第百二話:采配(1)

 奇跡にも似た、奇妙で突然の復活劇が終わった後の話だ。

 いや、これからこそが始まりだとも言えるだろう。

 大呪界では拓斗の復活がすぐさま報じられ、事情を知る者達は我先にと宮殿に駆けつけその快方を口々に祝う。

 マイノグーラ王の復活。

 誰しもが心から望んだことであり、その為に様々な手段や手法を模索して一向に回復の兆しが見えなかったことでもある。

 その復活は、まさしく奇跡の顕現のように思えた。


「王! お加減はもうよろしいのですか!?」


「ああ、もう大丈夫。心配かけたね」


 マイノグーラの宮殿。玉座の間。

 この場で最後に話し合いがされたのは果たしていつだっただろうか?

 久方ぶりに主だった配下が全員集合した玉座の間には、ダークエルフたちによる歓喜のためか、一種の高揚した空気のようなものが醸し出されている。


「王よ! この時の為、日夜欠かさず訓練を行っておりました! ダークエルフ銃士団は準備万全です! ご命令を!」

「いやはや、やはり我々のごとき矮小な存在に王のあり方を推し量ろうなどと不敬にも程がありましたな。ワシが王をお治しするのだと息巻いていた浅慮がほとほと恥ずかしいですわい」


 ギアとモルタール老。

 相も変わらずだが拓斗への心酔が強い二人の喜びは計り知れない。


「よ、よくぞご無事で……。早速アンテリーゼさんにもお知らせしますね!」


 エムル。

 今回の事変においては目立った活躍こそないものの、揺らぐマイノグーラの屋台骨を支えていた縁の下の力持ちだ。

 自分だけでは無く友人でもあるアンテリーゼにも吉報を知らせようとするあたり彼女の性格がうかがえる。


「よかったー」

「元気になって一安心ですねお姉ちゃんさん」


 エルフール姉妹もまた嬉しそうだ。

 魔女となってその精神に大きな変化があったとしても、元のあり方まで変わる訳では無い。

 結局、彼女たちは拓斗のことが大好きで、いつもの王様が戻ってきてくれる事を強く願っていたのだから。

 もう大切な人を誰も失いたくない――まごうこと無き彼女たちの本心だった。


「皆さん。拓斗さまへのお言葉は簡潔に! なぜなら! この程度のこと、我らが王にとって困難のうちに入らないのですから! 私は拓斗さまがこうやって元気になることを、ちゃあんと知っていましたので!」


