第10話 ちとせのお友達
とある日、いつものように寝落ち通話をしようと通話を掛けると、繋がらなかった。
あれ??と首をかしげていると、ちとせからメッセージがあった。
『今グループ通話中だからちょっと待ってて!』
どうやら他の友達と連絡をしているそうだ。なので、僕は邪魔しちゃ悪いと思い。
『わかった、ゆっくりでいいから終わったら連絡してね!』
と返事を返して、寝る準備を先にすべて済ませてしまうことにした。
歯磨きを終えて、再び自室に戻ると、スマホの通知のランプが点滅していた。
スマホを開いて通知を確認すると、LANEの通知で『ユミが、あなたを【幸せなグループ】に招待しました』という通知が表示されていた。
何だろうと思い、LANEを開いて、ちとせの個人チャットを確認する。すると、ちとせからメッセージが届いており、『にとお兄ちゃん!クループ入って通話来て!』とメッセージが届いていた。どうやらグループ通話が盛り上がっているため、中々通話が終わらないと判断したちとせは、俺をグループ通話に入れてしまおうと考えたのだろう。
僕は、グループ招待枠にある【幸せなグループ】のアイコンと名前を見て、少し躊躇った。アイコンは、手を拝んでいる女の子の画像になっており、ハートマークとキラキラマークがちりばめられていた。見た目だけだと、まるで宗教の勧誘みたいな怪しいグループ名とアイコンであったが、ちとせが誘ってきたグループなのでまあそういった類ではないのであろう。
僕は意を決して、【幸せなグループ】の招待通知の下にある。「参加」ボタンをタップした。
グループに参加すると、【幸せなグループ】(10)と書かれていた。どうやら、ここには、俺とちとせを含めて10人のメンバーがいるようだ。
グループのメンバーの一覧を確認すると、俺の知らない人ばかりで思わず頬が引きつってしまう。ニート生活を送っている僕にとっては、初対面の人と通話で会話をするのは、労力がいるものなのだ。さらにいえば、ちとせが仲の良いメンバーであるならば尚更気を使わなければならない。
すると、グループ内のチャットでちとせが発言をした。
『通話カモン!』
僕をメッション付きで送ってきたメッセージに、『わかった』と返して、通話ボタンを押した。
会話に入ると、通話には、僕とちとせを含む5人が通話に参加していた。
既に何かの話題で盛り上がっているようで、ちとせの笑い声と、男女の話し声が聞こえてきた。
話に入るタイミングを逃して、しばらく様子を窺っていると、ちとせが僕の存在に気が付いたのか声を発した。
『にとお兄ちゃん!やっほ~』
「や、やっほ~・・・」
初めて声を発したので、かなり小声で自信のない声になってしまった。
『こんばんは~初めまして』
『初めまして!』
続いて、女性の声と野太い男性の声が聞こえてきた。
「初めまして、
やはり初対面の人はどうしても緊張してしまう。ちとせがいるが、やはりどこか一つ距離を置いた感じの対応になってしまう。
『よろしく~にとりさん!』
柔和な口調でそう言って来てくれたのは、ボーイッシュな女性をアイコンにしているaoiと表記されている女性であった。
『うん、よろしく!』
もう一人は、自撮りの写真ではあるが…随分と顔の部分を編集しており、地顔の原型を留めていないアイコンに遼平という名前で野太い声の男性であった。
『にとお兄ちゃん!あおいちゃんと遼ちゃんはカレカノなんだよ!』
「あぁ、そうなんだ」
初対面でいきなりぶっこんできたなぁ…
『そうで~す!』
『はい~付き合ってまーす!』
堂々と和気あいあいとして恥じらいを全く見せていないことからも、付き合って結構経っているのが初対面の僕でも受け取ることが出来た。
こうして、初めてのグループ通話に参加した僕は、ちとせの受け答えに参加しつつ、時間を費やしていったのであった。
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