第3話 外柔内剛(6)

涙は止まった。おばあちゃんはずっと横で背中をさすってくれていた。おばあちゃんがくれたモノは小さくて大きかった。



「ねぇ、おばあちゃん」



「ん?なんだい」



「死んじゃった人は何処に行くんだろうね…」



「さあ、ばあちゃんにも分かんねぇ。だけどもうちょっと経ったら分かるべな。そしたら教えてあげるわい。」



「どうやって?」



おばあちゃんはゆっくりと私の胸を指す。



「胸の中に入っちゃるよ」



「なにそれ」



私は思わず噴き出した。



「お父さんは、いつもばあちゃんのここにおるだ。だから声はいつも聞こえとる。」



自分の胸に手を当てるおばあちゃん。



「だから、分かったらあんたに声を届けたるよ。」



おばあちゃんは胸に当てた手で、私の前に小指を立てた。



「約束や」



私は、おばあちゃんの小指に自分の小指を絡ませる。



「嘘ついたら地獄へおーとす、指切った。」



「なにそれ、怖い。」



「その方が本気になるやろ?」



いたずらっぽく笑う顔につられ、私も自然に笑顔になっていった。

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