第50話 初めて知る世界

「さて」



 あの後、俺とモフカーニさんは俺の部屋に移動した。


 モフカーニさんは部屋の鍵をかけ、俺をベッドに座らせた。


 そして今はテレビの下にあるプレイヤーらしき物に先ほどのディスクっぽい物をセッティングしている。



「さぁリンさん、準備ができました。それでは観るとしましょうか」


「はあ………あの、なんで横にティッシュを?そんなに泣ける映画なんですか?」


「映画ではないのですが………まぁ、そのティッシュは必要になったら使ってください」


「わ、わかりました」



 なんだか理解が追いつかないまま、モフカーニさんは再生ボタンを押した。


 最初に画面に登場したのはヴィアンテ様………の、仮の姿。


 三姉妹の次女設定のヴィレリアさんだ。


 ヴィレリアさん主演のドラマらしく、女子大生のヴィレリア(20歳)が同じ大学の男の子に告白されて恋人になり、初めてのデートをし、その後二人はヴィレリアの家にやって来た。



『今日は両親は旅行で帰ってこないの』



「あの、モフカーニさん。このドラマ、なんか駆け足すぎません?普通もっと告白まで時間をかけるっていうか、デートの場面もすぐ終わったし。ってか、まだここまでで5分くらいですよ?」


「いいんですよ。本番はこれからなんですから」



 なるほど、このドラマは付き合い始めてからが見所って事なのか。


 それにしてもこのヴィレリアの部屋、なんか間取りが変じゃないか?


 部屋のど真ん中にベッドがあるし、しかもそのベッドのサイズがやたらデカイ。


 女の子の部屋なんて入った事ないけど、これが普通なんだろうか?


 それともこっちの世界ではこれが普通なのか?



『ヴィレリアちゃん………いい?』


『うん………いいよ♡』



 二人はベッドに座り、男がヴィレリアの肩を抱き寄せキスをする。



『ちゅぱっ、くちゅっ』



 うわぁ………すっごい舌を絡めてる。


 これもキスなのか?


 そしてそのまま舌を絡めたまま、男はヴィレリアの服のボタンを外し、脱がせてゆく。



「ちょっ、モフカーニさん!これ、ヤバくないですか!?」


「シッ!黙って観るのです!!」



 ヴィレリアは服を脱がされ下着姿になり、男はヴィレリアの口から首筋、胸、腹と、順番に舌を這わせていく。


 この映像を観ていて、俺は徐々に心臓の鼓動が高鳴ってくるのを感じた。


 そして体の一部がやけに熱くなってくる。


 そんな行為が数分続き、ついに映像の中の二人は全裸になった。


 これ以上観るのはマズイと思ったが、またモフカーニさんに止められるのが予想できたので黙って観続けた。


 どういうわけか俺も画面から目が離せなかった。



れるよ………』


『うん………優しくして♡』



 男は下腹部の『聖塔ミティック』的なモノを、ヴィレリアの股の間の『聖門ミリオルド』的な穴に挿入した。



『ああっ♡スゴイ♡こんなの初めて♡』



 男が腰を振るたびにヴィレリアは甲高い声を発して悶える。


 この光景は俺のよく知る行為によく似ていた。


 そう、聖交渉セクルスだ。


 俺の目は映像に釘付けとなり、ズボンの中身がキツくて痛くなっている事も忘れて観入っていた。


 そして映像の中の二人が聖交渉セクルスで言うところの聖天昇イークを迎えた時、俺の意識もそこで途絶えた。


 意識が飛ぶ直前、俺のパンツの中身も何かがハジけ飛び、生暖かい感覚が広がっていくのを感じたが、それを気にする余裕も無いまま意識は闇の中に落ち込んでいったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

炎上勇者の鎮火活動 太堂寺姫子 @himeko9076

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