第30話

 異世界10日目。


 出発の朝です。

 テントは立てた状態で収納し、風呂桶も収納し、忘れ物が無いか辺りを見回し、昨夜作った、塩結びと干し肉で朝食を済ませ、いざ出発!!


 方向を南と北のどちらにするか、迷ったんだけど、北は寒いらしいので、南に決定してた。


 そう、南側と言えば、緑色の点で表示された聖獣フェンリルが居るんだけど、知能高いし、言葉を理解できるらしいから、

 出来れば、戦闘せずに通過出来ればなぁと。


 結界から出て、いつもより遅めのペースで走り始める。


 5分もせずに、フェンリルと遭遇。


 フェンリルは、真っ白な毛並みで、体長3mを超えるぐらいで、モフモフの毛並みが実に素晴らしい。


「やっと現れたな、人の子よ。」


お!喋ったねw 良かった意思疎通可能だったw


「こんにちは。冴島海渡と申します。」


「ここ最近随分、派手に暴れておったなw」


「お騒がせして、すいませんでした。森を出る為のLv上げで必死でした。」


「いや、良いよ。女神様より、そなたの事は聞いておったからのぉ。」


「おや、女神様とお知り合いですか?」


「うむ、そなたを転送する際に、連絡があったよ。我はユグドラシルの番人じゃからのぉ。」


 おっと、新情報だよ! 番人だったんだ。


「あれ?女神様から聞いておらんかったか? 真っ先にこちらに来るかと思ったら、オークと一戦やり始めたりしておったから、嫌われたのかと思っとった・・・」


 え? ええ??


「いえ、全く聞いてなかったので、ただ、マッピングで味方表示になってたので、気にはなってました。

 嫌うも何も、こんな綺麗な毛並みのフェンリルを嫌う訳がないじゃないですか。」


「そうか、それを聞いて安心したぞ!

