第27話


 取り合えず、取り巻きの28匹を始末して、クィーンに集中するか。


 手早くファイヤーランスを20本出して、クィーンに向かって走りながら発射。

 18匹を仕留め、2匹は足や胴体を損傷。続く20発で残りと、うち漏らしに狙いをつけ、各2はつづつ発射。


 全弾命中で、取り巻きの赤い点が、マップから消える。

 クィーンは、こちらを威嚇するように「ギギギーー」と鳴き、唾液を飛ばして来る。


 こちらも高温のファイヤーランスを準備しつつ、余裕を持って回避する。

 俊敏値の通り、動きの早さでは、こちらについて来れないようだ。

 ジグザグに進みながら、クィーンへと迫る。


 牙を開き、口から唾液を飛ばすモーションが見えた、その時! 準備してたファイヤーランスを発射!! そして、すぐさま次弾を準備する。

 口への攻撃は、予想外だったらしく、無防備に開いた口へとファイヤーランスが吸い込まれて行く。


 口の中から後頭部へとファイヤーランスが抜け、空の彼方へと消えていった。


 口と後頭部から、何やら飛び散り、慌ててバックステップで距離を取る。

 動きの止まったクィーンが静かに倒れた。


 ≪ピロリン♪ Lv20にレベルアップしました。≫

 ≪ピロリン♪ 新しい称号:キラー・アンツ・クィーンの悪夢

                      を取得しました。≫



「やったー!完全勝利だーー」と子供らしく飛び跳ねるて、ガッツポーズ。


 28匹+クィーンを回収し、巣穴に目をやる。


「これさ、このままにしとくと、まずそうだよね。 もしかしたら生き残った卵とか孵るかもしれないし。」


『そうですね、出来るだけ破壊して埋めた方が、後々安全かと。他の昆虫系の魔物とかが住み着く可能性もありますし。』


「よし、潰そう!」


 魔力の残りを少し残して捻り出し、爆発系のファイヤーボールをイメージする。名付けて、「エクスプロージョン・ボール」

 それっ!っと 穴に投げ落とし、速攻で結界を目指して退避する。


「チュドーーーン」と大きな音と、地面が跳ね上がって足を取られ、アワアワと焦る。


 跳ね上がった地面が今度は陥没していき、蟻地獄の様なすり鉢状になっていく。

 後方からすり鉢状の崩壊が、凄い勢いで迫って来くるので、片膝と手を地面に付けて、立ち止まっていたが、慌てて立ち上がり、駆け出す。


 やっと、陥没が止まったようなので、近くの木に飛び乗って確認すると、すり鉢状の中心は、ドロドロと溶けて真っ赤な溶岩の池になっていた。

 すり鉢に落ちた木が落下して、溶岩で燃えてる。


「やっべーー、あの蟻地獄に捕まってたら、本当にヤバかったな。自分の攻撃で死んだら、自爆も良いとこじゃん。」

と加減は大事だと痛感するのだった。


 ベースキャンプに戻り、ヘタリ込んでステータスを確認。


『ステータス』

 ************************************

 名前:(冴島海渡(仮))

 年齢:5歳(27歳)

 種別:人族(+α)

 職業:(テスター)(考古学者)

 Lv:20

 HP:7059/17582

 MP:524/22478

 筋力:23482

 俊敏:10486

 武術:剣術Lv10 槍術Lv10 忍術Lv10 体術Lv10

 魔法:火Lv4 水Lv2 風Lv3 土Lv2 光Lv2 闇Lv1 聖Lv1 時空間Lv1

 スキル:鑑定Lv3 アイテムボックスEx 言語理解Lv10 経験値増加

     スキル取得補助 隠密Lv6 気配感知Lv6 女神の知恵Ex 料理Lv1

     魔力感知Lv4 魔力操作Lv4 エクストラレーダーマッピングLv5

     多重処理Ex 身体強化Lv3 魔法付与Lv1

 称号:武術マスター(異世界の訪問者)(神々の使徒)(インテリ筋肉)

    (冒険に童貞を捧げし者)オークの天敵 オーク・キングの悪夢

    火事場泥棒 蟻の天敵 キラー・アンツ・クィーンの悪夢

 ************************************


「はぁ~疲れた。随分、魔力を使ったなぁ・・・。

ダメだ、今日はもう、動きたくない」

と、仰向けに寝転がって寝落ちしてしまったのだった。


 目が覚めると、辺りは暗くなっていた。

 体がベタベタで気持ち悪いので、風呂を用意する。

 少し寝たお陰で、魔力も半分くらい復活してた。


 頭と体を洗い、湯船でノッタリと微睡む。


「知恵子さん、そういえば、今まで気にしてなかったけど、この世界の季節とか、時間やカレンダーってどうなってるのかな?」


『ここの世界の時間は地球と同じ24時間で、1時間は60分、1分は60秒と、地球に合わせて作られてます。1年は12ヵ月なんですが、1ヵ月は28日で1週間は7日です。だから1年は336日ですね。』


「そうなのか、だから時間の感覚に違和感なかったんだね。四季はあるの?」


『はい、緯度によっても変わりますけど、地球と同じ感じです。 この辺りは北半球で日本と同じ様に、四季があります。』


「で、今は何月何日で季節はどれになるの?」


『今日は9月の28日で、季節は秋です。あと1ヵ月もすれば、かなり冷え込んできます。』


「そうか・・・現在居る森って、大体どれくらいの大きさなの?」


『この星は、地球の1.5倍くらいの大きさで、その中で一番大きな大陸にこの森があります。大陸の大きさもヨーロッパ~アジアを含むぐらいの大きさで、大陸の中心が、このユグドラシルの木の場所です。

 この森は、大体横長の楕円の形をしてまして、北から南の全長が約700km、西から東が約1200kmぐらいです。』

「えーー! じゃあ、この森を抜けるには、北か南へ行くのが最短なのか。それでも350kmかよ・・・。」

『でも、今の海渡様の体なら、森の中と言う事を考慮しても、5日ぐらいで森の外に辿り着くと思いますよ? まあ、出て来る魔物次第って事もありますが、最長でも10日ぐらいあれば、大丈夫かと思います。』


「まあ、距離的な物はそれぐらいかもしれないけど、5歳児の体のせいか、定期的な睡魔が凄いんだよなぁ。

 途中9泊するって事は、寝てる無防備な間をどうするか?と言う問題あるんだよなぁ。」


『そうですね。気が休まらないと、消耗して、思わぬ事故に繋がらないとも限りませんね。 であれば、簡易的な結界を貼る魔道具を作ってみては如何ですか?』


「はぅ、その手があったか!!!!! アニメやSF映画で出て来るような、シールド的な物を作れば、安全に野営出来るな。」


 よし、安全な移動の為に、何か作ろうと心に決める海渡であった。

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