喘ぐ
soyong
第1話 ベッド
揺れる揺れる。
不安定なベッドの上で揺らされる私は、
私の手は 必死に掴む、
剥き出しの彼の肩を。
私の手は、指は、
食い込ませながら
良いと、感じていると言っている。
目を潤ませ、身体で、漏れる声で、
私は静かに叫ぶ。
こうも私を乱せるのは、あなただけだと。
果てた後の2人の吐息が混ざる頃、
スーッと引くボルテージを感じながら、
彼は私から離れて、見えない殻を作り上げる。いつものように。
あんなに重ね合わせてた、熱を持っていた私の身体が、
固まった。急速に熱が奪われるように、
彼へ伸ばした指が動かない。
「ねぇ、今日も?してる間、私を見ない。
好きだよ、愛してるよの言葉を待って待って……」
私のいつも有声にならない、言葉たちは、
伸ばした、固まった人差し指の中で、ぐるぐる、ぐるぐる渦巻いているようだ。
あなたは私を見ない。
身をよじらせ、喘ぐ私の顔も声も。
だから、あなたは知らない。
あなたの律動に合わせるように喘ぐこと。
まるで楽譜みたいに、分かっている。どこで私は気持ちいい顔をするのか、身体をよじらせるのか。申し合わせたように。果てるその瞬間まで。
その言葉だけが聴きたくて、
感じているんじゃない、
感じている顔をしているんだという事…
伸びた指先は着地点を逃して。
いつものように、拳一つ分開けた隣に滑り込み、横になる。
ああ、今日も聞けなかった。
ああ、今日も。
えぐられる胸の疼きに、私は彼に背を向けた。
襲いくる急速な暗さに、
こみ上げる微かな吐き気と、鼻をツンと貫いて出てこようとするのは、吐き気か涙か。ぐちゃぐちゃになった心に顔を歪ませて。紅潮する頬の熱さを見られないように、シーツを頭まで被った。
ぐぐぐっと背を丸めて、シーツに隠れる。
そしてまた喘ぐのだ。
ベッドの淵のシーツの冷たさを感じながら、
喘ぐのだ。
喘ぐ soyong @soyong
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