第2話 嫁取りとその反対の事
「残念ですが息子さんは不適合者です」
そう告げられた時の両親の顔は見るに耐えなかった。
ユーリルに適合できない。
それはエンダーミネ人ではないという烙印を押されたようなものだった。
そしてその日、不適合を宣告された自分よりも辛そうな顔をした両親は、ハヤタを病院から連れ帰った。
その日以来、ハヤタは外出していない。昨日までの生活が嘘のようだった。生活は一変し、両親もハヤタとは話をしなくなった。
ハヤタ不適合者と言われただけで、両親の人生の汚点になってしまったのだ。
それはハヤタにもよくわかった。
だが、この孤独感を受け入れることは出来なかった。
頭で理解していてもそれを
心をコントロールするにはハヤタはまだ幼すぎた。
——世界が自分を拒否している。
お前はこの世界に受け入れられない異物であると、排除しようとしているのだと、そう言われている気がしてならない。
(何処かに行きたい…)
毛布の端を握りしめて、ハヤタは気遣いのないサキコを見ていた。
この一年、ずっと誰かが同じように不適合者になればいいと願って来た。
誰かが仲間になればいい。
せめて自分1人ではなくなればいい。
世界を不幸にする
「——でね、あたしつい最近聞いたんだけど、『離婚』した人がいるんだって」
サキコの声が初めてハヤタに突き刺さった。ハヤタは反応した。
「『離婚』?」
『離婚』とは一度適合したユーリルと再び分離することだ。かなり珍しく、ユーリルの説得が難しいとも言われている。
ハヤタは毛布から顔をのぞかせた。
サキコは勝った、というような表情をしていた。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます