雪の足あと

@kazu0518

第1話

雪…雪が降っていた。

草も木も、その他すべてを白く包む雪。

銀世界とは最初に誰が言ったのだろうか。


「…も~う いいか~い?」

『…もう いいよ~』


子供には雪は最高の遊び道具だ。かまくらや雪ダルマ、雪合戦、かくれんぼ。

スキーやスノボを好きなら、大人だって例外ではない。


「……ねぇ?」

『なぁに?』

「ボクが居なくなったらさびしい?」

『さびしい!』

「そっか」

『…居なくなっちゃうの?』


親の仕事の都合。

それは突然で、小さいうちには決して抗えない都合。


「ごめんね」

『また会える?』

「うん!会いに来るよ、絶対会いに来る」

『約束だよ?』


また会いに来ると伝えた時の嬉しそうな笑顔は、ずっと忘れないだろう。

それ以上に…、その少し前に見せた悲しげな表情を忘れない気がした。


上書きして足跡を消すように、雪は降り続けていた。

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