第109話

 異世界1ヵ月と3日目。


 朝の鍛錬と朝食を終え、昨日地下生産工場の拡張を伝え、ガラス板のラインを運用して、生産を任せる事にした。


 ガラス板の販売は、3階の商会本部での取引となるが、一応目玉の一つなので、ガラス板とグラス類は1階のショーウィンドーにも展示する事となった。


 食後、オスカーさん、ヨーコさんを交え、各製品なんかの売値のすり合わせを行う。


 とにかく、岩塩は元の販売価格の半値、砂糖に関しても現在の価格の半値 でお願いし、他の魔道具・・・特にマジックバッグに関しては、もっと容量の制限版を作るべき と言う意見に従い、3種類のバッグを指示通りに作る(魔法陣のスタンプを)事にした。


 あとは、高級モデルに使用する、トレント繊維のシリーズも少量づつ生産するようにしてもらい、ロゴの色で差別化してもらう事にした。


 テントやバックパック等はオリーブグリーンの色や赤、青も追加して貰う。特注色もOKとした。


 店舗の売り子用のスーツも揃い、概ね準備が終わるとの事で、1日開けて、明後日オープンとする事に決定したのだった。


 そこで、オープンの紹介状をアルマーさんや、サンドラさん、商業ギルドのダリルさん、冒険者ギルドのハロルドさん、あとはオスカーさん、ヨーコさんのお勧めに従った方々へを招待する事にした。


 そこで、2人に相談。


 コーデリア王国のロデム商会サチーさんと知り合っていて、是非来たいと言っていた事。

 既に、取引したいと言っていた事を伝え、招待すべきかを聞いた。


「良い話ですが、距離的に無理ないですか?」

とオスカーさん。


「いや、まあここだけの話、1時間ぐらいあれば、余裕で連れて来れるんですよ。 うーーん、まあ良いか。時空間魔法で瞬時に移動出来るので、先日コーデリア王国に1日行ってました。」