 女神様からは、助けてやってくれ と言われておったんじゃが、全然大丈夫だったようじゃのぉ」


「色々ご心配かけたようで・・・。

 ところで、何でユグドラシルの番人なのに、離れてるんですか? もしかして、転送時の結界のせいですか?」


「そうなのじゃ、あの結界はやっかいでのぉ。番人の聖獣であっても入る事を許さん物でのぉ。」


「なるほど。」


「それなら、もっと早くに遭いに来るべきでした。 話し相手が女神の知恵というスキルのみでしたので」


「ほほぉーー、スキルと話せるのか、珍しいスキルじゃのぉ?」


「はい、これが結構有能な秘書のようなスキルでして。この世界の知りたい事とかを教えてくれるので、大変助かりました。」


「ほうか、ほうか。まあ寂しさが紛れたんだったら、良かったのう。ところで、お主、こっちへ向かうと言う事は、ワンスロット王国へと向かうという事で良いのかの?」


「はい、南と北が森の出口に近いとの事で、暖かい南にしました。 あの国はどうですか?」


「ワンスロット王国は決して悪くない国だとおもうぞ? 国王も賢いし、私利私欲に走ってはおらんし。豊で大きな国じゃよ。」


 ふむ。選択は間違ってなかったようだ。


「ところで、お主、ワンスロット王国へ行って何をするつもりか?」


 ここで、質問の意図を考える。


「仕事をどうするか?と言う意味でしたら、冒険者になろうかと思っています。

 幸いここで討伐した魔物の素材もありますから、暫くは暮らせるんじゃなかと思ってます。

 あとは、魔道具とかも作れるようになったし、色々やりたい事もあるので、物を作るのも悪くないなと思ってます。」


「ふむ。それも悪くないの。 で、お主に1つ頼みがあるんじゃが・・・」


「ん? 何でしょうか?」


「ほれ、こっちに来るんじゃ。」

と左後ろの木の方向に声を掛けると、真っ白で綺麗な毛並みの小さい狼の子がやってきた。


「この子は、我の娘なんじゃが、大人になる前に、世界を見せてやりたかったのじゃよ。

 で、お主さえ良ければ、この子も一緒に連れていってはくれぬかと・・・な。

 どうじゃろうか?」


「わぁ・・・お母さんに似て、綺麗で可愛い子ですね。毛並みもモフモフで、賢そうですね。

 うーん、こんな事なら、もっと前にこちらに来ておけば、寂しくなかったのになぁ・・・」


「うむ。この子を気に入ってくれたようじゃの? この子も友達がおらんかったから、寂しがっておってのう。ほれ、お前も挨拶せんか!」


 すると、小さいフェンリルが

「あのぉ、初めまして。良かったら、お友達になってくれませんか? 私も一緒に連れていってくれて、色んな所を見て廻りたいのですが・・・」

と控えめに挨拶してきた。


「勿論、こちらこそ、よろしくね。あ、でも俺、体は小さい子供なんだけど、中身は27歳なんだけど、そこら辺は大丈夫かな?」


 すると、大きなフェンリルの方が、

「ああ、そこら辺は、心配無用じゃよ。女神様から聞いとるし、27歳といっても、我々の種族は長寿でのぉ。この子はまだ子供とは言え、既に125歳ぐらいかのぉ。人間とは生きる時間の感覚が違うんじゃよ。」

と。


「じゃあ、良かった。問題ないですね。これからよろしくね! えっと、名前は?」


「そうか、人には名前があるが、我々には名前と言う概念が無いのじゃよ。

 どれ、お主が付けてやってくれるかの?」


「え? そんな大役、俺なんかで良いんでしょうか? 自分で言うのもなんですが、ネーミングセンスないんですよ?」


「大丈夫よ? 私、あなたに付けて貰いたいの。」


「そっか、じゃあ、ちょっと時間頂戴ね。」と考え始める。


 白いから、「雪」とかベタだし、「白(しろ)」や「白(ハク)」もダサいし。 一度白い色から頭を切り離す。

 フェンリル・・・フェル・・・ うーん、いや、フェンリルってのも頭から切り離そう・・・。


 いっそ、向こうの世界の実在の人物から持って来るってのもアリか? 聖獣で綺麗な子だし、狼系の種族のお姫様みたいな感じかな?

 そうすると、プリンセスか そういえば、昔プ〇ン〇リンって人形劇があったな・・・

 プリンセス・・・プリンシア・・・フェンリルのフェリンシア・・・ フェリンシア どう?


「えーっと、気に入るか判らないんですが、フェリンシアってのが頭に浮かびました。 どうでしょうか?」


「うん、何か良い響きだし気に入ったわ!!」


「じゃあ、フェリンシアで良いですかね?」

とお母さんフェンリルにお伺いをたてる。


「うむ。この子も気に入ったようじゃし、良い名前だとおもうぞ。 な、フェリンシアよ。」


 すると、


 ≪ピロリン♪ 新しい称号:聖獣の友 を取得しました。≫

 ≪ピロリン♪ 新しい称号:フェンリルの名付け親 を取得しました。≫


「おーーー! 新しい称号がついたーー♪」

と声をあげるのと同時に、フェリンシアの体が突然光り輝いた。


 光が収まると、普通の子犬ぐらいだった体が、2mぐらいに大きくなってた。


「あ、名前貰ったら、成長したよ♪」と上機嫌のフェリンシアが小躍りしてた。


 自分のステータスを確認してみる。

『ステータス』

 ************************************

 名前:(冴島海渡(仮))

 年齢:5歳(27歳)

 種別:人族(+α)

 職業:(テスター)(考古学者)

 Lv:20

 HP:17582/17582

 MP:22576/22578

 筋力:23482

 俊敏:10486

 武術:剣術Lv10 槍術Lv10 忍術Lv10 体術Lv10

 魔法:火Lv4 水Lv2 風Lv3 土Lv2 光Lv2 闇Lv1 聖Lv1 時空間Lv1

 スキル:鑑定Lv3 アイテムボックスEx 言語理解Lv10 経験値増加

     スキル取得補助 隠密Lv6 気配感知Lv6 女神の知恵Ex 料理Lv1

     魔力感知Lv4 魔力操作Lv4 エクストラレーダーマッピングLv5

     多重処理Ex 身体強化Lv3 魔法付与Lv2 魔力吸引Lv1

 称号:武術マスター(異世界の訪問者)(神々の使徒)(インテリ筋肉)

    (冒険に童貞を捧げし者)オークの天敵 オーク・キングの悪夢

    火事場泥棒 蟻の天敵 キラー・アンツ・クィーンの悪夢

    異世界からの魔道具マイスター 付与魔法の異端児 リザードマンの悪夢

    聖獣の友 フェンリルの名付け親

 ************************************

 うん、今回の称号2つとも当たりだねw

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