 そしてアトゥ。

 口では皆を制するような事を言いながらも、その顔からは喜びが隠しきれずにいる。

 むしろこの中で一番喜んでいるとさえ思われた。

 その後も、拓斗はマイノグーラ中枢に関わるダークエルフや配下から、様々な言い回しを用いた祝いの言葉を贈られる。


 少し――いや、かなり気恥ずかしいものがあったが、今まで自分が陥っていた状況を考えるとこうなるのも仕方なしかと、拓斗はコミュ障なりに頑張って返事をするのであった。


 ………

 ……

 …



 祝いの言葉も一段落し、落ち着いて思考の海に潜ることが出来るようになった頃合い。

 拓斗はようやくここまで体制を立て直せたことに安堵する。

 思えば……ドラゴンタンと接触してから問題続きだった気がする。

 暗黒大陸南部からの蛮族襲来と、それに続く敵対勢力――ブレイブクエスタス魔王軍の出現。

 一難去ったかと思えば、次なる敵はTRPG勢。彼女らによる急襲とそれに伴う一連の難事。

 最終的には拓斗の活動が不可能になるほどの消耗を受け、回復するのにここまで時間がかかってしまった。


 世界の状況は未だ混沌に満ちている。

 他のプレイヤー、その背後にいるであろう存在。

 確実に訪れるであろう、全てをかけた戦い。

 現実的な国家運営だけではなく、それら超常の現象にも対処していかなくてはならない。


 だがそれもまた、拓斗が過ごしてきた日常であった。

 今までも困難な敵にはあたってきた。それが『Eternal Nations』というゲームの中の話であるか、現実であるかは拓斗にはさほど関係ない。

 敵がいるのなら、必ず打ち砕く。

 奪われたものを、全て奪い返すために。

 拓斗は――決意を新たにした。


「よし、じゃあ早速頑張っていこうか!!」


 ともあれ、やることは実のところ地道であった。

 まずは内政。何よりも内政。

 様々な問題はあるものの、土台である国家運営をおろそかにはできない。

 このような状況であるからこそ、なおのことだ。


「では早速拓斗さまに指導者権限をお返ししますね。どうぞ存分にあのヴィットーリオを懲らしめてやってください!」


 拓斗の宣言に触発されたのか、アトゥがぺかーっとした――まるで常春のような笑顔を浮かべ申し出る。

 指導者権限を代理的に付与する方法はあくまで一時的な手法だ。

 建築や生産、外交などの国内における様々な指示を行うことができるが、反面ユニットの視界を共有したり念話を送ったりすることはできない。

 故にシステムの能力を最大限に発揮する為には早期の返上が必要なのだ。

 むろん、実利的な意味よりも本来拓斗が持つべきものだから。という理由の方が大きいが。

 拓斗が指導者であることこそが最大にして最強の武器なのだ。返上しない理由はどこにもなかった。

 だが……。


「ああ、それだけど。まだ本調子じゃないから指導者権限はそのままにしておいてくれるかな?」


「へ? そ、そうなのですか?」


 唐突に出鼻がくじかれた。

 周りで事の成り行きを見守っていた者たちも、少し驚いた様子を見せている。


「うん。まぁ正直に言うけど、アトゥを奪還するときに使った能力。僕の体調が良くなかったのはあれが原因なんだよね。どうにも連続で使用するには無理があったみたいだ。出来ればもう少し回復に専念したいと言うところなんだよ」


「それは……時間さえあれば問題ない、ということでしょうかな?」


 会話に口を挟む愚行を承知で問うたのは、モルタール老だ。

 拓斗が復活したものの、その詳細は依然として判明していない。

 王への信頼はあれど、万が一を危惧するのは彼の立場を考えれば当然だ。


「ああ、少し休む時間があれば大丈夫。何も年単位じゃない。そうだね……1ヶ月もあれば十分かな? まぁ筋肉痛とか魔力切れとか、そんなものだと思ってくれればいいよ」


「かしこまりました。では御身の周りに一層護衛をつけなければなりませぬな」


「そこまでしなくてもいいと思うけどね」


 あっけらかんと言う拓斗だったが、彼以外はより一層の護衛充実を決意している。

 次こそは必ず拓斗を守ってみせるという不退転の決意を持って。


「念話やユニットの確認が出来ないのが難点だけど、指導者としても最も大切なのはここ――頭だからね。その点は安心してほしい」


「もとより不安視などしていません! では拓斗さま、ご随意にご命令を!」


「ははは、ありがとう」


 深々と頭が下げられる。

 王の帰還を祝福するかのように、その復活を祝福するかのように。

 様々な問題はあれど、ここにマイノグーラは再始動を果たす。


 ――そして忘れるなかれ。

 『Eternal Nations』は国家運営シミュレーションゲーム。

 すなわち時間が経過すればするほど、その規模と国力は増加していくのだということを。


 ◇   ◇   ◇


「さぁ、内政の時間だ」


 ウキウキとした声音で、拓斗が宣言する。

 マイノグーラに住まう誰しもが、自国の繁栄を望んでいるが、誰よりも強い執着と愛着を見せているのは他ならぬ拓斗だろう。

 彼は、何よりもこの時間が好きだった。


「すでに国内の状況はある程度把握している。いくつか修正点があるから、それを詰めて行こう」


 拓斗の号令によって国家という名の巨大な生き物が鎌首をもたげ胎動を再開する。

 すでに頭の中で作戦は組み上がっている。

 後は実務的な調整と指示を行うだけだ。

 拓斗は自分の把握している情報と齟齬が無いか、現状把握を行う。


「確認だけど、新しい施設は建築できないんだよね? モルタール老。今のところ研究は止まっているんだっけ?」


「はい、《六大元素》はなんとか研究が完了しており次の研究項目については保留しております。しかしながら今から新規技術を研究するとなると……先の研究で得た知見を踏まえるとかなり時間がかかるかと愚考します」


