第10話
葬式の間のことをボクはあまり覚えていない。色々な人が来て、泣いていた。
真紀の同じクラスだろうか同年代の男女も沢山泣いていた。
……ボクはそれを見ながら、涙のひとつもこぼれてこなかった。
──真紀の両親はボクを責めなかった。
『和也君のせいじゃない』
『悪いのは運転手なんだから』
それが何よりも辛かった。
いっそのこと、お前せいで真紀は死んだと怒りも哀しみもあらゆる感情をぶつけられた方がどれだけ楽だったか。
……ふと、男の子が泣いているのに気づく。
たった独りで泣いていて、周りに親の姿も見えない。なぜかその子が気になった。
その時……
──帰ってください!
式場に真紀のお父さんの声が響いた。
あの優しいお父さんが声を荒げている。
相手は事故を起こした運転手の親族らしい。
他人事ではなかった。
ボクが真紀を呼んだから、真紀は事故にあった。ボクのせいだ。
その言葉はボクに向けられてもおかしくない。
……マキヲコロシタノハ、キミダ。
そうだ
───ボクが真紀を殺したんだ。
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