第16話

驚いたことがあった。

三島の家が近所だったということ。

自然と一緒にいる時間が増えていた。それは学生同士でクラスが同じで、一緒に出掛けたりしてれば必然だった。


──真紀の代わりにしてないか?


自問自答の毎日。


──三島のことを見ていないんじゃないか?


……わかってるんだ、そんなに責めるなよ。

真紀に似ていたから彼女と一緒に居たいと思うようになってる自分がいることを。

あの笑顔をもう一度見られるなら代わりだっていい。


『和也君はさ、彼女作らないの??』


三島のふと口にした言葉が刺さる。


「出来ないんだよ、モテないんだよ」

『……ウソつき』

「え?」

『……真紀さんのことがあるからでしょ?』


親しい知り合いでも極僅かしか知らない過去を三島と接点があるやつの中から頭で検索して、話したやつに目星はすぐについた。

あのお喋りめ……。

でも、それは今はどうでもいい。


「……そうだよ」

『私じゃ代わりになれないかな?』

「三島…」

『私は代わりでもいいよ?』

「……それは」

『私は大丈夫だよ?代わりでも全然平気』


人殺しだよ?俺は……と、言いかけてその言葉を飲み込む。


『……ウソつきは私もか』


三島の呟いた言葉の意味くらい俺もわかる。

最低だ、俺は。でも…


家に着いた三島の姿が見えなくなるまで

二人とも無言が続いた。

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