第112話
異世界1ヵ月と6日目。
オープン前日に気になっていた事・・・忘れていた事を思い出しました!!!
朝、目を覚ましてハッとしました。
あれ! ドラーツ公爵家の回し者の工作員(井戸に腐った魔物の内臓を投げ込んだ奴ね) アルマーさんに言うのを忘れてました。
慌てて、手紙を書いて、朝の内に持って行って貰いました。間に合ったかな?
そう、テントですが、避難民には既に100張、出してます。
ミシンのお陰で、製造速度が速くなり、明日には更に100張も渡せるらしい。
まあ、足りなければ、更に追加提供する感じかな。
ちなみに、昨日の店のオープンは、トリスター中で知らぬ者は居ないぐらい、話題になってるそうな。
一応、警備の人材を雇う話にはなっているんだけ、まだ人材が見つかってない状態。
なので、依頼として冒険者ギルドに出して募集してます。多分今日辺りには何名か来るんじゃないかと。
そこら辺の仕切りは、オスカーさんとヨーコさんにお任せ。
と言う事で、少年は大人しく、朝から飛行機作りに入ります。
まず素材だが、最初はトレントを薄くスライスして羽とか胴体とかを作ろうと思っていたのだけど、トレント繊維のお陰でちょっと夢が広がりつつある。
元の世界ではガラス繊維やカーボン繊維をFRPで固め、軽くて強靭な飛行機やレーシングカーを作っているが、あれの代わりにトレント繊維を使えないか? と。
FRPの様に、主剤と硬化剤を混ぜて反応させるって所をどうするか?ってのもあるんだけどね。
ね? 夢広がらない?
と言う事で、知恵子さんの出番です!
『知恵子さん、質問です。トレント繊維を使ってFRPみたいに固めたいんだけど、何か良い物ない?』
『うーん、何個か候補ありますね。中でも一番強度が出て、燃えにくくなる物だと、お勧めは『ガチコンブ』と言う海藻のエキスを使う事ですね。
『ガチコンブ』をすり潰して絞り出すと、エキスが出ます。そのエキスをアルコールを含む水に溶いて2倍くらいに薄めてやると、浸透率が上がります。
それを乾かせば、カチカチになります。アルコールが入る水だと、乾く時間が早くなりますね。これの良い所は、燃えにくくなる特性を持っている事と、
非常に採取しやすい、採取量が多い と言う事ですかね。』
『なるほど・・・『ガチコンブ』か・・・海藻って言うぐらいだから、海に行けば良いの?』
『はい、海や塩湖、ダンジョンの海ステージなんかで取れますね。』
『ん?ダンジョン? なんか嫌なトラウマを刺激するワードだなw
しかし、海と言うと、ドラーツ公爵家が殆どの領地を持っているって話だったしなぁ・・・。
下手に知られると、厄介だよね。 塩湖・・・コーデリア王国の王都の傍に塩湖があるって言ってたよね?
『ガチコンブ』ってそういう利用価値知られてるの? 食用とか魚の餌とかになるの?』
『『ガチコンブ』って嫌われ者ですね。食用にもならないし、魚を逆に食べるんで、漁師からは滅茶滅茶嫌われてますよ。コーデリア王国の塩湖にも沢山居ますよ。養殖の敵と言われてます。』
『ちょい待ち!『ガチコンブ』って魔物?』
『海藻の魔物です。 普通の海藻を想像していると、きっと驚きますよ? 分厚いですからね。』
うむ・・・あとで捕りに行くかな。
まあ、素材は目途がたったから、今度は機体の形状だな。離着陸とか考えると、オスプレイ的な垂直離着陸が良いんだけど、魔力燃費が悪くなりそうだからなぁ。
構想としては、基本航空力学で揚力を得て飛ばそうと思ってるだよね。
推力は何で得るか。
ジェットエンジンとかじゃなくて、魔道具のモーターでファンを回す感じ? それより風魔法で空気を送り出す感じ?
