第172話


屋敷に戻った海渡は、地下工房へ降り、階段とは干渉しない所に地下3階から地下1階まで貫通する四角い竪穴を土魔法で掘る。


その場所の1階をチェックすると、丁度廊下の行き止まり付近だったので、サックリと1階まで貫通さた。


穴の深さ+4mのミスリルのレールを2本作製し、エレベーターを挟み込むサイズで地面に垂直に突き刺し、地面や穴の全てをカチカチに固めた。


これで、レールが外れたり、緩んだり、揺れたりすることはない。


各階に外扉アッセンブリを取り付け、レールと上下ボタンと扉の連動用のリンクを行う。

1階もぶち抜いた所を綺麗な壁を作り、体裁を整えた。

レールの停止位置にマーカーを付けて・・・魔動エレベーター設置完了!!



早速1階から、地下3階の工房へと降りてみる。

1秒で扉が開き、なんのGも掛からず、到着した。


棟梁達を呼び、乗って貰うと、余りに一瞬過ぎて驚いていた。

実は、階段の上り下りが、地味に・・・と言うか非常に面倒だったそうで・・・すみませんでした。


「おう、これから、是非これを使わせてもらうぞ!」

と棟梁達は喜んでくれた。




さて、問題はこの先、もう1つ新しい工房を作らないと、屋敷5階建てを作るのが厳しい訳なのだが、

『ねえ、智恵子さん、もしこの下にもう一つ100m×90mで高さ30mの地下工房を柱無しで作ったとして、強度的に落盤とかから耐えられると思う?』


『つまり、地上から200m近い深さになりますね。掘ると同時に周囲上下左右全てを50m程を、最大限まで固めてしまえば、震度20の地震でも耐えられますね。

固める半径を70mmまで増やせば、震度32の地震まで大丈夫そうです。』


『なるほど、掘ると同時に周囲70mね・・・了解。ちょっと難しいか? いやイメージ次第だから大丈夫かな。

あ・・・エレベーターも延長しないとダメじゃん。 ありがとう。頑張ってみる!』


と言う事で、第二地下工房を地下4階に作る事にしました。


昼までに第二地下工房を作ってしまうぞ!! と意気込んで、まずは地下への階段を掘っていきます。40m下に掘ってステップを作って、ガチガチに穴全体をステップ共に固める。


そして、階段の突き当りまで降りて、今持てる最大限の魔力を込めて、横100m 奥行90m 高さ30mの空間を掘ると言うか70m周囲まで前後左右上下を(まあ上は20mか)ガチガチに圧縮して固めるイメージで、空間を開けます。


気合を入れて・・・「そりゃ!!!」と掛け声と共に発動!


