第163話


午後5時。やっと長い1日が終わり、閉店時刻となった。


まあ、午後5時に表はクローズ表示となって、入店は出来なくなる。

中のお客さんの販売が終了すると、片付けや軽い清掃を行って、仕事が終わる。


カフェのイートインは4時15分がラストオーダーとなり、それ以降は持ち帰り分以外のオーダーは出来ない。


なので、ラストオーダー時刻になると際は、店員が全テーブルとカウンターを廻り、確認する様にしている。

まあ、ここら辺は元の世界のファミレスとかと同じ要領にしている。

そして、そのラストオーダーの確認をする際に、午後5時閉店と言う事は、明確に告げている。

午後4時以降にイートインに入るお客様へも同様の確認をしている。


その甲斐あってか、初日だが、無事に閉店出来た様子。


大体、午後6時過ぎぐらいから夕食タイムに入るのだが、全員揃った段階で、

「本日は皆さんお疲れ様でした。お陰様で、無事カフェもオープン出来てホッとしたのと同時に、皆さんの頑張りに感謝しております。」

と頭を下げた。

そして更に続ける。

「で、皆さんへは、本日新たな商品として加わった『B級メモ帳』を配布しますので、お仕事等で利用してください。あと、食後皆さんに付いて来て欲しい所がありまして、是非とも体験して貰い、ご意見を聞きたいので、ご協力お願い致します。場所はここから徒歩5分のアレスター商会跡地です。あ、お風呂の用意をして、食後に玄関に集まって下さい。」

と告げると、みんな不思議な顔をしていた。


そう、ここトリスター近辺には、温泉と言う物が無い。

他の地域ではどうか不明。

所謂、銭湯と言うのも無い。


だから、風呂の準備をして、外に行く・・・の意味が良く判らないのだと思う。


従業員も子供も大人も、全員参加してくれるようで、食後にゾロゾロと集まってきた。


「じゃあ、これから出発です。」

と歩き出す。


最後にヨーコさんが、戸締りをしてくれている。


そして歩く事5分。

海渡が

「ここです!」

と指を指し、ドアの鍵を開けて中へと誘導する。


エントランス部分で靴を脱いで貰い、靴箱に入れて、下駄箱の鍵を閉め、男女兼用の番台の横を通り、


「えっと、表の看板にあったように、ここは温泉の出るお風呂やさん。大衆浴場となってます。この先の脱衣所では、それぞれの荷物を空いてるロッカーに入れて、ロッカー魔道具の鍵を閉め、腕に嵌めます。

そして、中の温泉でお風呂に入れます。ちゃんと体とか洗ってから、お湯に浸かるようにしてください。あ、地下にも、洞窟風呂ありますから、そちらも使って見て下さいねw で、お風呂から上がったら、2階の休憩ルームに集合です。」

と言って、男女別々に別れ、脱衣所へと入って貰う。


みんな、半信半疑? と言うか良く判らない顔で脱衣所へと消えていった。


取り合えず、みんなを待つ間、フェリンシアと休憩ルームでリバーシをして遊んで待っていました。


休憩ルームへの1番手は、やはり男性で、疲れの取れた良い笑顔で戻ってきた。


まあ、顔を見れば、大体判るのだが、

「どうだった?」

と聞くと、


「いやぁ~、凄いっすね!これ。 最高でしたよ!!!」

と絶賛だった。


湯上りには、冷たいお茶を用意していて、自由に飲んで貰っていつつ、リバーシを30セットぐらい置いて置き、全員が揃うのを待っていた。


最後の女性の一団が揃い、全員が揃った所で、

「何か悪い部分や改善個所があれば、教えて下さい。」

とお願いした。


が、全員が全員、口々に

「最高でしたよ。悪い点なんてあるんですか?」

と大好評だった。


特に女性からの評価が凄くて、

「本当に肌が滑々になった!!!」

と猛烈に喜ばれた。


「ご意見ありがとうございます。ここは人員が揃い次第、営業を開始しようと思ってます。ロッカーの数の通り、1回の入場制限が男女各80名づつとなります。料金は大銅貨10枚ぐらいを考えてます。営業時間ですが、午後2時~7時の5時間ぐらいです。」

と予定を告げると、安い!!!と多くの声が上がる。


「確かに効果や色々を考えると、安いかも知れませんが、ここは市民への還元を目的としてますので、赤字になっても良いかな?と思ってます。」

と告げると納得してくれた。


屋敷の方にもこの温泉が欲しい!! と言う要望が、特に女性から多く・・・と言うか女性全員からの要望だったw まあ、そこら辺はラピスと相談して、何とかするよ!と答えた。


と言う事で、全員で屋敷まで戻った。


早く『ラピスの湯』の人員を見つけなきゃな・・・。

よし、明日は避難民キャンプを廻ろう と心に思う海渡であった。

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