と告白すると、


「凄いですね!!! それがあれば、商売安泰ですねwww」

と滅茶滅茶喜ばれた・・・。


 そして、「それなら是非連れて来るべきです!!」と背中を押された。


「まあ、店のオープン終わったら、他の輸送手段も作る予定なので、僕が居なくても、そちらを使えば、王都やコーデリア王国との取引も可能になります。」

と言うと、


 2人とも、「ほう、それは今から楽しみですねww」とほほ笑んでいた。


 と言う事で、早速3通の招待状を作って貰い、アルマーさん、サチーさん、ドロスさんに届ける事にした。

 他の方へは、配って貰う様にお願いしておいた。


「1時間ぐらいで帰る・・・予定だが、フェリンシアはどうする?」

と聞くと、


「え?勿論一緒に行きますよ?」

と即答。逆に何故行かないと思うの?ってw


 領主様の館へと向かい、門番の人に挨拶し、アルマーさんへの面会をお願いすると、


「ああ、カイト様達は今まで通り、素通りで構わないとなってます。どうぞお通り下さい。」と。


 そして屋敷へと入り、ケージさんに要件を伝えると、そのまま書斎へと案内され、ドアをノックし、中へと通された。


「お久しぶりです、アルマー様。やっと店舗がオープンするので、招待状をお持ちしました。」

と招待状を渡す。


「おお、ついにか!! いやぁ~それにしてもトントン拍子だったな。 ふっふっふ、これからが楽しみだなw」

と喜んでくれた。


「店が落ち着いたら、例の飛行機の開発に着手しますので、更に楽しくなりますよww」

と2人で黒く笑う。


「と言う事で、慌ただしくて申し訳ないのですが、他にも招待状をちょっと遠くまで運ぶので、今日はこの辺で・・・」

と挨拶して、領主様の館を後にする。


 目指すは南門経由、コーデリア王国。


 そして、今コーデリア王国の王都南門近所の木の陰に出てきました。


「さあ、久々でもないけど、行くよ!」

と2人で南門の通用口に並ぶ。


 順番が来て、ギルドカードを見せると、ちょっと驚いた顔をしたが、そのまま通過出来た。


「せっかくだし、ロデム商会に辿り着くまで、少し食べながら行くかw」

と言うと、「はい❤」と良い返事。


 前回に引き続き、爆買いしつつ、モグモグ堪能。


「お、またお前かw」

と屋台の店主も覚えていて笑ってた。


 で、ロデム商会に到着し、サチーさんへの面会を希望すると、数日前に来てたのを覚えていた番頭さんが案内してくれた。


「お久しぶりでもないですが、こんにち。」

と挨拶をすると。


「あれ?帰ったんじゃなかったのか?」

とサチーさん。


「いえ、一回帰って、サンドラさんにも手紙を渡して、ダスティンさんとサンドラさんにも米を配給してきましたw」

と答えると、


「え?? 本当か!どうやって? 仮に森を一直線に抜けられたとしても、1000km以上の距離があるはずだが?」

と不思議がるので、


「一応、今回来たのは、店がオープンする事になったので、招待状をドロスとお二人分持ってきました。」

と2通の招待状を差し出す。


「ほう、明後日オープンか、おめでとう。是非行きたいが・・・前にドロスと2人だけなら、とか言っていたが、本当に短時間で行けるのか?」と。


「はい、但し、口外しないと約束してもらう事が前提ですが、秘密保持の為、お二人だけならお連れ出来ます。 明後日の朝8時に南門の外で待ち合わせしませんか?」


「うむ、至急ドロスを説得して行く。明後日、南門に朝の8時だな!! 了解した。」との事。


 では、こちらもバタバタしてるので、後日・・・と、ロデム商会を後にした。


 帰りに、寿司屋に寄って、寿司を堪能し、お土産10人前を購入し・・・


 屋敷へと戻ってきました。現在時刻は昼の12時。

 既に昼食を食べたばかりなので、海渡は辞退したが、フェリンシアは・・・食べていたw



 さて、時間も無いので早々に、宿舎の建築に入る。

 30m×15mの3階建て、部屋数は24部屋の予定。


 ヨーコさんに聞いたが、男性用と女性用で厳密に建物を別ける必要は無いとの事。良いのかな?


 各階の真ん中に30mの廊下があって、その廊下の左右に部屋がある感じ。共同のトイレを洗面所を各フロアに2個づつ作成。

 階段は団地や学校の様に、踊り場のある階段を30mの真ん中に作るつまり入り口は30mの真ん中ね。

 各部屋はバルコニーを付け、大き目のガラス戸を開けてバルコニーに出られるようにする予定。


 所謂、日本のワンルームマンション的な感じかな。


 土台の地面を固め、湿気防止で30m高くする。

 地下工房で作成した、大量の柱と梁をドンドンと組み上げていく。

 柱と柱は筋交いを入れ、頑強にする。バルコニーがあるので梁も多めにした。

 一応不安になったので、店舗、カフェ、託児ルーム、それとこの宿舎の強度計算を知恵子さんにして貰ったら、

『どれも素材も良いし、頑強に作られていますので、各階に1000人乗っても大丈夫! 地震もM10までなら何とかもちますよ。』

とお墨付きを頂いた。安心したよw


 壁と床を各階に作った所で、一旦休憩に入る。


 棟梁達に進捗を確認すると、カフェの創り込みは1階部分はほぼ終了。2階は明日いっぱいぐらいで終了らしい。

「じゃあ、明日終わったら、宿舎の方をお願いしてね。あとベッドとかの家具類の手配も宜しくね。」と伝える。


 午後からは屋根と内壁や天井を作り、次にバルコニーも完成。

 各部屋の間仕切りを完了した。


 あとは、地下工房で、エアコン、照明器具、水道周りを作り、各部屋に設置した。


 ここまでで、午後4時。

「いやぁ~、段々手慣れて、作業が効率化したなぁw」と自画自賛。


 時折、新しい宿舎を見ようと、従業員達が、チラチラ見に来ていて、嬉しそうにしてた。


 この国の多くの商会では住み込みの宿舎は、かなり粗末らしい。

 当然だが、エアコンって概念も無いし、悲惨な宿舎とかザラとの事。

 労働時間も、かなりブラックで、それが当たり前。

 体を壊すと、即解雇とかで路頭に迷う事もあるらしい。


 まあ、うちはチートなラピスの泉や、ハチミツもあるし、俺も、フェリンシアも回復魔法使えるし、それに雇用条件も凄く良いらしい。

 何より、うちの『住み込み』の人気が高い理由は、風呂と食事だそうでwww


 やはり、ラノベの常で定石通り、この世界で風呂は贅沢品で、一般化してないそうです。

 宿屋も高級処じゃないと、風呂無しで、行水出来る程度か、体を拭く程度なんだって。


 じゃあ、俺みたいに自分で風呂作って入れば? と思うけど、限りある魔力を風呂何かに使えない。

 と言うか、風呂の水を温めるだけで、魔力切れるとの事。


 じゃあ、次は一般用の銭湯でも作ろうかなw

『ラピスの湯』とかwww


 まあ、ここはもう真ん中の庭しか場所ないし、流石にせっかくのこの庭が無くなるのは避けたいよなぁ・・・。


 落ち着いたら、店とカフェの地下って手もあるか・・・真剣に考えてみる?

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