 最初の議題に対する返答は、皆が口々にまくし立てた勇ましい言葉から打って変わって少々気落ちしたものだった。

 それもそのはず、マイノグーラの国家運営において求める程に結果が出ていないのが、この研究に関してだったからだ。

 無論これはモルタール老を筆頭とするダークエルフたちが無能だからという訳では無い。

 単純に考えて新技術の開発など一朝一夕で出来るものではないという、至極常識的かつ覆しがたい理由によるものだ。

 むしろこの世界にやってきてからの時間で《軍事魔術》と《六大元素》を完成させたことを褒め称えられるべきだろう。

 だがそれでもなお、足りなかった。


「今のマイノグーラにおいてネックとなっているのは技術不足。数多くの配下や施設があれど、土台となる技術を確立しなければ生産することが不可能です……」


 アトゥの言葉は正鵠を射ている。

 様々な能力を有する施設。様々な奇跡を起こしてみせる魔法。

 そして様々な力を振るう英雄。

 いくら無限の可能性と圧倒的な力を有していようと、使えなければ無用の長物だ。

 本来であれば数年単位――それこそ数十年という単位で国家を運営していく『Eternal Nations』の弱点が、この時間への無力にあった。


 そしてこの弱点は、彼らがいるこの世界における戦いと最も相性が悪いと言える。

 すでに現状の研究状況で解禁される建物は全て建造済みだ。

 ドラゴンタンでは建築途中のものもあるが、それも大呪界の焼き回しで現状を大きく変える程のものではない。

 有り体に言えば、技術という大きな枷によってマイノグーラは身動きがとれなくなっていた。


 だがそれすらも――。


「あっ、言い忘れてたけど、技術はパクってきたから大丈夫だよ」


 拓斗の手にかかれば容易に解決しうるものである。

 驚きの視線が一点に集まる中、拓斗はどこからともなく巻物のようなものをいくつも取り出す。

 羊皮紙の束と思われるそれは、それぞれがまるで隙間を埋め尽くすかの勢いでビッシリと書き込みがされており、隙間から見え隠れする豪奢な文字装飾などから察するに重要な情報であることは一目でわかった。


「《精錬》《演劇》《漁業養殖》《城砦建築》《先進狩猟》――宗教系の技術はさすがに概念が違いすぎて無理だったけど、僕らでも利用できるものは根こそぎ、ね」


 驚きによる沈黙が場を支配する中、気がつくとそれらはうずたかく積まれた一つの山と化していた。

 その全てが聖なる国家が心血を注いで築き上げた技術書であり、その全てが門外不出の決して他国に渡ってはいけない最重要国家機密である。

 まるで当然のように、むしろこの時を予見していたかのように、芸術的なまでの先見性と戦略性をもってなされた一手。

 その卓越した手腕に昔から拓斗の側でその実力を見てきたアトゥも驚きの言葉を隠せない。


「い、いつの間に――まさかあの時に!?」


 拓斗はその問いに小さく頷き、正解の意を伝えた。

 レネア神光国に拓斗が潜入していた際、彼は《名も無き邪神》が持つ《完全模倣》の能力を利用して聖女となり情報収集を行っていた。

 その際に聖女が持つ権限を最大限に利用し、情報を根こそぎ奪い取っていたのだ。

 奪われたアトゥを取り戻すという一つの行動の中に、他に波及する様々な意図と成果を滑り込ませる。

 これこそが拓斗が『Eternal Nations』において最も優秀なプレイヤーと謳われるゆえんだった。


 ちなみにその時アトゥは特に何をする訳でもなく一人で暇を持て余していた訳であったが、幸いな事にこの場にいるものでそれを指摘する者はいなかったので、彼女の名誉は守られたと言えよう。

 残念ながらアトゥは所詮従者であり、正直なところ拓斗がいないと割と駄目になる性格だった。


「……というわけで、技術の問題は一部解決した訳だ。メインの魔法系統に大きな進展が無いのは残念だけど、これだけでも建築できる建物は大幅に増えた。まずはそこから手をつけていこう」


