第26話

 ベースキャンプに戻ると、丁度昼時だった。

 蟻の焼け焦げる臭いで、胸やけしてて、食欲が無い。

 こういう時は、フルーツにするかと、『女神お勧めのフルーツ盛り合わせ』を出す。


 桃っぽいのを皮の上から齧り付いてみた。元々果物は全般好きだが、桃は格段に大好物。元の世界では7月になると、フルーツ屋によく通ってた。

 この桃って中がオレンジ色で、黄桃に似てるが、味は格段に上だな。普通にこの桃の存在だけで、この世界が好きになれる。黄桃より、実が柔らかく水分多めなのだが、濃厚な桃のジュースが染み出て来る感じ。

 この桃でスイーツとか作ったら、どんな感じかなぁ?と、想像を膨らませる。


 真っ先に浮かぶのは、ピーチパイや桃のムースか。 人の住む所に行ったら、小麦とか色々を仕入れないとなぁ。

 あっと言う間にペロリとを完食し、目の先のマンゴーっぽい物を凝視する。


「このマンゴーっぽいのって、デカイよね。ちょっとしたスイカサイズだな。」


 既にさっきまでの胸やけの事は忘れている。よし、食べてみよう。

 どうやって食べるべきかな? 地球のマンゴーには平べったい種が入ってて、大体オーソドックスに3枚卸にして食べるんだけど、大きいから一気に食べられる気はしない。

 ナイフを取り出して、上15cmぐらいを水平にカットして、皮を下に胡坐の上に抱えてみた。既に気分は大皿料理だ。ピンク色の実をスプーンで掬って、プリンの様に柔らかい実を口に入れる。

 さっきの桃の上品なパンチと違い、これは!!!

 日本で一度だけ食べた、某県の高級マンゴー(1つ1万円とかって物)の更にワンランク上!!!!


 女神様ーーー!良い仕事してますぜー!! と叫びたくなる程だった。

 つまり、あれだ! 地球のラノベを手本にしたこの世界、食べ物もラノベよろしく、似た様な食材をワンランクもツーランクも上に設定してあるんじゃないのか?と。


 いやぁ~、マジで、来て良かった。 美味しい食材だらけで、食べ過ぎて太らないようにしないとなw

 しかし、このマンゴー、美味しいけど、1個当たりが暴力的な量だなw

 流石に、カットした分を食べきる事は無理だった。


 果物でベトベトになった顔や手を洗い、レベルが上がったのを思い出して、ステータスの確認。


『ステータス』

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 名前:(冴島海渡(仮))

 年齢:5歳(27歳)

 種別:人族(+α)

 職業:(テスター)(考古学者)

 Lv:19

 HP:7059/14637

 MP:4189/18712

 筋力:19521

 俊敏:8656

 武術:剣術Lv10 槍術Lv10 忍術Lv10 体術Lv10

 魔法:火Lv4 水Lv2 風Lv3 土Lv2 光Lv2 闇Lv1 聖Lv1 時空間Lv1

 スキル:鑑定Lv3 アイテムボックスEx 言語理解Lv10 経験値増加

     スキル取得補助 隠密Lv6 気配感知Lv6 女神の知恵Ex 料理Lv1

     魔力感知Lv4 魔力操作Lv4 エクストラレーダーマッピングLv5

     多重処理Ex 身体強化Lv3 魔法付与Lv1

 称号:武術マスター(異世界の訪問者)(神々の使徒)(インテリ筋肉)

    (冒険に童貞を捧げし者)オークの天敵 オーク・キングの悪夢

    火事場泥棒 蟻の天敵

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 レベルやステータス値だけが全てではないだろうけど、ステータス値だけ見れば、もの凄く伸びてると思うんだよな・・・。

 そういえば、オーク・キングのステータスってどうだったっけ? あれ?もしかして、鑑定し忘れてたんじゃないか? と気が付き、愕然とする。

 確かに、精神的な余裕が無かった。思えばあの壇上で演説ぶってた時に鑑定しておけば・・・と、深く反省。


『海渡様、蟻どもに動きがあります。』


 急いでマップを確認すると、

 巣穴から、ポツポツと赤い点が湧いてきている。28個の赤い点の後、一際デカイ赤い点が現れた。


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 種別:キラー・アンツ・クィーン

 Lv:75

 説明:大きな蟻の昆虫型魔物の女王種

   固い外骨格を持ち、キラー・アンツの約2倍耐物理攻撃と耐魔法攻撃を持つ。

   麻痺毒の他に、強力な酸性の唾液を持ち、飛ばす事が出来る。

   酸性の唾液は、ミスリルをも溶かす。

   高い生殖能力を持ち、1週間で数百の卵を産み落とす。

   知能は高く、蟻軍隊の指揮を執る。

   火に弱い。

   魔石、外骨格、唾液袋、羽が取引される。

   食用には適さない。

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 お? 羽?? 羽持ちなのか!!! 急がないと、飛んで逃げられちゃうじゃん。

 慌てて、隠密と身体強化を発動し、走り出す。

 Lvアップの恩恵で、こちらに来た早々と比べると、シャレにならない速度で走れる様になっている。そのお陰で、僅か数秒で視認出来る位置に辿り着いた。


 クィーンは羽を微かに動かして、乾かしている所らしい。


 今度は忘れずに鑑定。

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 種別:キラー・アンツ・クィーン

 Lv:75

 状態:興奮状態

 HP:5408/12741

 MP:8073/11204

 筋力:21224

 俊敏:1845

 武術:格闘術Lv4

 魔法:土Lv7

 スキル:身体強化Lv6 嗅覚強化Lv7 聴覚強化Lv7 気配察知Lv5 麻痺毒

     蟻酸 耐物理攻撃 耐魔法攻撃 飛行術Lv2

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 なるほど、Lv75はこれぐらいのスペックなのか。

 しかし、スキルや魔法のLvは凄いけど、ステータス値だけを見ると、俺と変わらない?と言うか勝ってるじゃん。


 せっかくのキラー・アンツ・クィーンは、綺麗に倒して、売り物にしたい。

 羽とかキラキラしてて、高そうだし。

 蟻酸の唾液攻撃と、土魔法の攻撃に注意しなきゃだが、耐物理攻撃と耐魔法攻撃のスキル持ちだから普通に攻撃しても、効かなそうなんだよね。

 外骨格が固くて攻撃が通らないんだったら、内部からが常套手段かな。

 顔もデカイし、口もデカイから、あの口の中に魔法をぶっ込めたら、内部からヤれるんじゃないか?


 奴の攻撃を躱しながら、上手く狙えるか?が、鍵だな。

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