第144話
「いやぁ~おつかれさん! なかなか見応えあったぞ!」
と上機嫌のアルマーさんが言うと、
「え?ワイバーンの時の方が、全然凄かったですよ?」
とフェリンシア。
「え?あれで全然だったのか!」
とアルマーさん。
「ええ。ワイバーンの時は・・・(ry」
と細かく説明するフェリンシア・・・。
アングリと口を開けて固まるアルマーさん・・・。
「と、ともかく! 何とか決着付けられてホッとしました」
と強引に締めくくる海渡。
「さあ、コマは先に進んだから、後は人員を確保して、王都支店を開き、他の都市や出張所も開かないとな。あと、飛行機の増産とパイロットの養成もしなきゃ!」
と付け加える。
「そうだ!カイト君、王様も言っておられたのだが、私も1機、専用機が欲しい。」
と熱い目で見るアルマーさん・・・。
そう、それなんだよな・・・どうするかなぁ・・・。
「まあ、それを少し相談したかったんですよ。今他からも、もの凄い数の問い合わせ来てまして。物が物なので、ホイホイ売る訳にも行かず・・・どうしたものかと・・・」
と困り顔の海渡が続けて説明する。
「今は乗客を運んだり、荷物を運ぶ運搬用ですが、これ、軍事利用をしようと思えば、もの凄い戦略兵器になるんですよ。」
と付け加えると、ハッとするアルマーさん。
「あ、その顔は、そこまで考えてませんでしたね? まあ軍事利用とか改造しようとすると、動かなくなるようなプロテクトは掛けられますがね・・・
でも、仮に飛行機が100機あったら、おそらく帝国を簡単に潰せるんじゃないですかね? 兵士を直接敵国の王城の上から降下させたり、大規模魔法で奇襲したり、何でも出来ちゃいますからねぇ。」
と海渡が言う。
「そうか・・・そこまでは考えてなかったな。」
とアルマーさん。
「なので、正しい使い道で使う人や国になら、出しても良いかとは思うんですが、そんな人ばかりでも無いのが、世の中ですからね。 賢王と言われている王様が治めていた、この王国でさえ、ドラーツ公爵の様な奴が居た訳ですし。難しい所ではありますよね。」
と付け加え、一拍置いて、
「まあ、もう少し考えてみます。」
と締めくくる海渡。
例えば、これをリースと言うかレンタルにして、毎月更新しないと動かなくなる・・・とか、改造や解析をしようとすると、動かなくなるとか、プロテクトを掛ける手もある。
まあ、解析をした所で判る訳も、複製できる訳もないんだけどねぇwwww
帰り道の途中で、海渡とフェリンシアは途中下車し、教会本部の大聖堂を目指した。
そして、今目の前に教会本部の大聖堂が聳え立っている。
「うぉーー!これが教会本部か!!! でっけーー!」
と絶叫する海渡。
「わぁ、なんか思った以上に凄いですね!」
と見上げるフェリンシア。
そして、教会本部の敷地へ入ると、明らかにトリスターの教会より、明らかに強い結界の中に入った感覚を味わった。
なるほど、教会本部は流石に別格なんだな。
扉を開けて、中に入ると、シスターがやってきた。
「あら、こんにちは。きょうはお祈りですか?」
と朗らかに語り掛けてくる。
「ええ、せっかく王都にやって来たので、是非とも王都の教会本部で女神様にご挨拶をしたいとやってきました。」
と答える。
『ご挨拶??』とちょっと頭を傾げるが、すぐに
「ふふふ、そうですか、ではごゆっくり、ご挨拶してください。」
とほほ笑みながら離れていった。
2人は祭壇の前に行き、膝を付いて頭を下げる。
『女神様・・・』
すると、いつもの様に白い光の中に包まれ、女神様の元へと飛んだ。
「いらっしゃい、海渡さん、フェリンシアさん、とうとう王都の教会本部まで来られたのですね。」
と嬉しそうな女神様。
「どうも。女神様、お陰様で、無事王都に辿り着き、ドラーツ公爵の件も決着がつきました。ありがとうございました。」
と礼を言う海渡。
「ええ、見てましたよ。見事でした。フェリンシアさんも久しぶりですね。色々と頑張られている様子、拝見してますよ。」
と女神様。
フェリンシアは、
「えへへ・・・」
と照れている。
「それはそうと、人材確保で苦労されているようですね。」
と女神様。
