第164話


異世界1ヵ月と23日目。


昨夜の『ラピスの湯』のお試し会は大好評だったのだが・・・

逆に好評過ぎて、この屋敷の中に温泉が無い事が仇となるとは・・・。

と、日の出前に目覚め、昨日を振り返る海渡は、少し方法を考察するのであった。


この屋敷の風呂の湯船の供給源をラピスに頼んで温泉に変えて貰うべきか、外にもっと大きな新しい風呂を作るべきか・・・。


いや、そもそも、今でさえ、従業員宿舎がギリギリになりつつあるのに、風呂だけ作っても意味が無いよな・・・。


従業員宿舎も作りたいし、せめて今の2倍の住処を用意しないとこの先無理だよな・・・。


毎回いろんな物を建てているけど、結局凄いスピードで足りなくなっている現状・・・。


と、色々考えた結果、よし、風呂の温泉化より先に、建物全体を作り替えた方が早いんじゃね?と言う結論にたっしたのであった。

これは一度アルマーさんに、本当にこの館を壊して良いか聞かないとマズイよね?

旧領主館だし・・・。


と言う事で、後で連絡してみるとして、取り合えずは、朝の鍛錬だなww

と気分を切り替えるのであった。


鍛錬から戻り、地下工房の空きスペースで、取り合えず、格納庫を先に作成しようと寸法を考える。


横幅25m×奥行30m×高さ10mの格納庫を3個ぐらい作る事とする。

柱は5m間隔で建てて、梁を入れ、滑走路側の扉は海外のガレージにあるような、跳ね上げタイプにした。


柱と梁の間に筋交いを入れ、カッチリと強度を出す。

壁と屋根を作り、断熱の充填を入れて屋根を作って接合する。

あ、屋根の形は、大きい事もあり、強度を持たせる為にも、元の世界の格納庫と同じカマボコ型の屋根を採用してみた。


扉は軽さと強さを求める為に、TFG製とする。

扉のモックアップを作り、機体のコピーで作成した魔道具で、TFGの扉を形成する。

この軽量で巨大な扉は、魔道モーターで開閉させる。

まあ、誰でも開けられると、防犯上問題あるから、飛行機に使ったメインキーのシステムを採用しよう。

中に照明を幾つか付け、格納庫が1つ出来上がった。


メインキーを差し込み、扉を開け閉めしてみる。

「うむ・・・完成したな! カッコいいじゃんww」と自画自賛。

アイテムボックスに収納してから、食堂へ向かった。


食堂に着き、異変に気が付いた。


・・・ちょっと怖いぐらいに、女性陣の機嫌が良いのだ・・・。


中身の実年齢は27歳の海渡だが、見かけは悪く無く、寧ろ8割方、イケメン方面で、道場と日々の鍛錬の成果の細マッチョだった彼は、

モテなかった訳ではない。

ただ、違う方面にベクトルが向いていた為、女性とお付き合いした事も無く、女性には全く知識が無い。


なので、妙に超が付くほどご機嫌な女性陣に、ただただビビっていた。


でも、トップとしては、何か問題があったのであれば、放置も出来ないだろうと、恐る恐るヨーコさんに理由を聞いてみた。


すると・・・

「ああ、私もそうなんですが、今朝は滅茶滅茶肌の調子が良くてwww」

と満面の笑み。


「・・・ああ、そうだったんだね。それは良かったよ・・・」

と温泉の要望を思い出し、建て替え急がないとダメだな・・・と覚悟を決めるのだった。


朝食後、各チーフ以上を集め、相談する事にした。

「ヨーコさん、ここの従業員宿舎って、あとどれくらい余裕あるの?」


「そうですね、性別にもよりますが、あと18名前後でしょうか。」


「そうか、やっぱりそれぐらいだよね。これは私の想定ミスだったんだけど、余裕を持って建てたつもりが、この先、大衆浴場や空路の航空部門を作ったり、各支店へ配布する製造部門や色々で人員が増えるんだけど、もう、この建物の構成だと、すぐに満杯になっちゃうんだよね。 風呂の温泉化も考えたんだけど、ここのお風呂もこの先、人数増えると厳しいから、半端に作り足したりするのを止めて、いっそのこと、この建物ごと全部を結合して、大食堂や従業員宿舎なんかを作っちゃった方が良いんじゃないかと思ってるんだけど、どう思う?」

と聞いてみた。


すると、驚きつつも・・・

「確かに、手狭になって来てますよね。この先を考えると、前面建て替えもアリだとは思いますが、その間ってどうしますか?」

と御尤もな質問が。


なので、工法を説明してみた。

「地下工房で、一気に作ってしまい、完成時にサクッと入れ替える!」

と。


みんな唖然としたけど、サイズこそ違え、温泉にしろ、王都支店だろうと、同じようにやっているので、理解して、笑ってた。

「それが可能なのは、世界広しと言え、海渡様だけですねwwww」と。


「と言う事で、貰ったとは言え、元は領主館だから、アルマーさんに、再度お伺いをたてて了承して貰います。建て替えは、今日明日でと言うのは無いけど、近々に着手する様にします。宜しくお願いします。」

と締めくくった。


この場に居なかったオスカーさんにも伝えると、

「そうですか! それは楽しみですね!!」

と言われ、更に


「いやぁ・・・あの上白紙もリバーシも、凄いですよ!! バンバン売れてますwww もう売り上げ数えるのが嫌になるぐらい凄いです。」

と笑ってた。


「そうか、何か余計に忙しくなっちゃって、ごめんなさいね。 ところで、オスカーさんは何時頃そっちから戻れそう?」

と聞くと、


「今、色々引継ぎ情報を日々伝えてますから、あと明日の休日を除いて3日ぐらいで大丈夫だと思います。」

との事だった。


ふむふむ、王都も順調そうだな・・・。

売り上げ数えるか・・・キャッシャーあれば、楽になるかな?

と頭の中の作る物リストにメモするのであった。


地下工房に戻り、格納庫をあと3つ作り足した。

1度作ってしまえば、作業効率も上がり、細かい間仕切りとかが無い分、完成も速い。

あまりにホイホイ作るので、棟梁達から、やや呆れた目で見られてしまったww


格納庫3つを2時間ちょっとで完成させ、一休みしてる間に、アルマーさんに屋敷の建て替えの件で電話する。


理由を説明して、建て替えても良いかを聞くと、

「ああ、そこは前に言った様に、すべて君にあげた物だから、好きに使って良いよ。」

と快諾して貰えた。


「良かったーー。内心ちょっと複雑な思いとかあるんじゃないかと心配してたんだよね。」

と独り言。



「あ、そうだ!」

と、ついでに棟梁達へ、


「近々にこの上の建物を、全面的に立て替えますので、その際は宜しくお願いしますね!」

と言っておいた。(一応、地下で建てて、完成後に入れ替えると伝えてある)


「マジか! 建設ラッシュじゃねーかよwww 俺らは良いけど、急ぎなら少し人数集めねぇーとな・・・」

と棟梁。


そこで、提案してみた。

「これから、避難民キャンプの方へ、従業員のスカウトに行くんですが、棟梁さえ良ければ、ついでに大工経験者とか居ないか探してみましょうか?」

と提案。


すると、

「おお、その手があったか!」

と棟梁も乗り気w


「じゃあ、良さそうな人いたら、何名か声かけてきますね。 あと屋敷の後も、建設目白押しなんで、お忘れなく!」

とニヤリ。


「おう!まかせとけ!!」

と棟梁もニヤリ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る