第17話

……雪が降っていた。


俺はそんな雪を見るたびに真紀を思い出し、足跡すらないその雪を見るたびに目を背ける。背けた先も白い世界だと知りながら。


ふと、そばで泣いている子供に気づく。

声をかけようか迷っていると目が覚める。

何度か見たような夢…なんてよくある話か。


カーテンを勢いよく開けると雪が……なんてこともなく眩しいほどの快晴。

クラスの何人かで出掛ける今日としては悪くない天気だ。

三島に誘われなければまだ寝てたな、なんて思いつつ準備をする。

真紀に誘われてるみたいで断れなかったなんて三島には言えないな、と鏡の自分を見て思う。


その朝の自分にアドバイスできるならしてやりたかった。…三島の気持ちを考えろ、と。


──遊びに行った帰り道…


『私は和也君のことが好きだよ』


もうすぐ沈む夕日を背にしながら言われたその言葉。三島の気持ちが嬉しくないわけじゃない。


『いつまで真紀さんのことで自分を責めるの?』


……やめろ。


『私に真紀さんを重ねてるの知ってる。でも、私は私だよ』


……やめてくれ。


『真紀さんはもう居ないんだよ?』

「わかってるよ、そんなことは!!」


思わず荒げた声に三島も黙る


「そうだよ、もう居ないよ。俺が殺したんだから!俺のせいで死んだんだから!」

『……』

「……俺のせいなんだよ」


三島は…泣いていた。

俺の方が泣きたいくらいだった。

不意に走り出した三島を追いかけることもできずにいた俺はどう見えているだろう。


──真紀はもう居ない。


「……わかってんだよ」


言われたくなかった。

言われることで肯定したくなかった。


…その夜、

真紀の両親から電話がかかってきた。









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