「はい、一気に支店を増やさないといけなくなりまして、各店舗の店長を任せられる人物が育ってなくて、困ってます。出来るだけ早く開店しないと、各地の住民が困りますからね。」
と海渡。
「そうですね。この王都だと・・・10名ほど良い人材が居ますね。但し現在は、ドラーツ公爵やアレスター商会の陰謀や冤罪で犯罪奴隷にされている人物です。
名前は、ドリス、ステーシア、アンドレット、デニス、ランカスター、ドッチ、トーラスです。この方達は無実ですね。
あと、借金奴隷にも3名程素晴らしい人物が居ます。これは人を助ける為に、敢えて自分を借金奴隷にした方ですね。名前は、サーティ、アルモンド、ローリーです。
是非救い出してあげて下さい。」
と、女神様からナイスな情報。
「おお、それは素晴らし情報です。それとは別に、彼らの陰謀や冤罪で罪に問われてる人達が居るんでしょうか? 出来ればその方達も救い出すべきでは?」と聞くと、
「はい、彼らが絡んで罪に問われた人は合計153名居ます。先の7名以外の146名も全員無罪ですね。」と。
「了解しました。この後、王様に掛け合いますね。」
と決意する海渡。
「はい、多分大丈夫ですが、もし言う事を聞かないようなら、私の名前を出して良いですからねww」
と笑う女神様。
「いや、それは・・・」
と口籠る海渡。
「まあ、でも本当に何かあれば、使徒であることをちゃんと告げれば、丸く収まりますからね。」
と女神様が念を押す。
「あとの悩みは、飛行機の販売の件ですかね?」
と女神様。
「はい、思案処だと思ってます。」と海渡。
「まあ、馬車でも馬でも、剣でも、使う人次第ですから、余り気に病む事はないですよ。怖ければ、プロテクトを掛けて、不本意な使い方をした場合は、停止させれば良いんですよ。」
と女神様。
ふむ・・・やはりそうか。
「ありがとうございます。少し気が晴れました。」
と礼を言う海渡。
「ふふふ、さあ、まだ教会本部だから余裕はありますが、そろそろ向うに戻った方が良いでしょう。あと教会本部の孤児院にも将来かなり有望な12歳~13歳の子で15名程居ますよ。孤児院に寄ってみてくださいね。
フェリンシアさんも、海渡さんと仲良く頑張って下さいね。では、また来てください。お待ちしてますねーー・・・」
と光り、礼拝堂の祭壇の前に戻って来た。
戻った時、何故かシスター達が海渡とフェリンシアの傍を取り囲んでいた。
「ん?」と目を開けてビックリしていると、
シスターの1人が、
「もしや、あなた方は使徒様ではありませんか?」
と跪いてきた。
あっれーー?何で??
「今まで、女神様の像があれ程光り輝いた事はありません。」
と別のシスターが・・・。
「30秒程神々しく光っておりました。あなた方の体も・・・。」
と更に別のシスターが・・・。
わぁ・・・流石、結界の強い教会本部・・・ 何か色々誤魔化し切れない気配が・・・。
「是非とも、我々の祭司長に、お会いして頂けませんか?」
と更に別のシスターから、お願いされる。
「ああ、丁度孤児院の事でお話しがあったので、是非宜しくお願い致します。」
と渡りに船でお願いした。
そして、現在教会本部の応接室で祭司長とお話しをしてます。
「シスター達に聞いたのですが、あなた方は使徒様ですか? いや、そうとしか考えられません。」
と司祭長。
更に続けて、
「あ、申し遅れました。私はこの教会本部を預かっております、セイジ・ファン・ラスカルと申します。」
と恭しく頭を下げる司祭長。
「ご丁寧な挨拶痛み入ります。私はカイト、こちらはフェリンシアと申します。少々お願いがあってお伺いしました。」
と使徒の件はスルーして、続けた。
「こちらにも、孤児院があると聞いております。私達はトリスターを本拠地にしており、冒険者をやりながら、商会をやっておりまして、王様からの話もあり、
アレスター商会のあった各所で、早急に王都支店やその他の支店を立ち上げる必要がありまして、出来ましたら、現在12歳~13歳の子で15名程当方の商会で働いて貰えないかと思っております。」
と打診してみた。
「すると、おお、これは正しく女神様の奇跡かも。実は丁度仰るように12歳~13歳の子が15名おりまして、定員の問題もあり、就職口を探している所でした。しかし孤児達の就職口となると、やはり、どうしても厳しくて、困っておったのです。」