≪ピロリン♪ 魔法:土Lv6を取得しました。≫


巨大な横100m 奥行90m 高さ30mの真っ暗な空間が出来ました。


『智恵子さん、どう? 大丈夫そう?』


『思った以上に強化出来ましたね。これなら、震度32どころか、50でも崩れませんね。怖い物無しだと思います。』

とのお褒めの言葉を頂きましたw


『ありがとう!!』


智恵子さんにお礼を言って、作業を続行。


上の工房同様に証明とエアコンと空気清浄機を付け、第二地下工房を隅々まで快適にします。


第一地下工房へ上り、エレベーターを一度時空魔法で圧縮してレールから外し、地下40m分がちがちに固めながら掘っていく。

そしてすぐにミスリルのレールを溶着させて延長し、ガッチリと穴の壁面に固定する。


更に第二地下工房へ降り、エレベーターの外扉アッセンブリを壁に装着し、レールまでを、魔動リンクで接続する。


地下4階様の位置マーカーをレールに仕込む。

そして、仕舞っていたエレベーターを再びレールにはめ込み第二地下工房が完成した。


「やれば出来るもんだなw」

とニヤリと笑う海渡。



しかし、そこで、ハタと気が付く・・・。

「あれ?これって、別に地下4階を作らなくても、地下100m以上何だし、地下3階の横にもう1部屋作れば、良かったんでは?」と。


ああ・・・無駄にやってもうたーー と嘆くが、しかし直ぐに

「いや、工場の拡張とかでやれば良いじゃんw」

と立ち直った。



地下4階の第二地下工房で、新しい屋敷・・・いや社屋?・・・ビルかな を建て始める。


先ずは、切り離し可能な土台をカッチリ固めて20cmの高さで作る。

サイズは86m×58mの長方形とした。


必要以上の強度を出す為に、出し惜しみせず、必要な柱と梁をトレントからドンドン切り出す。


切り出し終わったら、今度は柱や梁の接合部分の加工をドンドンこなしていく。

ここで、一旦午前の作業は終わり。


12時になったので、エレベーターで1階へ戻り、食堂へと向かう。


フェリンシアと合流し、昼食を食べる。

「フェリンシアは、午前中何してたの?」

と聞くと、


「ふふふ、私は子供達と遊んでましたw 海渡は何やってたの?」


「俺は、第二地下工房とか作って、新しい屋敷の準備してた。 今度の工房は更に広いよーw」

と答える。


そこへ、ヨーコさんや、副店長らも合流し、みんなで話ながら昼食を取る。


「いやぁ~、カイト様、あのレジスターっての、本当に凄いですよ。1組の接客が、今までの半分以下の時間で終わるので、かなり楽になりましたよ。」

と副店長が語る。


「そっか、少しはみんなの負担を減らせたようで、こっちも作った甲斐があるよw」

と喜ぶ海渡。


ヨーコさんも、

「あのレジスターと金庫のお陰で、こちらも大幅に集計や経理仕事が短縮出来るので、本当に大助かりですよw」

とニコニコしてる。


「まあ、他にあった方が良い物は、ドンドン作って改善していきたいので、遠慮なく言ってね。」

とお願いしておく。やっぱり、現場の声って大事だもんね。


「あ、そうそう、王都支店からの研修の方も、もう大丈夫ですね。そろそろ本来の王都に戻しても良いかと思います。」

と副店長。


「そうか、じゃあ、明後日ぐらいに正規の場所に戻す感じで良いかな? 本人達と王都には連絡して調節しておいて。日時決まったら教えてね。飛行機飛ばすから。」

とお願いしておいた。


食後、フェリンシアはまた子供達と遊ぶ! と託児ルームへと向かった。


海渡は第二地下工房へ向かい、建設を再開する。


柱を立てて、梁をドンドン繋いでいく。骨組みが出来ると、床の補強を渡して更に強化していく。


柱と柱の間に筋交いを入れ、壁を土魔法でガッチリ軽量を意識しつつ作る。

流石に今までの建物とは違い、ここまでで約2時間強。


更に2時間掛かり、エレベーター6機やエスカレーターを1セット、非常時を考えた階段2か所を設置したり、各部屋の間仕切りや、温泉用入浴施設を作成する。


各階には、十分以上のトイレや洗面所を設置し、ちょっとした共同キッチンと多目的スペースも作った。


結果、なんとか5時過ぎには、一応建物は完成した。


1階は警備室、マスター管理ルーム、大食堂とキッチン、多目的ホール、応接室。2階は託児ルームとシングルマザー用住居。

3階、4階は従業員宿舎と孤児用宿舎、5階を幹部用宿舎とゲストルームと温泉施設、海渡とフェリンシアの部屋。


屋上にはラピスの泉を備えた公園。


ラピスの泉の水は各階の専用の蛇口から出せる様にもし、更に時空間倉庫経由で各店舗へと流せるようにもした。


残りは、細かい魔道具類(エアコンや空気清浄機や照明や館内放送)の取り付けかな。


「ふぅ~ 何とか形になったな。」


『ねえ、智恵子さん、これ強度的に問題ありそう?』


『大丈夫だと思います。各階に必要な家具類や、住民の重量を入れても、余裕です。全フロアーにギッチリ人が入っても、床も建物も歪まない程カッチリ出来てますね。強度は安心して大丈夫です。』

とのお墨付きを頂いた。


『よかったーーw 出来てからダメって言われたらどうしようかと。』


『ダメそうなら、流石に途中で忠告してますよw』

と智恵子さん。


『だよねw いつもありがとう!』

とお礼を言って、第一地下工房へ行く。


棟梁達が帰り支度をしていたので、ちょっとだけ、第二地下工房を見て貰い、

「次はこれをお願いしますね!」

と言うと、


「こりゃ~たまげた! 凄い凄いとは思っていたが、慣れてしまった俺でさえ、これは驚いたw ガハハ」

と驚きつつも大笑い。


しかし、ちょっと真顔になって、

「しかしあれだな・・・。これだけデカくて自部屋数が多いと、今の人数じゃあ、流石に日数が掛かっちまうな。もうちょっと人を増やすか・・・。」

と棟梁が言っていた。


「何名ぐらい増やすんですか? 良ければ、また先日の様にスカウトしに行ってきますけど?」

と言うと、


「じゃあ、明日、俺も一緒に付いて行くわw」

と棟梁。


明朝9時に1階で待ち合わせする事にし、1階へと戻ったのだった。

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