第202話
「お風呂から上がる時は、一旦ここで、体を拭く。脱衣所が濡れると気持ち悪いから、タオルを絞って、ここで拭くようにね。」
(ちなみに、これらのルールはラピスの湯でも、温泉やお風呂のマナーとして受付や脱衣所で徹底させている。)
小さい子も綺麗に拭いてやって、みんなで脱衣場に入り、新しい下着と服を身につけて食堂へと戻る。
冷やしたミルクを出してやって、お風呂上りに火照った体を癒す。
子供らがシミジミと、
「俺、何か生まれて初めて天国に居る様な気分だよ。夢じゃないよね?」
とまた涙ぐむ。
居る全員がハッとして、ホッペを抓ったりして夢じゃないと確認したりしてた。
「ふふふ、疑り深いなぁww 夢じゃないってw
今まで大変だった分、これから一杯良い事もあるさ! 頑張る人には、ちゃんと女神様が見守ってくださってるからね!」
と言うと、みんな嬉しそうに、笑顔を零す。
女の子らも戻って来て、冷たいミルクを飲んで、男の子と同じ事をシンミリと言ってて、男の子らが笑ってたwww
女の子が怒ってたけど、海渡が
「いや、バカにして笑ったんじゃなくて、さっき全く同じ会話を彼らもしてたんだよww だからやっぱり、みんな同じ想いなんだね?と言う笑いだと思うよ?」
とフォローを入れると、怒ってた女の子らも、爆笑してた。
風呂上がりの余韻に浸りつつ、まったりとしている子供ら全員に、マジックバッグ、マジックバックパック、マジックポーチの中から選ばせて、1つずつ渡した。
小さい子らは取り合えずポーチにしておいた。
初期化を教えて私物(洋服の着替えやタオル等)を入れさせる。
「「「「おおーーーー!」」」」
と驚く子供達。
更に、文字を知らない子らに、文字カードを渡し、使い方や勉強法を教える。
あとは、文字が読める様になったら、計算をこれで覚えるんだよ?と計算の本と、魔法の手引きも渡す。
小さい子らに文字を教えていると、領主館の44名が合流した。
すると、ここで、衝撃的な出会いがあった。
4歳の子の母親と、5歳の父親が44名の中に混じっていたらしい。
涙の再会で抱き合う親子。
他の子達には、ちょっと残酷だったかも知れないけど、まあ世の中には良くある話。
「実は、今日もあの後探して回ってました・・・」
と2人の男女は言っていた。
「良かったじゃないですか! 流石は女神様、粋な事をしてくれる。」
と海渡は女神様のサプライズに感謝した。
「明日以降じゃないと判らないんだけど、アレスター商会の敷地が他にあれば、そこに親子用の託児ルーム付きの宿舎も用意するからね。」
と説明した。
すると、一番年上の30歳代の男性が、
「ん?アレスター商会は確か屋敷を持っていた筈ですよ。この裏でしたよ?」
と有力な情報。
「ああ、やっぱりかwww」
と海渡が笑う。
「やはり、海渡の詠み通りでしたねw」
とフェリンシアも笑う。
そして、海渡は宿舎の外に出る。
みんなもそれに続く。
海渡はピョンと宿舎の屋根に飛び乗り、敷地の向うを眺めると、塀の向うに王都と同じ様なレイアウトの謝敷と敷地があった。
「あったよ、フェリンシア! 王都と同じレイアウトだったw」
と言うと、フェリンシアも屋根に飛びあがった。
「本当だwww ほぼ同じですねw」
と屋根で大笑いする海渡とフェリンシア。
それをポカンと見上げる24+44人の目。
「これで、託児所と温泉も作れるぜwww」
と直ぐにジェームズさんへ連絡する。
「あ、すみません、カイトです。今大丈夫ですか? アレスター商会の屋敷の件なんですが、どうやら店舗の真裏にあった事が判りました。
権利関係が今どうなっているか判らないので、取り合えず、調べて頂けると助かります。」
と屋根から連絡。
「判りました。他の敷地の有無も含め、急いで遡って調査します!」
との事だった。
通信を切って、下に降り、
「すみません、余りに良い情報だったので、思わず動いちゃいましたwww」
