第18話
『真紀の書いた手紙が見つかった』
真紀の手紙…。
宛先や内容が気にならないわけがない。
──和也君、キミ宛の手紙なんだよ。
そう言われた時は目頭が急激に熱くなった。
内容を聞くと、キミ宛の手紙を最初に読むわけにはいかないよと伝えられた。
……今すぐにでも読みたいに決まっている。
この時期は必ず真紀の墓参りに行くから、タイミングは良かった。
夜に墓参りだと移動手段も限られる。
先に墓参りをしてから手紙を見せて貰いに行くことにしよう。
そう決めてからは早かった。
電話の次の日には列車に揺られていた。
窓の外は見ていても、景色なんか楽しむわけじゃなく手紙のことばかり考えていた。
トンネルを抜けても白い世界には季節がらならない。あっという間に着いた…気がした。
予定通りに墓参りに向かうと
──真紀の墓前には一人の男性がいた。
俺と同じくらいの歳だろうか。
花が供えられているのを見て、ハッとなる。
毎年墓参りに来ると、供えられていた花。
あれはきっと彼の供えた花だ。
彼も毎年墓参りに来ているのだろう。
その時、ふいに彼も俺に気付いた。
『……もしかして、斉藤和也さん?』
「……そうですが、あなたは?」
俺の質問に彼は答えてくれなかった。
その代わりに…殴られていた。
痛みとともに怒りが込み上げてきた。
「いきなり、何なんですか!」
『なんでお前が生きてんだよ!!』
殴られた痛みなんかよりはるかに突き刺さる言葉だった。
『真紀を殺したくせに、なんでだよ!』
……その怒りを、今度は抱えたままその場を立ち去って行った。
殴られた痛み、言葉の痛み。
──なんでお前が生きてんだよ。
「そんなの俺が聞きたいよ……」
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