第18話 別れた
車を駐車場に止めて、家に帰宅して、シャワーを浴びてからようやくLANEを確認した。
すると、トーク数がグループを含めて999+と表示されており、見るのも億劫になってしまった。とりあえずグループのトークは後回しにして、まずは帰宅したことをちとせに連絡する。
「ちとせ・・・ちとせ・・・いたいた」
ようやく大量のトーク通知の中からちとせを見つけ出した。メッセージは4件来ていた。
トーク画面を開くと、『おはよう』『暇・・・』『ねぇ、まだ』『辛い』
といったメッセージが2時間おきぐらいに送られてきていた。
『ただいま!お待たせ!』
僕がそうメッセージを送ると、瞬時に既読が付いた。
『おかえり』
『通話する?』
『ん』
一文字そう帰ってきてが、嫌ではないようだ。
僕は通話ボタンを押して、ちとせに電話を掛けた。
2コールほどしたところで、ガチャっという音と共に、ちとせとの通話が繋がった。
「もしもし?ただいま」
『うん…』
ちとせは部屋で音楽を流しているようで、男性アイドルの曲が聞こえてきた。
「待たせちゃって、ごめんね?」
『・・・』
僕が謝ると、ちとせからの反応はなかった。これはやっぱりまだ怒ってるのかな…
そう思っていると、ちとせが布団の上で寝返りを打ったのか、絹擦れの音が聞こえてきた。
『にとお兄ちゃん』
すると、意味深な感じで僕の名前をちとせが呼んできた。
「ん?どうした?」
僕が優しく聞き返す。
『ゆうきくんと別れた』
「えっ!?」
早っ!別れるの早!!
ちとせからの報告を受けて咄嗟に思ったのはツッコミのような考え。だが、次第に心の中で「やったぁ!!」っと喜んでいる自分がいることに気が付いた。
『はぁ…誰かいい彼氏いないなぁ~』
ちとせは物思いにふけるようにそんなことをつぶやく。
「目の前に通話してる僕がいるじゃないか!」っと言いたかったが、引かれても嫌だったので、ここは「そうだなぁ~」っとちとせに合わせることにする。
『アイツに出会ってから私の人生めちゃくちゃだからなぁ…』
「えっ?ゆうきくんそんな酷かったの?」
『ん?あぁ、違う違う。本当の元カレの話』
「あぁ…そっちね」
ちとせと出会ったときに聞いた、彼氏と別れたばっかりだという話。相手の名前は確か・・・『コウ』だったっけか?
『そうそう、コウと出会ってからホント私の人生めちゃくちゃ・・・もう死にたい』
「そんなこと言わないの」
『・・・はぁ~』
どうやら、ゆうきくんとも別れ、僕も出かけて暇を持て余していたせいで、昔の嫌な思い出を思い出してしまったのだろう。ちとせは、どこか遠くを見ているかのような哀愁漂うため息をついていた。
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