よし、ちょっと設計図描いて、模型作ってテストするか。
大体の形を決めて、バルサ製のラジコン飛行機を作る要領で・・・
何か懐かしいな、小学生の頃、時々作ってたラジコン飛行機思い出すよね。
いや、どうせなら、俺小さいし、乗れるサイズにしちゃえ! と1/10スケールから適当なスケールにしてみた。胴体の直径が大体1.3mぐらい。
3mm厚に切ったトレントの板を胴体断面図の形に切って行く。10枚断面の板を切り、5mm四方のトレント角材を切り込みに嵌めて行く。
先端部分はオスプレイを真似た感じにしたつもり。胴体はズングリだけと、貨物室のドアが後ろから開く感じにした。胴体の長さは約7m
まんまオスプレイじゃんw
主翼は高翼で位置は・・・ここら辺かな
取り合えず、対称翼形状にして、フラップで揚力を調整するか。
翼の断面の形をしたリブを3mm厚のトレント板から切り出して行く。片側20枚 計40枚。
主翼の長さは片側4m。リブの切り込みに5mm四方のトレント角材を嵌めこんで行く。
あ、接着剤は無いので、接着は魔法で融着させてます。
主翼の撓り強度を上げる為にリブを繋いでいる、上下の角材の間を1mm厚のトレント板で接着します。
主翼の表面はトレントを0.1mm厚に薄くスライスした物(以降トレント薄皮)を光魔法のシールドで押さえて綺麗に密着させながら溶着させます。
主翼の胴体寄りにフラップを、先端寄りにエルロンを取り付けます。ヒンジはステンレスで作成主翼側とフラップ側に差し込む。エルロンも同じく。
同じ要領で水平尾翼と垂直尾翼を作りった。オスプレイと違うのは、垂直尾翼は1つにした事かな。
主翼を胴体に取り付け、ガッチリと溶着する。尾翼も差し込んで溶着。
エレベーターとラダーをヒンジで取り付けて、次は胴体を0.1m厚のトレント薄皮で胴体の外壁を作成する。
風防は4mm厚のガラスで作成。試作機なので、胴体に窓は無いww
乗り降りは、後ろのカーゴ用開閉ハッチのみ。
ランディングギア? そんな複雑な物、要らん! ソリで良いソリで。
さて、問題は操縦系統をどうやって作る?
零戦って確かワイヤーで作ったって言ってたな。
作りやすいので、操縦かんはシングルスティック。ステンレスのワイヤーを作って、胴体の中を壁にそって方向を変え、這わせる。
確か零戦って、高速時と低速時のエレベーターやエルロンの切れ角の問題は、細いワイヤーを使って、その伸びで上手く処理してたんだよなぁ・・・。
これも同じにする?
遊びが無いようにっと。エルロンとフラップ・・・もワイヤーを通して動かす様にした。折角張ったトレント薄皮を一度剥がして、中にワイヤーを通し直したのは内緒内緒。
さて、ここまでで、機体はOK? あとは推進部分を作らなきゃ。
『ねえ、知恵子さん、推進部分の相談です。 魔道モーターみたいなのを作ってプロペラを回すのと、ジェットエンジンみたいな外側を作って風魔法を使うのと、どっちが燃費良い?』
『風魔法を使う方が、断然効率が良いと思います。機体の重さですが、重力を0にしてしまえば、少しの推力でもかなりのスピード出る筈です。』
『なるほど。』
『現在のこの機体って重さどれくらい?』
『かなり軽量化に気を使ったようなので、120kg無いぐらいですね。』
ほう、思ったより軽いな!
『重心バランスはどう?』
『今の状態だと若干テールヘビーですね。まあ、先端部に50kgぐらいの重りを付ければ、大丈夫じゃないですかね。機体の強度も主翼の強度も結構出てます。今の状態で翼面荷重は50kgぐらいです。』
『ふむ・・・急旋回とかしたら、どうなる?』
『3Gを越えなければ・・・多分大丈夫かと』
『Gセンサーは智恵子さん頼りだなw よろしく!』
よしよし・・・オラわくわくしてきたぞw
丁度、お昼ご飯の時間となり、御呼びが掛かったので、午前の部は終了。
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