第29話

 異世界9日目の続き・・・


 5歳児は考えた訳ですよ。


 Lv20ではあるが、ステータスのお陰で、十分な戦闘力も身に付いた・・・と思う。

 チートと言える、豪華なスキルのお陰で、出来る事も増えた。

 より安全に森の外へ出る為の、魔道具も作れた。


 居ようと思えば、あと15日ぐらいは十分結界も保つだろう。

 もっと、Lvを上げてから出発しても良い。


 ただね、黙々と鍛錬したり、調査したりするのが好きでしたが、いい加減、人と寂しい訳ですよ。


 殺伐としたLv上げだけの毎日は・・・少し心が荒びます。(見た目5歳児だし)


 まあ、どうもこの体になって、精神的な物や思考や思慮の面で、5歳の体に引っ張られてる気もする。


 どうせ元の世界には戻れそうもないし、せっかくの異世界だから、観光も楽しみたい訳ですよ。


 更に言えば、食事!! 食材としては美味しい物があっても、折角の食材も調味料やスパイス等が不足してて、特に野菜不足が激しい訳ですよ。


 と言う訳で、そろそろ時期かな?と。


 ただね、仮に森を抜けたとするじゃないですか、そして何処かの村や町や都市に辿り着いたとするじゃないですか、すると、今の俺ってどう見えますかね?

 超不審なガキですよね? 5歳児なのに、こんな魔物の巣窟から平然と出て来た訳で。

 元の世界だったら、保護者は逮捕案件ですよね。

 あと、元の世界の免許所(27歳の写真入り)はあっても、この世界のパスポートも身分証も何も持ってない。


 果たして、町に入れてくれるんでしょうかね?


 どう思う? 綺麗なおねーちゃんを見つけて、「ピェーーーン( ノД`)シクシク… 怖かったよぉー」とか泣けば誤魔化せますかね?


 27歳の男が、それやったらドン引きですが、この体なら、イケますかね?

 しかし、自分、嘘や演技って大根なんですよね・・・。



 仮に受け入れてくれたとして、5歳児でも自由に観光させてくれるのか? と言う疑問が湧く訳でして。

 オークから頂いた金貨とかあるから、多分使えるとは思うんだけど、それを5歳児がジャリっと金貨を出して大丈夫なのか? と言うのも問題。


 逆に、1~2年諦めて、ここに小屋でも建てて、結界を魔道具で作って、ある程度体が成長するまで時間を稼ぐって案もあるんですがね。


 でもね、異世界に来て、サバイバルして、観光も出来ずに、ただ殺伐とした毎日を送るのは・・・やっぱり寂しいし、悲しい。


 と言う事をループして考えてるんです。


 まあ、良いか・・・森を脱出した後は、出たとこ勝負で。


 決めました! 明日出発します!!!


 と言う事で、暫くお世話になったこの地での、最後の晩餐。

 今晩は、ご飯と茹でたジャガイモと、オークステーキに、オークの骨で出汁を取った茸のスープ付きにしました。

 ご飯もスープも多めに作りました。

 移動中はアイテムボックスから出せば、料理要らずで食べられますし。

 元々持参してた、コッフェルだと小さすぎるので、土鍋っぽい物と、寸胴っぽい物を土魔法で作りました。


 オークのステーキも美味しかったけど、オークの豚骨スープ、結構良い出汁が出るね。


 落ち着いたら、豚骨ラーメンも作ってみたい。

 ラーメンのスープって、大ネギとかも要るんだよな? 小麦とかあるかな?


 風呂に入って、ノンビリと、ユグドラシルの木を眺める。

 また、体が大きくなった頃に、遭いに来るかな。


 テントに戻って、エアコンを稼働し、夢の世界へと旅立つのだった。


 あれ? 他に何かやり忘れた事なかったかな?

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