第4話 旅日記の一ページ 3
リュヘンは小さな村で人口は百を超えない。
その為、村人達の結束力は強い。
そしてもう一つ。
リュヘンでは昔から強く信じられているものがある。
『犬神 ウル』
読み方は様々で「イヌガミ様」とも「ケンシン様」とも呼ばれていたが、ハルトはどちらでもなく、「ウル」と呼んでいた。
『ウル』とはリュヘンに伝わる神の名前であり、村に幸福を招いてくれるとされている。
ハルトも幼い頃、よく木や麦で作った巨大なウル像に願い事を願ったり供え物の儀式に参加したりもした。
そんな中、近頃、バルンテールでは新宗教が伝わり、その異郷からの宗教によって教会が瞬く間にバルンテールで勢力を伸ばした。
その教会は宗教を広める為に当然、周りの国や村に勢力を伸ばして行く。
大抵の小さな村はその宗教を簡単に受け入れるだろう。だが、リュヘンは違う。
『犬神 ウル』がいる。
ウルを昔から信じてきたリュヘンでは受け入れようとも教会側が文句をつけ、衝突が起こる。
衝突があれば勝てるのは…………。
(いつかくるんじゃないかと思ってたんだ。……それが今になって......。 冗談じゃない! )
ハルトは陽が落ち暗くなってきても脇目も振らず馬を走らせて行く。
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