第113話

 さあ、じゃあ、エンジン作ろう! 昼ご飯も美味しく食べて、気合十分。


 何もない所から風魔法を出すよりは、大気中の空気も負圧で巻き込んで吐きだした方が、効率良くなるのでは?という、ダイ〇ンの羽の無いうんちゃら的な発想です。


 ミスリル製の厚さ0.1のジェットエンジンの外側風の筒を作り、その中心に風魔法を出す部分をミスリルで作成エンジンの直径は約50cm

 主翼を貫通するシャフトを付けて主翼の重心部分にステンレスの中空シャフトを差し込んで固定し、その中にミスリルのシャフトを通し、エンジン角度とスロットルを制御する。


 円陣の角度はロットを使ってコクピット部分まで延長し、車のサイドブレーキのように、ノッチで固定できるようにした。コクピットにバケットシートを付け、ラダーペダルも付けて、ラダーとワイヤーで連結。


 シートベルトは5点式のトレント繊維製。

 さてと、エンジンスロットルレバーをシートの横に付け、魔法陣はスロットルレバーの角度に応じて風力が可変となるようにした。胴体にはカイト印を大きく印刷。


『知恵子さん、どう?一応完成したんだけど、飛びそう?』


『強度的には全く問題ないです。重力0は付加しないんですか? まあそれでも飛びそうですが、垂直離陸は今のままだと難しいと思います。』


 なるほど・・・


『じゃあ、機体の重力を1/2とかだったら?』


『垂直離陸できると思います。』


『エンジンだけど、全開にした場合、この魔石でどれくらい飛べる?』


『重力魔法が別系統なら、その魔石で100時間ぐらいですね。オーククラスの魔石なら500時間ぐらいですかね。

 今の魔石を機体重量を1/2だけ掛け続けると、200時間ぐらい、オークだと1000時間ぐらいです。これは重さ次第なので。』


『なるほど、ありがとう。』


 機体重量を半分にし続けてもそれほど燃費悪くないのか。

 取り合えず、補助の魔石の2回路にしておいて・・・離着陸時に重力1/2を掛けるようにしよう。

 と言う事で、重力制御の魔法陣を作成して、別の制御盤に追加。


 テスト機をアイテムボックスに入れてテストに出かけよう!

 現在、午後3時50分か・・・まだ間に合うよね?

 ちょっとテストに出る事を伝え、一人で南門まで走ります。

 本当はゲートを使いたかったんですが、一応礼儀として城壁の外でしか使わないようにしてる。


 何処でテストするかな?

 

 人目の無い広い場所と言う事で、南門から一旦城壁の外に出て、ゲートを使って、コーデリア王国側の森の端に来てみた。

 ここなら、いつも誰もいないからね。


 森の外の原っぱに機体を出して、後部ハッチを開けて乗り込んで、ハッチを閉める。


 外は夕闇が迫っているので、急いでシートベルトを着用。

 エンジンの魔道具起動。

 エンジン角度を垂直に向けて重力1/2起動、エンジンスロットルを上げていく。

 機体がふわりと浮くが風でながされるのか、微妙にゆれている。

 さらにスロットルを開けて、地上10mまで浮上しフラップを下げエンジンを少しずつ前方に傾け速度を上げる。

 現在ハーフスロットル。フラップを戻し、エンジンは完全水平にした。スピードが伸びる。重力制御をOFF。


『現在速度時速374km、高度70mです。機体エンジン共に問題ありません。』


 うむ・・・全開にしてみるぞ! それフルスロットル!!


『時速458km』

『時速561km』

『時速685km』

『時速782km』

『時速879km』

『時速921km』


『この機体だとこれぐらまでにした方が良いです。スロットルを75%にしてください!!!』


 すぐにスロットルを75%に落とす。


『現在時速932kmで巡行してます。このまま進むと、コーデリア王国の王都の警備兵に発見されてしまいます。』


 おっと、いけねぇ!

 旋回を開始。

 スティックを左に少し倒し手前に引くと、左に少しバンクして旋回していく。

 少し高度をあげよう。旋回しながら、高度を上げていく。


『旋回でスピードが落ちて、時速755km 高度160mなおも上昇中』


「やっぱり機体の姿勢が判る計器とか、スピード計、高度計、コンパスは欲しいね。」


『この方向行くと何がある?』


『この方向だと塩湖がありますね。時速785km 高度330m』


『あ、見えて来た。あれが塩湖か、巨大な湖だね。』

 機体をロールさせながら、コクピットから巨大な湖を見渡した。


 時刻は4時32分。

 そろそろ地平線に太陽が沈む・・・真っ赤な空がとても綺麗だ。


 翼よ、あれが異世界の夕日だw



 おっと、そろそろ帰らないとね。

『旋回するから、トリスター方面に向いたら教えてね。』


 またスティックを左に倒してバンクさせ、スティックを引く。

 Gを感じつつ、旋回開始。

『水平に戻してください。5,4,3,2,1この方向です。』


『機体の不具合個所はどう?』


『今の所、全く見当たりませんね。 ただ室内気温も気圧も、かなり下がってます。使うなら与圧とエアコンは付けた方が良いかと。』


 だよな、結構寒い。


 何かやろうと思っても、オートパイロットないから、怖くて手が離せないww


「お、絶界の森が見えて来たね。よし、着陸態勢入るよ。ハーフスロットル。フラップ1/4 あ・・・手前に降りるつもりがーー 思ったより止まらないね。スポイラーが必要かもな。」


 スピードを落としながら、旋回し、高度を落とす。

 エンジンは45度に調節。


 やっと、森の端に戻れた。

 エンジン垂直、フルフラップ・・・

 現在、草原の上でホバリングの練習中・・・

 そしてエンジンを徐々に絞って・・・着陸!


「全機能停止。 おつかれさまーー」

と手を叩き、喜ぶ海渡。


『辺りは真っ暗。急がないと門が閉まりますよ?』


 おっと!! ベルトを外し、ハッチを開けて外に出る。

 マップに反応は、森の随分向う側だけ。


 機体を収納し、南門の傍にゲートを繋ぐ。

 暗いので、急いで門へと駆けこむ。割とギリギリだったようだ。

 あっぶねぇーw




 そのまま急いで屋敷に戻ると、午後5時50分なのに、店が開いてた・・・。

 客足が止まらず、閉めるタイミングを逃したのか? 大丈夫かよ?


 そっと裏口から入って、店の状況を伺うと・・・

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