第201話


ドルガ君ら7名、スラムの孤児14名+3名合計24名が海渡とフェリンシアを先頭に、ゾロゾロとメインストリートを歩く。


「あ、そう言えば君達の着替えを買わないといけなかったね!」

とふいに気付き、

ドルガ君ら7名に自全員分の着替えを含み、小さい17名の服を手分けして買う様にお願いする。

男の子は男の子に、女の子は女の子にお願いした。

最低1人各3着、下着は5着分、靴も購入させる事にした。

銀貨50枚ぐらいあれば足りるとの事なので、念のため銀貨80枚渡しておいた。

一応、ボディーガードとして、フェリンシアにもついて行って貰った。


ちなみに、この世界の衣服や靴は、物の割に高価である。

理由は簡単で、元の世界の様に大量生産の工業製品ではなく、家内制手工業製品だからだ。

素材が綿であれ、絹であれ、その他の高級素材であれ、結局布は織機で人が織るので、その人件費のコストが一定額掛かるのである。

なので、裕福で無い庶民は、古着を買うのが一般的なのであるが、それでも良い金額なのだ。

よって、海渡が事も無く作ってしまった、織機のラインは、19世紀のイギリスで起こった産業革命の1歩も2歩も先を行く、改革なのだが、製紙の製造ラインと同じく、これを世に出してしまうと、それで食べている人達の職を完全に奪う事になってしまう事もあり、どうするか悩んでいたりするのだった。



一足先に宿舎へ戻った海渡は、スラムから連れてきた子供らの事を、ヨーコさんに連絡した。


お茶を出して一休みしていると、フェリンシアとドルガ君ら7名が帰ってきた。

そして、全員の着替え類を子供らに分配していく。

ナイスな事に、タオル等の生活用品も買ってきたらしい。

生まれて初めてまともな服や綺麗なタオルを手にした子供らは、それだけで大興奮。


「これ、夢じゃないよな・・・」

と涙ぐむ子も出る始末だった。


海渡は、

「大丈夫、夢じゃないから!

ちゃんと頑張れば、頑張っただけ幸せがやってくるよ。

まだまだ、これからもっともっと良い事があるよ!」

と励ますのであった。



幸福と言えば・・・そう美味しいご飯とお風呂だな!? と思いつき、

『領主館からの救出組』の集合時間には、まだ時間がありそうなので、


「じゃあ、先に風呂に入ろう!」

と言うと、キョトンとした表情をされた。

風呂を知らない子達に『風呂とは何ぞや?』を説明をした。


すると、滅茶滅茶テンションが上がる24名。


早速、風呂に移動する。

女風呂はフェリンシアが使い方やマナー等を教えるらしいww


脱衣所で、それぞれ服を脱いで、全員で風呂場に行く。


先ずは、海渡が見本を見せる為、浴室用の椅子に1人を座らせ、お湯を蛇口から出して、洗面器に溜め、


「さあ、目瞑ってーー」

と言って、頭からザパー!


「うきゃぁー♪」

と喜ぶ同じぐらいの歳の子www


次に石鹸で髪の毛を洗う。

見た事の無い石鹸の泡にみんな興味深々。

みんなも真似して頭を洗い出す。


「ああ、これ気持ち良いよ!!!」

とみんな大喜び。


洗面器にお湯を溜めて、

「石鹸の泡が目に入ると沁みるから、目をしっかり閉じるだよ。そうそう、少し下を向いて! じゃあお湯を掛けるよ?」

とザパーっと掛ける。


「まだまだ泡が残ってるから、泡が完全に無くなるまで流す事!」

と言いながら再度掛ける。


何回か繰り返して、今度は体を洗う。


タオルを一度濡らし、石鹸で泡を立て、背中や手や足、体中をキチンと洗う。


まあ、流石に前は自分で洗わせたよwww


「そうそう、ちゃんと隅々まで、袋の裏側も洗うんだよ。お尻もね!お尻の穴は一応、手に泡を付けて丹念にね。」

と言うと、


擽ったらいく、

「ウヒャウヒャ」

と笑っている。(勿論自分で洗わせてるよ?)


「足の裏も汚れているから、ちゃんと洗ってね?」

全員が終わると、


「じゃあ、今度は体の泡を落とします。お湯を掛けて、完全に泡が無くなるまで流す。そうそう、お尻も袋の裏もねw

後は、洗ったタオルを濯ぐんだけど、洗面器で濯いじゃダメだよ? この泡には、体から出た汚れの垢が付いてるんだよ。

垢が付いたタオルを洗面器で洗うと、垢が洗面器に残るの。そうすると他の人が洗面器使う時、垢の付いた洗面器を使う事になるでしょ?

自分が他の人の垢まみれの洗面器使うの嫌でしょ? だからタオルはお湯を流しながら濯ぐ様にしようね。

最後は顔を石鹸で洗います。洗い方は、石鹸を手に取って、泡を立てて、そうそうそんな感じ。で目を瞑って」

と海渡が自分でやって見せる。


「で、この泡を洗い流す。」

と完全に洗い流す。


「絶対に途中で目開けちゃダメだからねw 相当沁みるからね?気を付けてね」

と注意を促す。


「じゃあ、最後は使った洗面器と椅子を次の人が気分良く使える様に、洗うんだよ。みんなで協力しあって来た君らなら意味が判るよね?」

と洗って元の場所へ戻る。


「で、洗い流しの残った泡がなければ、湯船に浸かります。飛び込み禁止ね。ユックリ足から。」

と教え、その間に自分の体や頭を洗う海渡。


全部を短時間で終え、自分も湯船へ。


「どう?お風呂。気持ち良いでしょ?」

と聞くと、腑抜けた顔で緩んでるよ・・・みんなwww


「「「「はい(うん)、気持ちいいーー」」」」

とハモってらした。


「あまり長く入ると、湯あたりって言って、気持ち悪くなったりするから、自分で様子を見ながら5分~15分ぐらいで上がるんだよ。」

と注意する。(特に小さい子も居るし)


「小さい子は、危ないから絶対1人では入らない事。5歳より年上の人と入る様にしようね。」


と言うと、みんな「「「「はーーい」」」」と良い返事。


≪ピロリン♪ 新しい称号:温泉マイスター を取得しました。≫


ごめん、この称号は今一つ理解出来んわwww

と突っ込む海渡であった。

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