と司祭長。
「そうでしたか、それなら是非、当方の商会で働いて貰いたいです。まあ本来は人となりを見てからなんですが、今回は然るお方からの御推薦を頂いたので、問題ありませんし。
あと、基本的に従業員宿舎も用意致しますので、住居等も心配ないかと思います。トリスターの方でも、教会のナスターシャさんに、ご紹介頂いた孤児院の子達16名が、働いてくれております。
もし、ご不安でしたら、ナスターシャさんにご確認いただければと思います。」
と通信機を取り出し、掛けてみた。
「あら、もしもし、ナスターシャです。」
「あ、どうもカイトです。お元気ですか?」
「あら、カイトさん、いつもお世話になってます。初めて掛かってきたので、慌ててしまいました。」
とナスターシャさん。
「今、王都の教会本部で、司祭長のセイジ・ファン・ラスカルさんとお話ししておりまして、こちらの孤児院の子供らにも、当方の商会で働いて頂けないかと話をしていたのです。ちょっと替わりますね。」
と通信機をセイジさんへ渡す。
すると、おっかなびっくり受け取って、海渡のように、耳につける。
「えっと、そちらはナスターシャさんかな? 教会本部のセイジ・ファン・ラスカルです。」
「あら、司祭長、お久しぶりですね。 まさかトリスターと王都で、こうやってお声を聞ける日が来るとは・・・本当に海渡さんのお陰ですねぇ。」
とナスターシャさん。
「何でも、そちらの孤児院の子供らがカイト君の商会で働いているとか。どうなんだい?」
とセイジさん。
「カイトさんは、本当に信頼して大丈夫ですよ。子供らも毎日喜んで働いているようです。何しろ、条件も環境も良く、更にカイトさんには、孤児院に多大な寄付をして貰っておりまして、食料から運営資金までお世話になっているんですよ。
本当に凄い子なんです。間違いないですよ。」
とプッシュしてくれるナスターシャさん。
「そうか、それを聞いて、安心した。しかし、これは本当に凄い魔道具だな。まるで真横で話しているようだ。」
とセイジさん。
「ええ、これもカイトさんが発明した魔道具なんですよ。私も1つ頂いて、困った事とかあれば、すぐに連絡下さいと渡されてます。」
とナスターシャさん。
「そうか、なかなかこちらから援助出来ずに申し訳無く思っていました。しかしそれを聞いて安心しました。これからも頑張ってください。では・・・」
と通信機を返してきた。
「代りました。では、またトリスターに戻ったら、お土産持って行くので、子供らにも宜しくお伝えくださいね。」
と通信を切った。
「と言う感じでして、少しは安心して頂けたでしょうか?」
と聞くと、
「いや、最初から使徒様の事は全面的に信頼しておりますよ?」
と言われた・・・。
そこで、腹を括り・・・
「すみません、その(使徒)件ですが、動きにくくなりますので、ご内密にお願い致します。」
とお願いした。
すると、
「ええ、勿論ですとも。判っております。ちゃんとシスター達も心得ておりますので。」
とほほ笑みながら答えた。
「実は、こちらの孤児15名をご推薦されたのは、彼のお方です。」
とぶっちゃけといた。
「ところで、話は変わりますが、もしかして、こちらの孤児院も運営厳しいのでしょうか? 先ほど定員の話も出てましたが。」
と聞いた。
すると、やはり、教会本部と言えど、とても厳しいそうな・・・。
なので、白金貨10枚程取り出し、ここ以外の苦しい孤児院にも配布してください。と寄付させて貰った。
そして、マジックバッグを渡し、ドンドン食料を移し替えて貰った。
「また、機会ある度に寄らせて頂きます。 あと、セイジさんにもこちらをお渡ししておきます。」
と通信機を一台渡し、使い方の説明と、海渡の番号、ナスターシャさんの番号を教えておいた。
「あ、15名の子達ですが、遭えますでしょうか?」
と聞いてみた。
すると、今日は仕事探しに出ていて、まだ殆ど戻って来てないとの事。
「では、明日の朝10時頃に、当方のスタッフと再度お伺いするので、宜しくお願い致します。」
とお願いし、教会を後にした。
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