第二章 あおいさん編
第34話 あおいさんとの旅行計画
ちとせへの恋が終わり、関係性すら崩れるなどとそう簡単にはならない。
なぜならは、僕とちとせは旅行計画を立ててしまっているから…
キャンセルしてもよかったのだが、ちとせが今旅行に行かないと一生後悔するといったのと、俺自身もけじめをつけるというか、この旅行を終わらせて、ちとせに対する未練みたいなものをすべて捨てて終わらせる。そういう決意を含んだものにしたいと考えて、旅行はそのまま決行されることとなった。
そして、ちとせに振られた次の日から、あおいさんと個別で通話をするようになった。
あおいさんには、『ちとせとの旅行が終わるまで待ってほしい』と返事を返して了承を貰っている。というか、『旅行中、ちとせのことよろしくお願いします』と、母親かと突っ込みたくなるくらい丁寧に言われてしまい、逆に申し訳なかった。
今は、ちとせとの旅行計画の最終打ち合わせを兼ねて、とある僕の願望をかなえるため、あおいさんと通話していた。
「そういえばなんだけどさ、あおいさんは6日の土曜日って空いてる?」
『6日?ちょっと待ってね、予定確認するね』
電話越しでガサゴソと鞄の中を漁る音が聞こえ、しばらくして声が聞こえてきた。
『えっとね、6日は夜からお祭りで、私も踊りに参加しないといけないから、午後の17時頃までなら大丈夫』
「なるほど…」
俺は顎に手をあてて、ちとせとの旅行日程表と睨めっこして考える。
「それじゃあさ、6日の午後会えないかな?」
『…へ!?』
「一度あおいさんの顔見ておきたくて…」
顔写真は送ってもらったが、やはり今後お付き合いする可能性がある女性と顔を合わせないと自分の中では不安な部分があるので、それを取り除きたいという意も含んでいた。
「それに、ちとせも会いたいだろうし!」
『え~…うん…そっか…そっか…』
あおいさんは何か勝手に独り言をボソボソと呟いて、自分に言い聞かせているようだった。
「どうかな…?」
俺が再び聞き直すと、あおいさんはフフっと笑った後に、
『わかった、いいよ。私も似鳥さんに会いたい…!』
「ありがと」
『うん』
「よしっ、それじゃあちとせにも報告だ!」
『はぁ…似鳥くんに会うの恥ずかしいよ…///』
恥ずかしそうに電話越しでそう言うあおいは、実際にも頬を真っ赤に染めているのだろうというのが伝わってくる。
「大丈夫だって、電話の時のままでいいから」
『それが出来れば苦労しないよ~///』
まあ、確かに。初めて顔を合わせるのって緊張するよね。俺も絶対に挙動不審になる自信がある。
そんな本音は内に秘めて置き、あおいさんに優しくささやいた。
「あったら、沢山可愛がってあげるからね?」
『キャァァァァァ!!!////////』
俺が少しキザなセリフを言うと、恥ずかしがるように奇声をあおいさんは上げた。
『はぁ…もうずるいよ///』
あおいさんの反応は毎回恥ずかしがるので、可愛かった。俺もだんだんとそのあおいさんの魅力に取りつかれてきている気がした。
早くあおいさんに会いたいなぁ~
そんなことを思いながら、俺はあおいさんとの親睦を旅行までの間により深めていくのであった。
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