第19話 カップルの喧嘩
次の日、今日は日曜日で会社員の人も休みだったので、【幸せなグループ】のメンバーたちとグループ通話をしていた。
僕は他の作業を行いながら、適当に話を聞き流しながら会話に参加している艇で時々「うん」っと相槌を打ちながら通話をしていた。
『はぁ?ふざけんじゃねーぞテメェ』
すると、突然罵声のような大きな声が聞こえて、グループ通話の方に耳を傾ける。
『大体おめぇがそうやっていつもいつも人の言ったこと守らねぇのがいけねんだろうがぁ!!』
『そんなことないよ?』
『そんなことあるから言ってるんだろうがぁ!』
どうやら、あおいちゃんと、遼さんがグループ通話内で喧嘩を始めてしまったらしい。
『ちょっと、落ち着いて!』
他のグループメンバー達が必死にあおいちゃんを宥めようとするが、あおいちゃんの怒りは収まらなかった。
『大体おめぇはいつもいつもそうやって、適当に私のことあしらって、他のグループの女の子に話しかけて手だして何がしてぇんだ』
『ホントそれ!大体、遼ちゃんさ、私のグループに入れてあげただけでもありがたいのに、なんで手出すん?あおいちゃんのことちゃんと分かってる??』
おいおい、気が付いたらちとせまで喧嘩に加勢してるし、収集付かなくなってるぞこれ!?
『ん?いや、別に手は出してないじゃん?だって、好きなのはあおいだけだし』
『はぁ!?だから、私のこと好きならグループで他の女に手出すんじゃねぇっていってんの!』
『ホント、マジキモイからやめろ』
『えぇ!?だって、新しくグループに参加した人に挨拶してるだけじゃん』
『それが余計だって言ってんだよ』
『ホントそれな、ちとせの友達に話しかけないでくれる?』
ちょっとちょっと、ちとせ?!ユミというネットの名前も忘れて本当の名前で通話しちゃってるけど大丈夫なの!?
余計なことを心配しているうちに、遼さんは、渋々といったかんじで『わかったよ』と返事を返した。
『最初からそう言えばいいんだよ』
『ん』
ようやくあおいちゃんとちとせの怒りも収まった。グループ通話に平和が訪れる。
『にとお兄ちゃん起きてる?』
すると、ちとせから呼びかけられた。
「起きてるよ~何?」
『移動!』
「ん、わかった」
移動とは、グループ通話から抜けて、二人で個人通話をしようという意味だ。
『じゃあ、いったん抜けるね~』
「お疲れ様です」
『はぁ~い!似鳥さんまた!』
『まったねぇ~』
『うるせぇ、おめぇは黙っとれ』
相変わらず、あおいさんの遼さんに対する厳しい罵声を聞いて苦笑しつつも、グループ通話から抜けてちとせとの個人通話へと移動した。
『あ~頭痛い…』
「大丈夫か?風邪引いた?」
『ううん、ちとせ女の子の日なんだよね』
「あぁ…」
全てを察した。男には理解できない、女の子の痛み。どこまで触れていいものなのか未だに分からないので、正直どう言葉を掛けてあげたらいいのか困惑した。
「薬はちゃんと飲んだ?」
とりあえずは、無難なことから聞いていこう。
『薬嫌だ・・・飲みたくない』
「えぇ…でも、薬飲んだら少しは楽になると思うよ?」
『・・・飲んだって絶対に良くなるなんて保証ないじゃん…』
小声で、そんな独り言が漏れてきた。
『ちとせ一回寝るね!おやすみ、にとお兄ちゃん!』
「ん、おやすみ」
『通話繋げといてね!』
「わかってるって、起きたら声かけてな」
『うん』
そう言い残して、ちとせは眠りについてしまった。こちらの生活音や外のうるさい音が聞こえないように、音量を下げてあげて、ちとせの眠りをサポートするのだった。
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