第11話 友達とお出かけ
ちとせは今日、高校の友達とカラオケにお出かけしているため、僕は一人寂しくお昼ご飯を食べていた。
やることもないので、テレビをつけてお昼の情報番組をぼけぇっと眺めていた。
ここ最近、ちとせと毎日のように昼食も通話しながら食事していたので、どこか心に穴がポカンと空いたような感覚に陥っていた。まあ、ちとせも久しぶりの友達との外出ということもあって楽しみにしていたのだろう。ほどんど音沙汰がなかった。
一人寂しく昼食を食べ終えた僕は、食器洗いを済ませて自室に戻り、ベッドに倒れ込んだ。両親は仕事で夜まで帰ってこないため、リビングでたまにはテレビゲームをして時間をつぶしてもよかったのだが、あまり乗り気に慣れなかったため、ベッドで漫画でも読んで眠気がやってくるのを待つことにした。
◇
ふと目が覚めた。まだ夢うつつな感じではあったが、静寂な午後の時間が部屋の中には流れていた。もう一度目をつぶって二度寝しようかとも思ったのだが、ベッドの端に置きっぱなしにしてあったスマホから一点の光が光っているのが見えた。ムクっと上半身だけを起こしてスマホを確認すると、通知を知らせる緑のランプが光っていた。
僕は何とか脳に『腕を動かせ!』という信号を送り、眠気からまだ覚めぬ体を何とか動かした。手先で何とかスマホを掴んで、目元へと持っていき、スマホの画面を開いた。
通知は、LANEからきており、『ユミさんから画像が送信されました』とメッセージが書かれていた。
僕はLANEを起動して、ちとせの個人チャットのページを開いて、送られてきた画像を確認した。
画像は、3枚送られてきており、写真の前にそれぞれメッセージが送られてきていた。
『友達に買ってもらった~』
そう書かれたメッセージの後に載っている写真は、スマホのカバーケースであった。
ちとせが好きな某キャラクターの絵が入ったスマホケースであった。
次には、『友達のねこ~』と書かれたメッセージと共に、一匹の可愛らしいグレーの猫の写真が送られてきていた。
まだ、おぼつかない様子から見ても、子猫であることが窺えた。
猫を撫でている一本の細い綺麗な腕が写っているが、恐らくちとせが撫でているのだろう。
微笑ましい写真だなぁと思いつつ、スマホをスクロールして、次のメッセージに行くと、今度は写真だけが送られてきていた。
黒いシャツに身をまとい、首元には銀色のネックレスがキラリと輝いており、黒い髪を肩から垂らして、両腕でスマホを掴んで包み込むようにして上目遣いでこちらを見つめてきているちとせの写真であった。
その写真を見た瞬間、僕の眠気が一瞬にして吹き飛んだ。
思わず生唾を飲み込んで、ちとせの自撮り写真を凝視する。
すると、既読になるのを待っていたかのように、ちとせからメッセージが送られてきた。
『今日の私~!どう??』
そんな質問をされてしまったら、答えなんて一つしかないだろう。
『うん、可愛い』
僕は、そう一言、ストレートにそう答えた。
すぐに既読が付いて再びちとせから返信が返ってきた。
『ありがと♪』
『帰ったら、すぐにまた通話しようね!』
ちとせは、僕が寂しい思いをしていると分かっているかのように、優しくそう言って来てくれていた。
僕は、気が付いた時には、『うん!早く帰ってきて~』と返事を返してしまったいたのだった。
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