と頭を掻いて照れる5歳児。
一早く再起動した最年長の男性が、
「昨日も凄いとは思いましたが、カイト様、あなたは一体?」
と聞いて来た。
「あれ?言ってませんでしたっけ? 僕とフェリンシアって冒険者やってるんですよ。」
とギルドカードを見せると、
「何ですか、このSSSランクのカードは? 初めて見ました。というかSSランクが最高だったんじゃないのですか?」
との質問に、
「ああ、何かランク判定の魔道具で、SSS判定が初めて光ったとかで、SSSランクを作ってくれたんだよね。
という事で、僕らそれなりに結構強いのですよ。」
と誤魔化したw
「もしかして、カイト様ってエルフとかの成長の遅い種族で、実は100歳以上とかって事は?」
と聞かれたので、
「ああ、それも時々言われるんですが、正真正銘、人族で5歳です。」
と答えると、全員が揃って
「「「「「ありえねぇーーーー!!!」」」」」
とハモってました。
なので、
「まあ、『なくて七癖』って言いますし、個性って事でww それより、部屋割りして夕食にしましょうよ!」
と適当に流したのだった。
食堂に戻って、部屋割りをして貰ったら、何と!理想的な事に44組の2人と子供2人の様に、親代わりの様に面倒を見てくれる様な組み合わせにしてくれた。
さっきの親子の再会を目の当たりにした他の子らには、ある意味大人と一緒に暮らせるので、良いかもしれない。
そんな彼らに、海渡は、オークステーキやポテトサラダ、スープ等惜しみなく色々な料理を並べた。
全員が感激しながら美味しい美味しいとガツガツ食べていた。フェリンシアもねw
「やっぱり、いつ食べても海渡の料理は格別ですねww」
とご満悦のフェリンシア。
「え?これってカイト様の料理?」
と驚くみんな。
「うん、そうだよ、海渡は料理上手なんだよねw 調味料無いなら無いなりで、色んな工夫するから、いつも美味しいだよねw」
と無邪気に自慢してたww
「SSSランクの冒険者で、この料理の腕、あのもの凄い回復魔法・・・本当に凄い方だ。 何か、カイト様と話していると、カイト様の年齢を忘れてしまうなw」
と最年長者。
「まあ、前も料理は好きでチョコチョコやってましたが、山奥の少人数の集落で、親を含め全員が魔物の襲撃に合ってしまい、生き残ったのが俺とフェリンシアだけだったので、必然的に料理してました。
それで、山奥から一番最初に辿り着いたのが、トリスターと言う都市だったんですよ。そこで冒険者になり、縁あって商会を立ち上げたんですよ。」
と嘘っこストーリーを語っておいた。
すると、孤児院組のドルガ君が、
「じゃあ、カイト様も孤児なの?」
というので、
「そうですよ? まあ幸い、山奥でも生きる術を生前両親や周りの大人に教え込まれていたので、運よく生き延びただけです。
まあ、そのお陰でこうして素晴らしい仲間に出会い、こうしてみなさんと出会えた訳なので、女神様に感謝してます。」
と締め括った。
食事の最後の締めに、スイーツ各種を出してやると、
「何これーーー!」
と女性陣はメロメロ。
男性陣は
「うぉーー!」
と唸ったりしていた。
小さい子達は、プルプルと震えながら涙流して食べていた。
そして、みんな就寝。
海渡は、トリスターの第一地下工房へ行き、完成した託児所と王都型の温泉を持って、サルバドルの宿舎の裏へ出て、王都型の温泉を設置し、地下の洞窟風呂を作成する。
ラピスに頼んで温泉を出して貰い、お礼のスイーツとハチミツを渡して、従業員宿舎の横に託児所を設置した。
ヨーコさんを呼んで、託児所と温泉の鍵を渡し、明日迎えに来ると言って、サルバドルを後にする。
再び第一地下工房に戻って店舗セットと宿舎と託児所のセットを建設する。
夜の12時前に、やっとエリンガの宿舎へと戻ったのだった。
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