 配下の者達がその卓越した手腕に感動と驚き、そして表現しがたい畏怖を感じている中、拓斗はさっさと次の方針を決定する。

 彼にしてみればこの程度のこと何ら自慢すべき事でも驚くべきことでもない。

 ただ出来るからやった。それだけのことだ。


「じゃあすでに考えていた方針を伝えるよ。まず大呪界とドラゴンタンにそれぞれ【酒池肉林】と【異形動物園】を緊急生産で建築。ドラゴンタンは追加で【魔法研究所】【市場】【練兵所】【診療所】【見世物小屋】【工房】も作っておこう」


 情報の濁流が一気に押し寄せる。

 無論それぞれに意図と意味があり、当然作れるから作るといった安易なものではない。

 先の技術奪取と同じく、二手三手先――それどころか遙か未来までを見据えた選択だ。


「研究はそうだね……少し方針を変えて《医学》で。完成したら《医療魔術》を研究して【閉鎖病棟】の建築を目標にする。かかる時間については一旦保留で」


 他者の理解状況を完全に忘れてしまったかのように続く説明に、慌ててエムルやモルタール老といった面々が手元の紙へとペンを走らせる。

 一字一句漏らさず、後ほどその意図と作戦を尋ねるためだ。今は考える時間すら惜しい。


「ああ、あと宮殿のレベルを1段階上げよう。技術が集まったし、国家規模的に条件は満たしている。そしてユニットの生産は後で詳細考えるけど、とりあえずバランス良くかな。《出来損ない》は強いけどコストが重すぎるから、とりあえずそれぞれの地形で合計二体だね」


 さらに理解の範疇を超えた単語が出てきた。

 それがなんとなく新しい配下だとは理解できるが、どのような運用を行うのか、そもそもどんな見た目をしているのかすら分からない。

 ただ拓斗より告げられた言葉が持つ禍々しい響きは、自ずとより強力な存在が生み出されるという確信をダークエルフたちに抱かせた。


「という感じだけど。気になったことがあったら質問してね」


 質問と言われても……。

 それがダークエルフたちが最初に抱いた感想だった。

 あまりにも知らない単語が出てきすぎた為、まず説明を求めたいといったところが正直な思いだ。

 マイノグーラの建築物は一般的な国家が作るそれとは大きく違う顔を持っている。

 建物それぞれが特殊な力を有しており、建築するだけで国家や都市に何らかの効果をもたらすのだ。

 故に名前だけではどのような意図を持って選択されたのかも分からない。

 だからこそ、これは実質アトゥただ一人に問われたものということになる。


「そ、相当なコストですが。大丈夫でしょうか?」


 問われたアトゥの答えは、至極まともで、至極表面的なものだった。

 だが一番わかりやすく、かつ重要でもある。

 拓斗もその問いに満足しているようで、待ってましたとばかりに説明が始まる。


「正直大丈夫じゃない――ってかこれで国庫はすっからかんだよ。魔王軍から巻き上げた金貨のボーナスもおしまい。後はひたすら税収に期待するばかりさ」


 逆に言えば、あれほどあったブレイブクエスタスの金貨を全て消費しても、この選択をとる価値があるという事である。

 マイノグーラの【市場】で金貨を魔力に換算する裏技じみた行いは、手札として残しておけば今後様々な場面で活躍するであろうことは明らかだ。

 その手札をここで全て切る。

 アトゥも――そしてダークエルフたちも、拓斗の覚悟とその決断の重要性が自ずと理解できた。


 しん、と部屋が静まりかえる。

 此度の沈黙は、全面的な王への賛同であった。


「ではすぐに建築を開始します。ドラゴンタンは――私が赴いて緊急生産する必要がありますが、そちらも早急に」


「うん、頼むよ」


 簡潔に答え、拓斗は大きく伸びをする。

 身体がなまっているのかグギッと嫌な音が鳴り皆が慌てるが、それらを手で制して思い出したかのように続ける。


「そうそう。フォーンカヴンも事情説明と協力を求める親書を出して少し時間稼ぎをする。どちらにしろあの国はマイノグーラの銃器がもたらす武力がないと地域の平定が困難だ。彼らには申し訳ないが、ここは少しばかり足下を見るとしよう」


