第94話

「次は魔道具ギルドに行くよ!」

とフェリンシアに伝える。


 魔道具ギルドに到着し、受付嬢に

「サンドラ・フォスティニアさんにお会いしたいのですが、いらっしゃいますか?」

と魔道具ギルドのギルドカードを出す。


 すると、

「あらあら・・・その歳で既にうちのギルドの会員なのね。凄いわねぇ。 ちょっと聞いて来るので少々お待ち下さい。」

とギルドカードを返して来た。


 暫く待つと、受付嬢が戻って来て、

「どうぞ、部屋まで案内します。ついて来て下さい。」と。


 ドアをノックすると、

「どうぞ」

と中から声がした。


「お久しぶりです。」

と挨拶をすると、


「お久しぶりだが、私の所には日々君のニュースが流れてきているぞ!」

と笑いながら言ってる。

「で、今日はどうした? 何か魔道具で困り事かい?」

と聞いてきた。


「いえ、魔道具ではないのですが、困り事ではあります。実は、これを手に入れたいのです。」


 と、米を出してみた。 ついでに醤油も。


「すると、おお、お米か・・・懐かしい。こっちは?・・・もしかして醤油か!?」

と食いついて来る。


「おお!!!初めて醤油を知る人にあった。 そうなんです。これらが欲しいんです。伝手はありますか?」と。


「なるほどな・・・コーデリア王国では米も栽培しているし、醤油も味噌ってのもあるよ。

 但し伝手と言ってもコーデリア王国内の伝手で、殆ど絶界の森を迂回しての貿易が細々あるだけだから、ここまでは米も醤油も入って来ないからなぁ。」


「じゃあ、コーデリア王国内には伝手があるのですね? その伝手への紹介状を頂けませんか?」

とお願いする。


「それは構わないが、どうするつもりだ? 迂回すると何か月も掛かるし、往復で1年仕事だぞ?」と。


「ふっふっふ、今日明日とかは無理ですが、近々にコーデリア王国に行ってみたいと思ってたんですよ。観光と買い物で。」

と答える。


「はっはっは!本当に君は面白いな。よし、じゃあ紹介状を書いてやるよ。但し、お願いがあるんだが、聞いてくれるかい?」

と言われる。


「え? 聞ける内容なら良いですけど・・・」

と言い淀む。


「いや、そんなに無茶な事は言わないさ。

 お願いは2つあって、1つ目は、私にも買って来たお米を別けてくれ。

 出来れば醤油と味噌も更に出来ればお酒も。2つ目はコーデリア王国に行ったら、家族へ手紙を届けて欲しい。

 とこの2つなんだが、どうかな?」と。


「あ、そんな内容ですか。大丈夫ですよ。紹介状と手紙は何時頃貰えますか? 出来るだけ準備が整い次第早目に行きたいと思ってますので。まあ店がオープンして落ち着いてからだとは思いますが。」

と聞くと、


「ああ、手紙も紹介状も今日明日で用意しておくよ。 いやぁ楽しくなってきたなぁ。 ああお米楽しみだ!」と。


「あ、塩結びとかで良ければ、作り置きありますが、1つあげましょうか? あと、雑炊も少しあります。と、皿を出し、その上に塩結びを出した。」


 そうすると、

「うぉーーーー! ご飯だーーー」

とはしゃぐはしゃぐ。


 皿を受け取ると、口の周りにご飯粒を付けながら、涙を流し食べるエルフ・・・。


「そんなに食べたかったんですね。 気持ち判ります。 雑炊もどうぞ。」

と熱々の雑炊を器に盛って出す。

 するとこれもハフハフ言いながら、涙ながらに食べるエルフ・・・。


「最後にお酒少し飲みますか?」

と、コップに冷酒を入れると、


 奪い取るように、受け取り一気に煽る。


 更にお酌すると、また一気に煽る。


 3杯目を入れると、チビチビと飲む・・・泣きながら。


(えっと、日本酒の在庫って・・・あ、これラストの1本か・・・)


「えっと、これ、ラストの1本ですが、料理酒としてしか使ってないので、残り物で悪いですが、これ飲んで下さい。」

と日本酒ラストの瓶を渡した。


「あ、ありがとう!!!!」

と泣きながら、お礼を言われた。


「じゃあ、紹介状と、手紙の方、宜しくお願いしますね。また来ますので。」

と言うと、


「いや、出来たら私が持って行くよ。店の方に居るんだろ?」

との事で、お願いした。


 いやぁ・・・気持ちが判るだけに、ね。

 俺とサンドラさんの心と胃袋の為にも・・・ね。


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