第11話中世異世界転生・其の6

「す、すごいねえ、インさん」


 インさんが魔法で起こした爆発で吹っ飛ばされて、二、三回ほど派手にぐるぐる回った後、だらしなく地面に転がった俺は、そう小学生並みの感想を言うくらいしかできない。ちなみに、ライオン頭の獣人は、もはやあとかたも無くなっている。


「いけない、タロウ、大丈夫? ちょっとやりすぎちゃったかな」

「いやあ、平気だよ、このくらい。インさんは気にしないで」


 本当は、盛大に地面に叩きつけられて、泣きたくなるほど体中がズキズキしているのだが、いくらなんでも女の子に助けられた上に、文句まで言うのはさすがに格好悪い。ここは我慢のしどころである。


「それにしても、神殿にあんなモンスターがいるなんて驚いたなあ。ひょっとして、あれが結婚する二人が乗り越えなければならない試練ってやつなの」


 そう俺が尋ねると、インさんが申し訳なさそうに答えるのだった。


「そうなのよ、モンスターがいっぱいのこの神殿を、二人で協力して攻略するっていうのが試練ってわけなの。でも、安心してね。タロウはわたしがちゃんと守るから。わたし、これでも魔法の実力はちょっとしたものなのよ」


 そう言って、腕まくりをして“任せといて”的なポーズをしてくれるインさんである。しかし、そんなポーズを取られると、その豊かなおっぱいがダイナミックに動いてくれて、正直目のやり場に困る。


 だが、その豊満なバストを揉ませてくれた上に、ボディーガードまでしてくれるとは、まさに男の妄想を具現化したような女の子だ。こんな女の子といちゃいちゃ出来るんだから、異世界ってのは最高だ。


「そう言うことだから、タロウは安心してわたしの後をついてきてくればいいのよ。そうすれば、しるしをゲットしてタロウがあたしの結婚相手としてふさわしいってことになるから。それで、結婚式をのらりくらりと引き伸ばしていれば、全て丸くおさまるわ」


 なるほど、インさんは結婚式を引き伸ばすつもりだったのか。白状すると、俺はこのままこの金髪でおっぱいの大きい美少女と結婚式を挙げるところまで、未来予想していたのだ。やっぱり異世界でもウエディングドレスなのかなあ。和風に着物だったらこの世界観にそぐわないなあ。なんて考えていたのだ


「なにぼやぼやしているの、タロウ。ほら、団体さんが来たわよ。ばんばんやっちゃうから、気をつけてね」

「せ、せいいっぱい努力させていただきます」


 いったい、これからどんなジェノサイドが行われると言うのだろうか。



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