第200話


しかし、あんまりノンビリする訳にもいかないので、

「すみません、誤解も解けたようなので、園長早急にお話ししたいのですが、宜しいでしょうか?」

と園長に話しかける。


「ああ、申し訳ありません、では中でお伺いいたします。」

と中に案内された。(エスカさんはポツンと外に放置・・・)


そこで、海渡はここを卒業する子供らを雇いたい事と、更に女神様から、ドルガ、エスタ、マクレガー、キスリカ、セリスカ、ミリア、ラベンダの7名を助けて欲しいとお願いされた事を告げる。


しかも1人は栄養失調で、全体的に全員かなり状態が良くないと聞いた事を話した。住んでる場所は園長に聞けば教えてくれると聞いている、何処に行けば逢えますか?と。


すると、園長が

「先に案内します。助けてあげて下さい。」

と涙ながらに頭を下げて来た。


「じゃあ、急ぎましょう」

と足早に向かう。


かなり、治安の悪そうな・・・所謂スラムに入って行くジェシカさん。


海渡は、ジェシカさんに質問する。

「ここはスラムなのですか?」


すると悲しい顔をして、

「そうです・・・」

と答えるジェシカさん。


そして、ボロボロの1つの小さい小屋に辿り着くと、

「ドルガ、、エスタ、マクレガー、キスリカ、セリスカ、ミリア、ラベンダ、誰かいる? 私よ、ジェシカよ!!」

と声を掛けると、中から、ボロボロでガリガリの少年が姿を現す・・・。


少年の姿を見て、ジェシカさんが、

「こんなに痩せて・・・」

と涙を流す。

少年も、下を向いて涙を垂らす・・・。


海渡は、取り急ぎ、小屋ごと全員にクリーンを掛け、反応のあった7人全員にヒールを掛ける。


そして、

「これを全員で飲んで下さい。」

と岩塩入りのハチミツ水を与える。


少年少女7名は、良く判らない内に、体が綺麗になり、服も真っ白で汚れが無くなり、部屋に籠った異臭も消え、ポカンとしてる。


更に、いきなり全員の体が激しく光り、空腹はあるものの、体調が復活し、戸惑っていた。

小さい男の子から、飲み物を渡され、薦められるまま、コップの飲み物を全員手渡され、飲めと言う。


中から、芳醇で甘い香りがしていて、思わず一口飲む・・・二口・・・止まらず、全部飲み干す。


更にもう1杯ついでくれたので、飲む。


全員の顔色が見る見るよくなり、目に精気が宿る。


お腹が鳴り、胃腸が目覚めると、今度はなにやら、白い粒粒の物が入っていて茸や野菜が一緒に煮込まれた様なスープの様な物(雑炊)をお椀に入れて、スプーンと一緒に渡される。


お椀から漂う堪らなく美味そうな匂い。


「これを食べて! ユックリとユックリと沢山噛んでから飲み込む様に!」

と言われ、素直に従う7人。


その様子を驚きながらも暖かい目で見るジェシカさん。


その横でツンツンと肩を突っつき、お椀とスプーンを受け取るフェリンシアwwww


ついでに、ジェシカさんにもお椀とスプーンを渡し、みんなで一緒に食べる。


すると、匂いに釣られたのか、他の小さい子が14人やって来た。


「この子らは?」

と少年に聞くと、ここら辺に居る孤児だそうで・・・。


全員にクリーンとヒールを掛けて、全員に岩塩入りのハチミツ水を飲ませる。


他に子供が居ないかを聞くと、3人寝込んでいるらしい。


「じゃあ、その子も治療するから、案内して!」

というと3人が寝ている場所へと連れて行ってくれた。


同じく栄養失調と塩分不足。


クリーンとヒールを掛けて、岩塩入りのハチミツ水を飲ませる。


動けるようになったので、全員の元へと戻り、同じく、雑炊を食べさせる。


みんな、涙を流しながら食べている。

小さい子は海渡よりも小さい・・・。

4歳らしい。行き場の無い想いに胸が締め付けられる・・・。


ここはスラムに落ちた捨て子や孤児が集まる場所だそうだ。


ここで、一息ついた子供らに提案する。

「君達、うちの商会で働かないか? 勿論12歳まではお手伝い程度だけど、それまでに、必要な文字の読み書きや、計算を教えて上げるよ。

寝る所も、食事も心配要らないし、真面目に助け合ってお手伝いしてくれれば、大丈夫だよ。どうだい?」

と聞くと、


全員が

「「「「行きたい!!!」」」」

と泣きながら頷いた。


「じゃあ、一緒についておいで。」

と海渡。


そして、最初の7人も、

「うちの商会で働きませんか? ちゃんと給料も住む場所も、食事もあります。仕事はソコソコ忙しいですが。労働条件は悪く無い所です。『さえじま商会』と言います。」

と言うと、7人も


「「「「お願いします!」」」」

と頭を下げて来た。


海渡はジェシカさんに、

「ご案内ありがとうございました。お陰で間に合ったようでホッとしました。 あと孤児院を卒業する子が9名居ますよね? 良ければ『さえじま商会』で働かないか聞いて見て貰えますか?」

とお願いした。


「あと、何だかんだで時間掛かってしまいましたが、あの孤児院の運営資金は大丈夫ですか? 食糧や何かは足りてますか?」

と聞くと、悲しい顔になり、


「お恥ずかしいのですが、完全に干上がってまして、昨日から、みんな食べさせてあげられていませんでした。教会本部には救援の連絡を入れたのですが、まだ届いてないようでして・・・」

とジェシカさん。


「ああ、じゃあこの通信機を1台差し上げますよ。これでセイジさんにも掛けられますから。」

とセイジの番号と海渡の番号を教える。


一度教会に寄って、

「食料をお分けしますので、このマジックバッグを初期化して・・・そう魔力を流してもらって。じゃあ今から食料出すのでそちらに入れ替えて下さい。」

と小麦粉や砂糖、塩、肉類、お菓子や調味料まで、ドンドンだして渡して行く。


「え? まだ良いんですか? え?こんなに?」

と嬉しい悲鳴を上げるジェシカさん。


「あと、これは寄付です。またたりなくなったら、当方の支店の店長に伝えてくれれば、すぐに用意しますから。」

と白金貨2枚を渡した。


「ありがとうございます!!!」

と深々と頭を下げるジェシカさん。


「あ、ついでに勉強用の教材の文字カードと計算の教科書、魔法の教科書も渡して置きますね。あとは娯楽品ですが、みんなで遊んでください。」

と文字カードや本やリバーシとトランプを渡す。


9名には後でジェシカさんが伝えるとの事で、お願いして別れたのだった。


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いつもお読み頂き、ありがとうございます。

皆様の応援、大変励みになっております。

お陰様で200話を達成し、PVも40000を超えました。

まさか、これ程PVが増えるとは思ってもみませんでした。


処女作の為、拙い文章かと思いますが、これからも宜しくお願い致します。m(__)m

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