第2話

親の転勤なんて珍しくもない。

それでも日本の端だとか海外とかじゃないだけマシだ、とか考えながら電車を降りる。

「あっつ…」

雪国だって夏は来るし暑いんだ…。

いや、それはわかってる。

何度目かの夏休みでまだそれを理解しないほど、もう子供でもない。中学生なんて子供だと言うなら子供なんだけど(笑)

長い休みになると幼馴染みに会いに来るような中学生は大人さ!…と思うことにした。

しかも幼馴染みは女のコだ。

いわゆる「遠距離恋愛」というやつだ。


……付き合ってたら、だけど。


好意は持たれている、と思う。

僕はもちろん好意を…持っている。

あとは俗に言う告白をするだけなんだ。

でもそれが恥ずかしいから未だに……


『和也!』


これ以上ないタイミングだった。


「真紀、なんでここに?!」


再会の挨拶は、挙動不審の塊だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る