第210話


「さて・・・アルマーさんと王様に、ゲルハルト帝国の報告をしないといけないけど、どうしようか・・・」

と歩きながらフェリンシアに相談する海渡。


「そうですね・・・流石にゲルハルト帝国の内情をいきなり話すと、アルマーさんなら信じてくれると思いますが、王様はどうかな?って思いますよね。」

とフェリンシアも思案顔。


「だよな。王様が信じてくれたとしても、家臣が逆に怪しむ可能性もあるよね。まあ、最悪俺が行って宮殿ごと破壊してしまう手もあるんだけど、何処の魔王だよ!って話になりそうだし。

ただでさえ、前に絶界の森の事件で色々騒ぎになってるしねぇ・・・」

と海渡が悩む。


「まあ、まずはアルマーさんに相談してからだな。」

と気持ちを切り替えた。



店舗に近づくと、店は大盛況? 何か見物客も多そうな感じ。

裏のスタッフルームから入って、状況を聞くと、一夜にして巨大な屋敷が出来たので、見物半分、買い物半分らしいw


「まあ、レジもありますし、みんな接客スキルがアップしたんで、全く問題無く捌けてますからご安心下さい。」

との事だった。


屋敷に戻って、ヨーコさんから報告を受けると、パイロットスキルが全員Lv4になったそうです。


海渡がスカウトした、新しい従業員と孤児就業支援に入る子達も、喜んでいたとの事。


取り合えず、何処の支店も問題なく順調と言う事でした。




「ちょっと色々情報あったので、オスカーさんとヨーコさんと俺とフェリンシアで打ち合わせと言うか、会議と言うかやりたいんだけど、30分ぐらい良い?」

と聞くと、オスカーさんを呼んで会議室(←今回の屋敷に作った)で話を始める。


「では、まず色々情報が入ったので、報告と対策を話し合いたいと思います。

まず、ラステン、ジェイラス、ドエイヤの3つの都市・・・これはエリンガ領と同じで、領主がクソらしい。で、現在危機的状況の1歩手前。

救援に行くと十中八九、エリンガと同じ騒動になる事が、ほぼ確定。


次に、トスゲド、ラスマニア、ギュート、グレッセン、グリス、ドゲラオ、ラリス、サスケード、ハリセンは、やはり領主がクソらしいが、まだまだ危機的状況まで余裕があるらしい。

まあ行けば、エリンガと同じ騒動になるのも確定。


最後に・・・これは、うちと言うより、国家的な問題なんだけど、ゲルハルト帝国が、来年の1月下旬までに、ワンスロット王国とコーデリア王国に再度進行してくるみたい。

なので、多分、飛行機とかの需要が増える可能性が高い。


そこで、取り合えず大まかな予定としては、今年中に今の塩問題を解決し、全都市に支店を開設する事。そしてその後は、航空路線の拡充を目標とし、1月中旬までに100機を用意する事。


で、問題は、ゲルハルト帝国の件を、どうやって王様とコーデリア王国に知らせ、信用させるか?と言う事なんだけどね・・・」

と一気に説明した。



すると、2人とも

「「うーーん」」

と唸りだした。


だよなぁ・・・無理も無い。


オスカーさんは

「まず、私もヨーコさんも、多分他の従業員全員も、カイト様のお話しは100%無条件に信じます。多分、アルマー様も。王様もおそらく・・・とは思いますが、その家臣まだは信じない可能性が高い。

しかも今回はゲルハルト帝国の内情をどうやって知り得たのか?と言う、スパイ容疑の冤罪を掛けられる可能性があります。」

と言う。


「だよなw 俺もフェリンシアも、同じ事を懸念してて、それで2人に相談してるんだよね・・・。」

と海渡。


「おそらくカイト様を知る人間なら、無条件に信じると思いますが・・・

内容がゲルハルト帝国の陰謀に拘わってますし、差支えなければ、どうやって得た情報なのかを王様に教えると言う方法しかない気がしますね。」

とヨーコさん。


『うーん・・・どうしようか。女神様の事を言う? 前に女神様からは好きにして良いとは許可貰ってるけど』

とフェリンシアに伝心。


『少なくとも、この2人には話して大丈夫だと思いますよ。その上で相談した方が答えに繋がり易いかもしれません。』

『了解。』


「判った。じゃあ、まず2人だけに話す事にする。一応他言無用ね。実は、この情報は女神ジーナ様から頂いてる情報なんだよね。

前に、アレスター商会の証拠の件とか、ドラーツ公爵の件とかも同じ。」

と言って、2人を見ると、


「「やっぱり!!」」

と2人とも納得した様子。


「え?」

と逆に不思議に思うと、


「だって、普通の5歳児とは違いますもん。今までどんな神童と言われた子供や天才と言われた偉い学者さんでさえ、成し得ない様な事を、いとも簡単にポンポン出来る人なんて居ませんからねぇ。

逆に使徒様である方が納得いく話ですよw」

とヨーコさん。オスカーさんも横で頷いている。


「ただ、これを公にした時の方が、俺やフェリンシアに降りかかる面倒事は大きくなるし、下手すると、ヤバい事に巻き込まれそうでしょ?」

と聞くと、


「ええ、間違いないですね。変なのが湧いて出てきますよね。逆恨みとか不平等だとか色々言って集って来る奴が無限に出て来そうですね。」

とオスカーさん。


「と、ここまでを踏まえ、どうするべきか?と。」

海渡が聞く。


「「うーーん・・・」」

と唸る2人。


「まあ、最悪アルマー様と王様には、コッソリと本当の事を言うか。」

と言うと、


「まず、情報を言ってみて、反応を見てから、言うかどうかを決める感じでしょうかね?」

とオスカーさん。


「判ったそうする。ちなみに、俺は普通の人間だからね!(ちょっと+α付いてるけど) ただ加護を頂いて、チョコっと時々情報を貰ってるだけだからね?」

と言い訳をする海渡だが、


「「ええ、判ってます判ってますw」」

とニコニコほほ笑む2人。


まあでも、2人とも言っても、全然態度が変わらなかったのは、正直嬉しいなw と内心で喜ぶ海渡だった。


新たに5階に設置した温泉で展望風呂を楽しみ、その後また地下工房で格納庫と管制タワーを更に増産した。


そして、日付が変わる前に新しい部屋で眠りにつくのであった。

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