第7話

颯爽と駅から飛び出す……はずだった。


「降りすぎだろ……」


傘がなかったこともあり、早々に真紀の家に向かうのを諦める。


『もしもし、葛城です』

「あ、真紀?」

『着いたの?じゃあ迎えに行くね、どうせ傘がないんでしょ?』


なんて察しのいい。

駅を出たすぐの屋根がある場所で待つことを伝えて電話を切る。

いよいよ彼氏彼女の関係になる時が近いてると思うと少しくすぐったい。


電話で伝えた場所には、ボクと同じように迎えを待っているのか待ち合わせなのか数人の人が降り続く雪とにらめっこをしていた。


目を閉じていても雨はうるさい。

でも雪は…静かだ。

次々に発着する電車の音や、色んな車の走る音やサイレン、町行く人の話し声も聞こえた。冷たい空気のせいか澄んで聞こえる。

先に迎えと合流できて居なくなる人を横目で見ながら少し微笑ましくも思えた。


それを何度か繰り返したころ

時計に目を落とす。

駅から真紀の家までは遠くない。準備に手間取っているのだろうか?

「遅いな…」

目を閉じて軽くタメ息混じりに息を吐く。


その時、少し前のあることが気になった。


の音…。


あれは何のサイレンだったのだろう?

パトカー?救急車?消防車?

…真紀?まさかだよな?

気になり出したら止められなくなった。

真紀に限ってそんなことはない…。

そろそろ来るはずだ。そう、来るはずなんだ。心臓の音が早くなるのを感じる。


次の呼吸をする時…


ボクは雪の中を走り出していた。









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