ったんだけどね? 本気みたいだなw」

と海渡の食いつきっぷりに驚くサチーさん。


「これ、売るのは構わないけど、かなり手入れするか、立て替えになると思うけど良いのかい?」

と念を押すサチーさん。


「ええ、全く構いません。倉庫込みで幾らですかね?」

とせっつく海渡。


「ふふふ、凄い食いつきっぷりに、若干こっちが引いちゃうよw じゃあ、ボロだから白金貨2枚でどう?」

と言われ。


「じゃあ、これで。」

と白金貨2枚を渡す海渡。


「マジかww 大丈夫、相場よりは安くしてるからね。さあ、今からここは君の物だよ。」

と権利書を取り出して、サチーさんの売却済みサインを入れ、所有者欄に海渡とフェリンシアのサインを入れた。


3人が署名に魔力を流して名義変更が完了。(らしい。なんせ初めてだったのでw)


こうして、コーデリア王国の王都に、海渡達の新しい拠点が出来たのであった。

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