第223話


そこへ今度は、

「よう!カイト君、授与おめでとう!www」

とニヤニヤ顔のアルマーさん登場。


「どうも、アルマー様。一杯食わされましたよw 王国としても、立場上、これだけの偉業をした者を放っておく訳にはいかなかったんだよね。

だから、一番君らの足枷にならない様な事を検討した結果、こういう事になったんだよ。

王様には他の案もあっただよ? 例えば、王女との婚約とか・・・、要職を与えるとか、王様の養子にするとか・・・。

もしかして、そっちの方が良かった?」

と不穏な案を並べられて、頭をクラクラさせる海渡。


「いえ・・・聞いた中では、これがベストだったと思います。ご配慮ありがとうございます・・・。」

と頭を下げたのだった。


「私としては、今回の呼び出しは、てっきり来年の1月下旬の話だと思ったのですがね・・・。完全に不意を突かれましたw」

と言うと、


「うむ。まあそれもあるんだけどね。取り合えず、ケジメとして、これはこれでw

あと特使も送る話になっているから、後で陛下に呼ばれる筈だよ?」

とアルマーさん。


「ふむ。どっちにしても早目に動いておかないと、連携もくそもないですからね。私も2,3日中にコーデリア王国へは行く予定でしたので、一緒に行けるようだったら、一番スムーズなんですがね。」

と海渡が言うと、


「多分、特使の人選その他はもう終わってる筈だから、この後で話をしておこう。」

とアルマーさん。


更に、続けて・・・

「ところでカイト君にちょっと聞きたい事があるんだけど、良いかな? 君の所の屋敷の建物って、一気に一晩で入れ替わったでしょ? あれってどうやって建設してるの?」

と。


「まあ、どこの支店の店舗や建物も同じなんですが、地下工房で、まず私が魔法を併用して建てて、ドアや内装とかの作成は大工さんや職人さんにお願いしてます。出来上がった建物は、アイテムボックスに入れて現地に行き、現存の物を分離して収納した後、土台を土魔法で作成して、その上に配置して魔法で土台と融合してます。」

と答えると、


「マジか! じゃあ、建物はほぼ魔法で作ってる感じか!! それって、例えば、城壁あるじゃないか、あれとかも割と簡単に作れちゃう感じ?」

と聞いて来る。


そこでピーンと来た海渡が、

「もしかして、トリスターの城壁を外側へ広げて場内を拡張したい感じですかね?ww」

と聞くと、


「ふふふ、察しが良くて助かるなw 実は君の商会のお陰で、今トリスターは大人気でさ、彼方此方から支店を出したいらしく、商会とか色々来ているんだけど、もう空き場所が無くてね。

だから、広げたいなぁと、考えてるんだけど、今から工事を開始しても、出来上がるのが10数年後・・・いや20年後とかのレベルだと意味ないし、悩んでいたんだよ。」

とアルマーさん。


「ふふふ、お世話になってるアルマーさんと、トリスターの為ですから、良いですよ! サクッと頑丈な城壁作っちゃっても。但し、1つお願い聞いて貰えますか?」

と言うと、


「おお!そうか!!!! それは嬉しいな・・・でもお願いが怖いなww」

とアルマーさん。


「多分、そんなに怖いお願いじゃあないです。 城壁を拡張したら、少しうちの商会にも土地を分けて欲しいと言う事と、あとは、現在あるトリスターのスラムの浄化と立て直しです。

今の崩れそうな建物を、一斉に撤去し、貧民街の『不衛生で汚い臭い』を綺麗な建物に変えて、集合住宅として、衛生的な物に変えて、ちゃんと働ける様にしたいなぁと。ちなみに、どれくらい広げる予定ですか?」


「なるほど、その条件は、逆に願ったり叶ったりだな。私としても常々なんとかしたいと思っていた所だし。広げるなら、今の半径の倍くらいにはしたいと思っているんだよね。今が大体半径5kmちょっとぐらいだから、半径10kmにしたいと思っている。」


「ふむ・・・半径が倍って事は、約4倍・・・つまり4つ分の面積にしたいと言う事ですね。城壁の長さが、現在31kmで、10kmだと約63kmか・・・約2日~3日・・・ぐらいあれば、多分作れますね。」

と即座に計算して答える。


「相変わらず、計算も建設日数も早いなwww なるほど、面積と言うのは土地の広さか? 2つ分ではなく4つ分になるのか?」

とアルマーさん。


「ええ、面積とは広さの事ですね。判り易く言うと、1kmのマス目をつけたら、半径5kmの場合、約78マスが出来るけど、半径10kmの場合は314マスが出来る訳ですよ。」

と説明する。


「ほほう、それは広いな。例えば、半径12kmにすると、どんな感じ?」

「6つ分より少ない感じですね。」

と答える。


「マジか。たった2kmでそんなに増えるのか!うーん・・・半径12kmだと何日かかる?」

と・・・欲が出たらしいww


「約75km強だから、3日~4日ですかね。フェリンシアが手伝ってくれると、2日ぐらいかなぁ・・・。」

と言うと、


「12kmでお願い出来るか!?」

と言ってきた。


「ちなみに、今の城壁はどうする感じです? 取り除きますか?」

と聞くと、


「うーーん、結構悩ましい所ではあるんだよ。スタンピードとか、敵が攻めてきた場合には、二重の防壁になるから残したいと思うんだが、町の利便性を考えると、邪魔なんだよね。」

と。


「うむ・・・確かに邪魔ですね。無くしちゃって、外の城壁を高くしちゃえば?今って5m~7mぐらいでしたっけ?」

と聞くと、


「そうだな、今は大体6mぐらいだな。」

との事。


「あまり高くしても、日差しの入らない所が増えるから、10mぐらいにしちゃって、3mの厚みでつくっちゃったら、どうですかね?」

と言うと、


「おお! 是非それで頼む!! で、城壁の建設と撤去の工事料金なんだが・・・10年ぐらいの分割でも良いか? 作る物が多くてな・・・」

とアルマーさん。


「うーん、工事費用ですか・・・。全然考えてませんでしたwww じゃあ、こうしませんか? 北、南、西、東にそれぞれ、120m×120mの土地をメインストリート沿いに貰い受ける事で

チャラって事にすれば、どうでしょうか? 一応、大きめの宿屋と、宿舎とか集合住宅を作ろうか?と考えてます。もっとも、着工はゲルハルト帝国の件が終わる頃の方が良いかもですね。」

と答えると、目を輝かせて、


「ああ、勿論それで構わないぞ! もっと必要なら言ってくれれば・・・それにしても、欲がないな。ハッキリ言って、それだけの工事となると、普通は黒金貨2000枚はくだらないぞ? 材料の石材とか色々あるし。」

とアルマーさん。


「まあ、浮いた予算で、沢山の人を雇えるし、スラムも浄化出来て、仕事にありつける人が増えるから、良い事じゃないですかね?」

と答えると、ウンウンと頷いていたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る