第3話
海渡が降りた部屋にあったのは、青白い光を放っていたのは、壊れ掛けたダンジョンコア。
真相はこうである。
約1万年前、地球外の世界・・・あえて言えば、異世界の神々と、地球を含む世界の神々が交流し、親交の証として、ダンジョンを地球に幾つか作った。
現在の日本の天照大御神の管轄には前方後円墳型を、ラーの管轄にはピラミッド、アステカの神々管轄のピラミッド、ゼウス管轄のパルテノン神殿、トール管轄のアースガルズ神殿等など・・・。
地球方面を管轄する神々は、どの様な生物と世界を作るかを試行錯誤していた。主軸となる生物を探していた。
作ってはリセットし、又は進化させたりと・・・。人間が主軸と決まるまで、色々なトライ&エラーを繰り返した。
異世界側の1つであるアトランティスとムーに地球側の神々が視察しに行った際、人間と、その発展した文化を見て、「お!これイケるんじゃね!?」と、
当時地球で主流だった恐竜の遺伝子と人間の遺伝子を物々交換し、文明を築く助力となるように作ったのが、これらダンジョンである。
ダンジョンには、ダンジョンコアと呼ばれる、頭脳部分とエネルギー(神気)を兼ね備えた、青白い光を放つ球体が置かれる。
このダンジョンコアの保持するエネルギー量はもの凄く、現在の地球で使用する全てのエネルギーの、1万年分が内包されている。
加えて、高性能な自己判断型CPUは現在の人間が作り出すスパーコンピュータに比べても、比較するのが失礼なレベル。
また、各地のダンジョンコアは神気ネットワークでリンクしており、情報の共有や、安定したエネルギーの負荷レベルをお互いに補いあったり、より複雑な事例等の判断と処理には協力して決断したりしていた。
そしてダンジョン転送機能経由でアトランティスやムーやネビル等から、時々訪れて文化に影響を残して行く異世界人により、微調整され現在に至る。
アヌンナキと言う名のリザードマンも訪れた。犬の獣人も現在のエジプトの地を訪れたりした。
日本に狐の獣人も来ていた。
さて、安定した独自文化が芽吹きそうと、神々があまり地球に介入しなくなった頃、神々がよそ見している間に事件が起こる。
太陽フレアの直撃である。
各地のダンジョンコアは、いち早く危険を察知し、自分らの力だけでは防ぎきれない為、神々に救援の打診をたてたのだが、残念な事に日が悪かった。
神々の視察旅行という名の遠征とバッティングし、ダンジョンコアからの打診は圏外で空振りに終わった。
だが、賢いダンジョンコアは、人間の根付いた地球を守るべく、全コア最大出力で、神気シールドと、放射線シールド、電磁シールドを地球の外に展開。
地球に到達した太陽フレアは、神気シールドの突破で全体の80%を失う、残り15%は放射線シールドで、残り5%を電磁シールドでほぼ防ぎ切った。
現在地球には電離層という電磁シールドの残滓が名残として残っている。
太陽フレアの影響で地球の地軸は傾いて、現在となる。
また一部で漏れた太陽フレアのエネルギーが元で、地球の一部の地域では大洪水が起き、運良くダンジョン掲示板を見ていたノアは大急ぎで、避難用の箱舟を
作ったという話もある。
正にダンジョンコア様様である。だが全てのダンジョンコアはエネルギーを使い果たし、また一部のダンジョンコアはオーバーロードし、異常行動を起こしたり、
ダンジョンそのものが、消滅した。
後世に残ったピラミッドや前方後円墳や神殿等の殆どは、オリジナルのダンジョンへの感謝の為、またいつか戻る事を期待し、形を真似ただけの物である。
で、日本で今回発見された前方後円墳は、勿論オリジナル。
過去の太陽フレア事件で、一部暴走し、スタンピードを引き起こした。
神々が受信圏内に戻った時、既にフレアが起こった後で、地球のダンジョンコアへ通信回路を接続しようと試みたが、機能停止後であった。
最大望遠機能で各地の状態を確認した所、日本のスタンピードを発見した天照大御神は、日本地区の八百万の神々のアシストの元、神気弾を発射。
射程ギリギリの距離からの、遠方射撃であった為、電離層となった電磁シールドの残滓の衝突の影響で、小さい破片が飛び散りつつも、約40%のエネルギー値で
ダンジョンコア直上に激突し、枯れたダンジョンコアに強制コマンドと言う息吹を少しだけ与えた。
わずかなエネルギーと強制コマンドで、ダンジョンを山に埋め、スタンピードを防いだ。
ダンジョンコアのクラック部分から漏れ出たエネルギーの残滓は、山を潤す滝となったのだった。
地球の神々は、ある程度の文化が根付いた地球のダンジョンコアの復活を考えては無かった。
地球もそろそろ親離れして良いころ合いであろう と。
しかし、またもや想定外の出来事が、地球から遠く離れた宇宙で起きる。
そう、ベテルギウスの超新星爆発によるエネルギー放射である。
本来であれば、神気とは別の波長のエネルギーなのだが、宇宙空間を突き進む中で、屈折変調を経て、神気に近いエネルギー体へと変貌したのだった。
そして、丁度神気弾の空けた穴から、エネルギーを受け取り、奇跡的にダンジョンコアが一時的な再起動を果たす。
超精密監視衛星「はるかぜ3号」が捉えた、オリジナルの前方子円墳型ダンジョンが再起動した瞬間のデータを送ってきたのであった。
もっとも、ダンジョン護衛隊である魔物を生み出す程のエネルギーは残っておらず、生命維持のエネルギー消費程度の燃費運転を開始したのだった。
ダンジョンの再起動に伴い、かつての神気弾のエネルギー残滓で流していた、滝の源の水源は停止し、海渡の侵入で最終防衛ラインの結界が壊された事で、壊れかけたダンジョンコアは、焦ってアトランティスへの転送を実行・・・しかし超新星爆発からのエネルギーでは足りなかったのか、又はリンクアドレスが古かったのか、別の場所へと転送されたのだった。この転送でエネルギーを使い果たしたダンジョンコアは、再び停止し、青白い光も消えて、次の偶然?まで休眠するのであった。
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誤字を修正しました。ご指摘ありがとうございました。
更生×→後世○
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