第194話


異世界2ヵ月と2日目。


本日は定休日。ヨーコさんには悪いのだが、休日出勤+出張と言うダブルパンチ続行中。 申し訳ない・・・。


取り合えず、朝の鍛錬を済ませ、部屋に戻る。


今日は朝からやる事が一杯なのだ。


部屋に戻り、フェリンシアが目覚めてないのを確認してから、一度トリスターの第一地下工房をへ行き、完成している託児所の建物を収納する。


新しく収納したのと同じ託児所の建物と、王都型の温泉とトリスター型の温泉を作り、棟梁達にお願いのメモを残し、ゲートでテリラスの宿舎前に出る。


土台を固めて空きスペースに託児所を設置して、食堂にメモと鍵を残し、やっとサルバドルの領主館の部屋へ戻った。



暫くすると、フェリンシアも目覚めて、2人でお茶を出して、ノンビリと雑談タイム。


朝食にお呼ばれして、ゲルグさんご一家と和やかに美味しい朝食を食べた後、ゲルグさんと長男のサイラスさんに、通信機を1台ずつ渡し、海渡とヨーコさんの番号を教え、1泊のお礼を言って領主館を後にした。


「ヨーコさん、なんか定休日なのに、働かせちゃってて、ごめんね。ちゃんと休日出勤手当出すからね。」

と謝ると、


「いえいえ、お気になさらずにw」

と言ってくれたが、


「いや、これは正式な商会全体の規定として、休日出勤は相応の日給又は代休を取る事にするよう、全員に知らせておいて。」

とお願いした。


すると、畏まりながら、

「了解しました。何か本当にカイト様の商会って夢の様な待遇の職場ですねw」

と微笑んでいた。


いやぁ・・・残業代とかの規定無いし、元の世界だと、かなりブラックと叩かれる筈なんだけどね・・・ と心の中で苦笑するのだった。


「そう言えば、確認してなかったけど、ここサルバドルって何がメインの産業なの?」

と今更ながらに聞くと、


「織物や繊維、それらを使った製品ですかね。シルクや綿製品が盛んです。農業もありますが、人口が多いので輸出する程ではないですね。」

と言う事だった。


「なるほど、そういう感じなんだね。じゃあ、あまり地場産業を潰さないように、気を付けないとね。」

と呟く。




時刻は午前8時を過ぎている。


屋台や露店で買い物をしつつ、アレスター商会の店舗の前にやってきた。


「なるほど、これか。」


『ふふふ、またしてもありましたよww ここの店舗と裏の屋敷にありますね。』

と智恵子さん情報。


『やはり書斎の本棚の裏?』


『はい、屋敷の方は、寝室の暖炉の裏ですねw』

との事。


「じゃあ、例の如く、中に入って、書斎を探しますかねw」

と笑いながら、封鎖された扉を壊して中に入る。


中はほぼ、ゴミか残骸のみで、2階の奥に書斎があった。


サクッと本棚を壊して、隠し部屋に入り、金庫を壊すと、中にあったお金

白金貨 82枚

金貨  429枚

銀貨  275枚

と他の書類も一応収納する。


「さて、ここはこれだけだな。格納庫の集合時間まであと5分しかないから、サクサク建て替えるね。」

と店の外に出て、地面から切り離したアレスター商会の店舗を、サクッと収納。


続いて、いつもの様に、店舗とカフェを設置する。


店舗の裏に廻って、屋敷の敷地に面する壁を取り除いて、敷地を繋げる。


時間になったので、2人には店舗で待って貰う様にお願いし、王都の格納庫へゲートで向かう。


格納庫には、トリスターに戻るオスカーさんらと、王都支店の店長とアンドレットさんが居た。


全員に

「おはようございます。王都支店のヘルプご苦労様でした。」

と挨拶をして、


アンドレットさんには、待っててもらいつつ、ゲートで残りの全員をトリスターの格納庫へと連れて行く。


「おはようございます。トリスター本店での研修ご苦労様でした。あと、サルバドル支店に行くトーラスさん達も、王都経由でサルバドルに行くから、付いて来てくれる?」

とお願いして、再度ゲートで王都の格納庫へと繋ぐ。


ここで、王都支店の人と別れ、サルバドル支店組を連れて、ゲートで2号機の中に移動した。


後部ゲートを開けて、西門から入った所で、待ち合わせをして、送り出す。


海渡はゲートで西門近所の路地に出て、何食わぬ顔で、西門の前でトーラスさん達を出迎えるww


全員無事に出迎えて、店舗で待つフェリンシアとヨーコさんと合流し、そのまま裏に従業員宿舎を設置して、やっと一休み。


「昨日、治療して回った訳だけど、面白い出会いがあってね、フェリンシアも気付いたかと思うけど、患者の多い場所って、所謂裕福で無い場所ばっかりだったんだよね。

で、どうやら仕事をしたくても、仕事が無いと言う人が多い所で、何人か見つけて今日、ここへ9時に集合する様に話をしておいたんだよね。昼頃には子供連れの女性もやって来るから宜しくね。」

と昨日の出来事を語る海渡。


「ふふふ、流石カイト様ww ちゃんとお土産を作って来てくれたんですね!? 手間が省けて助かります。」

とヨーコさん。


「まあ、まだ手慣れないからすぐには実戦投入は出来ないけど、一気にかなりの数が揃うのは、本当に助かったよ。」

と海渡。


「なので、トーラスさん達には仕事が増えて、申し訳ないんだけど、明日から新規の人達の訓練も宜しくお願いしますね。その内10名は店長候補が入ってるから、そこら辺も宜しく。」

と彼らに頭を下げる。


「了解しました! まかせて下さい!! ガッチリ鍛え上げますよww」

とトーラスさん。


「あ~・・・兵士の訓練じゃないから、ほどほどで!ww」

と突っ込むと、全員爆笑する。



午前9時になり、昨日声を掛けた25名が揃う。


挨拶をし、後はいつものように、ヨーコさんとトーラスさんにお任せ。

説明や契約等と、部屋割りをして貰った。

新規組25名は希望に満ちた、良い顔をしていたので、ホッと一安心。



手が空いた海渡とフェリンシアは、裏の取り除いた塀の向う側の屋敷へと向かい、

智恵子さんの情報にあった屋敷の隠し部屋へ直行して、金庫の中身をサクッと頂く。


白金貨 6521枚

金貨  2442枚

銀貨  569枚

宝石、魔石が多数・・・


「毎回思うけど、本当に良くため込んでるよなw まあこれだけ多くの人が泣いたんだと思うと、複雑な気分だな。」

と海渡。


「まあ、その分いつも爆買いしたり、寄付したりして、還元してるんじゃないんですか?」

とフェリンシアが慰めてくれるが、


「でも一度酷い目に遭って狂った人生はなかなか戻せないからね・・・」

と呟いたのだった。

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