第14話
──どれだけ後悔を重ねたかわからない。
幸せな時も、不幸な時も、体感時間なんて言葉もあるが、全て等しく流れていく。
罪を犯した俺も高校生になり、環境の変化による忙しさがある意味では救いになっていた。一人称がボクから俺に変わるくらいの時間は過ぎても削り取られたような心の穴は埋まりそうな気配すらない。
あの真紀の死から、抜け殻のような日々。
『和也、帰りにどっか寄ってこうぜ』
「……今日はやめとくよ」
『了解、じゃまた明日な』
そんな感じに誘われては、やんわりと断るような日々。
『誘うだけ無駄』
そう言われる時も遠くはないだろう。
仲間はずれみたいじゃないか、せめて誘うだけ誘ってくれよ。…まぁ断るだろうけど。
俺は大事な人を殺めた。
その罪は一生消えないのだ。
──幸せになっていいはずがない。
今でもその感情に従う毎日。
惰性で生きる毎日。これが続くだけだ。
授業を受けて家に帰る。それを繰り返す。
それだけのはずだった…。
その日、クラスは少し騒がしかった。
『喜べ男子、今日は転校生を紹介する』
漫画みたいなお決まりのセリフで担任が前フリをする。ざわつく男子、冷ややかに男子を見る女子。変に期待される転校生に同情しつつ、それでも興味が湧かない俺は冷めているのだろう。
転校生が教室に入ってきた。
男子の歓声?にも似た盛り上がりと、女子の異なる種類の盛り上がりで教室が満ちる。
俺は間違いなく良くも悪くも今日の主役になるであろう転校生に視線を移した。
……この時ほど神様を恨んだことはない。
こんな罰ならあんまりだし、冗談なら笑えない。
─────真紀。
その転校生は、真紀に似ていた。
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