 否の声は無い。

 唯一エムルが少しだけアンテリーゼを案じたが、無論拓斗のことだから彼女へのフォローもなされるだろうと首を縦に振る。


「諸外国。――レネア神光国については聖女の動きが気になるけど……どうやら今はどこかへ逃げおおせたみたいだね。おそらく南部大陸のどこかだと思うけど。まぁさほど気にする必要は無い。国に見放された宗教家の末路は悲惨なものさ」


 アトゥが少しだけ気にするそぶりを見せた。

 それは捨ておかれた敵が思わぬ刃とならないか心配する心か、それとも少ないながらも仲間として濃密な時間を過ごした相手を思いやる僅かな憐憫か。


「そしてレネア神光国については安心していい。仕込みは間に合ってる。あそこはもう何かをするだけの余裕はないさ。クオリアもレネアの状況を放ってこちらまで手を伸ばせないだろう」


 エルフール姉妹が声に出さず「あーあ」とつぶやいた。

 魔女である彼女たちが、拓斗に命令されてやった。きっと今頃あの地はひどいことになっているだろう。

 だが二人にはどうでもよい事だ。本心から、どうでもよい事だった。


「唯一の懸念点はエル=ナー精霊契約連合だけど……。その点はフォーンカヴンが防波堤になってくれるさ」


 モルタール老が目を大きく開かせる。

 北部大陸との接続箇所の土地を彼らに任せたのはそういう意図もあったのかと感心したからだ。

 もっとも、フォーンカヴンとてその程度は理解済みだろう。

 あの人なつっこい指導者が何を見返りとしてマイノグーラに求めてくるか、恐ろしくもあり、楽しみでもあった。


「結局、僕らにはまだ少しばかり猶予はあるわけだ。その間にできることは沢山ある。今後も、今まで以上に気を抜かずやっていこう」


 その言葉で会議は締めくくられた。

 何も問題は無い。いつも通りの会議である。

 脅威は数あれど、拓斗がその叡智をもって命令し破滅の軍勢が打ち砕く。

 油断なく、慢心無く。

『Eternal Nations』世界ランキング一位の頭脳は、これからも世界を征服していく。


 はずだ……が。


「――よしっ!」


 パンと拓斗が手を叩く。



「じゃあヴィットーリオの話をしようか」



 ピシリと、空気が凍る音が皆の耳に幻となって届いた。


「内政。外交。敵対国家の状況。この世の真理――。対処が必要な問題はもちろん数多くある。けど今一番どうにかしないといけないのはヴィットーリオだ。誰でもいい、どんな小さな情報でもいいから僕に教えて」


 真顔だ。だがあからさまなに嫌そうな雰囲気がにじみ出ている。

 楽しい内政の時間は終わり、覚悟の時間がやってきたのだ。

 マイノグーラ史上最低最悪の英雄について話をする時間が……。


 全員がお互いを見合わせ。ややして――。


「「「まずは私の話をお聞きください王よ!」」」


 堰を切ったかのように数々の陳情があがる。悲鳴混じりのそれはもはや報告というよりはクレームだ。

 そのすべてを真剣に聞きながら、拓斗は冷や汗まじりにその対処を考えるのであった。


=Message=============

施設の建設が実行されました。

『大呪界』

【酒池肉林】

【異形動物園】

【マイノグーラの宮殿:Lv.2】


『ドラゴンタン』

【魔法研究所】

【酒池肉林】

【市場】

【工房】

【異形動物園】

【見世物小屋】

【練兵所】

【生きている葦】

―――――――――――――――――


=Message=============

研究が完了しました。

研究済!【六大元素】


研究項目が選択されました。

研究中!【医学】

―――――――――――――――――


=Message=============

以下のユニットが生産されました。


足長蟲 ×30

首刈り蟲 ×10

ブレインイーター ×22

巨大ハエトリ草 ×30

破滅の精霊 ×4

出来損ない ×2

―――――――――――――――――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る