第19話 立ったままでバックから

 霊園の中は蒸し暑かった。


 このブルウッド領はかなり北の地域なので、飛行機を降りた時などはかなり肌寒く感じたものだが、今は真夏の昼のように暑い。



「これも『炎』の影響か」


「うむ、まずはこの『炎』の中心地を割り出すのだ」



 俺達はスペルマップを確認しながら、『炎』の中心地と思われる場所を探した。


 そして辿り着いた場所は、墓石が並んだエリアから少し外れた、木々が生い茂った場所。


 その中でも、一際ひときわ大きな木が立っている所だった。



「うむぅ……まずいな」



 『炎』の中心地を特定するなり、ヴィアンテ様が腕を組んでうなった。



「これほどの大きな木、そしてこれだけの熱量をもった『炎』だ。こんな場所でラマニアの『聖門ミリオルド』を開門くぱぁしたら、その瞬間にこの木が燃えてしまう」


「何か方法はありませんか?」


「仕方ない、飛行機の中で教えた対策の応用をする。まずはラマニア、その木に両手をつけて立て」


「は、はい!こうですか?」



 ヴィアンテ様に言われた通り、ラマニアは木に両手をつけて立つ。



「続いてリン、ラマニアの両手にお主の両手を重ねるのだ」


「え……っと、こう、ですか?」



 木に両手をつけているラマニアの背後に立ち、そのラマニアの両手に俺の両手も重ねる。



「あっ……」


「ん?……あっ、ごめん!」



 今のラマニアは木に両手をつけて立っている。


 俺の位置から見れば、俺に向けてお尻を向けているような体勢だ。


 そのラマニアの背後からラマニアの両手に手を添えている俺。


 知らない間に俺の下腹部がラマニアのお尻に当たっていた。


 俺はラマニアのお尻に触れないよう腰を引いて、体勢を調節した。



「よし。ではラマニア、『聖門ミリオルド』を出すのだ。だが、まだ門は開くなよ」


「はい!……『聖門ミリオルド』!!」



 ラマニアが唱えると、その頭上に光の縦筋たてスジが現れた。


 この状況を見て俺が思い出したのは、某・奇妙な冒険漫画のジッパーを使うスタ⚫ド使いだ。


「続いてリン。『聖塔ミティック』を出せ」


「はい!でよ、『聖塔ミティック』!!」


「まだ挿入はするな。ラマニアの『聖門ミリオルド』の前で待機だ」


「はい」



 ヴィアンテ様の指示通り、俺も自分の頭上に『聖塔ミティック』を出し、ラマニアの頭上にある『聖門ミリオルド』の縦筋たてスジの前で待機した。



「ではラマニアよ。飛行機の中で伝えたように、黄金水おうごんすいを出すのだ。ただし、リンの『聖塔ミティック』だけでなく、この木全体にもぶっかけるように!」


「はい!」



 ラマニアは呼吸を整え、すぅっと息を吐き出すと、体を一瞬ブルッと震わせてから唱えた。



でよ!聖女せいじょ黄金水おうごんすい!!」



 ぷっしゃあああああっ!!



 ラマニアの『聖門ミリオルド』の縦筋たてスジの頂点から真上に向けて、黄金色こがねいろの噴水がき上がった。


 黄金色こがねいろの噴水は俺達が手をついている巨木と、俺の『聖塔ミティック』と、そして俺とラマニアの二人を、温かく濡らした。


 飛行機の中で聞いたこの黄金水おうごんすいの効果。


 聖女せいじょ黄金水おうごんすいには防火と癒しの効果があり、一定の時間であれば『炎』から守ってくれるらしかった。


 当初の予定では『聖塔ミティック』を守るために使うはずだったが、今回はこの木も守るために使う事になったわけだ。



「それではリン、ラマニア。挿入後は時間との勝負だ。わかっておるな?」


「はい!!」



 俺とラマニアは声を揃えて返事をする。



「それじゃラマニア、いくよ?」


「は、はい。お願いします」



 ラマニアの縦筋たてスジに『聖塔ミティック』の先っちょをぴとっと付け、準備をする。



「あっ………!」


「うっ、ラマニアの縦筋ここ、すっごく熱くなってる!」


「いっ、言わないでくださいっ!!」



 縦筋たてスジの状態のままなら『炎』の熱は溢れてこない。


 俺は『聖塔ミティック』の先端を縦筋たてスジにこすりつけた。


 すると、先日の御鎮法おちんぽう訓練の時よりもトロットロの濡れ具合となり、『聖塔ミティック』の受け入れ具合も万全の様子であった。



「リンよ、まだ入れてはならんぞ!いくら黄金水おうごんすいの加護を得ているとは言え、そう長くはもたぬ!」



 そうだ、挿入と同時に門内射聖なかだしできるよう、俺も準備しなくては。


 俺は『聖塔ミティック』をラマニアの縦筋たてスジこすりつけ、聖力せいりょくを高めてゆく。


 その途中、ふと気づく。



「はっ、はっ、はっ、はっ……」



 ラマニアの荒い吐息が聞こえはするが、今日は後頭部しか見えない。


 いつもなら顔を真っ赤に紅潮させ、悶える顔を俺に見せてくれるラマニアだが、今日は体勢的にその顔を見る事ができない。


 わかるのは、荒い吐息と同じテンポで上下する肩の動きだけ。


 ラマニアは今、一体どんな表情かおをしているんだろう?


 そんな事を想像した瞬間、背筋にゾクッと、急激な射聖感しゃせいかんが込み上げてきた!



「ああっ!マズイ!で、出ちゃう!!」


「馬鹿者!!外で出してはいかんぞ!ラマニアの背後バックから挿入するのだ!!」



 俺は慌ててラマニアの門内なかに『聖塔ミティック』を突っ込んだ。



「くはぁああ……あ、あ!!」


「うっ、ん!!」



 ラマニアの背後バックから突き入れた瞬間、俺の『聖塔ミティック』は限界を迎え、あらんかぎりの鎮聖滓ザメインを吐き出した。



「くうっ!?」



 全て出し尽くしたような感覚だったのだが、今日のラマニアの『聖門ミリオルド』は、さらにしぼり尽くすようにヒクヒクと『聖塔ミティック』を締め付けてくる。


 木に両手をついているとは言え、さすがに立っているのがツラくなってきた俺は膝がカクンと折れ、体が地面に近づいてゆく。


 俺の前方に立っていたラマニアも、倒れゆく俺の体重を背中で支えきれず、俺と重なるようにして地面に膝をついて倒れこむのだった。

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